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第3章 アレクを狙って
第810話 両者出陣と素直じゃないデストロイ!
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弦馬と総助は、忍者の里が一望出来る丘の上で、キセルを吸いながら忍者達が集まっている場所を眺めていた。
「まさか、長老達を本当に殺すとは思わなかったぞ。やはり総助の力は怖いな。俺も知らず知らずに操られているのか?」
弦馬は、キセルを吸って煙を吐いたあと、総助の恐ろしさを語り始めた。
「前にも言いましたが、この力は憎悪を増幅させるだけですから。元々相手に憎悪がなければ何も役には立ちません。それに、弦馬とカルロには効きませんから万能ではないのです。それよりも、あの誓約を無効にした弦馬の方が怖いですよ」
二人の言葉からわかったのだが、やはり長が長老を殺すように仕向けた原因は、弦馬と総助にあったようだ。
「本当か疑わしいが......今は納得するしかないか。俺も、ある条件下でしか発動できないから、総助と同じだ。それより、元帝国の兵士は雑魚ばかりだな。面白い内乱が起こると思ったんだが、なんだあれは。アハハハ」
弦馬と総助は、長い付き合いのようだが、お互いに手の内を曝け出していないのか、牽制し合う言葉を言う。
「フッ、公国の兵に最初から期待はしていません。ただあの国が孤立して潰れたら面白いくらいでしたが、どうなるのでしょうか。完全に内乱を起こすなら、使徒の国のやつらの憎悪をかき乱してやるのが一番です」
公国の兵の隙間に入り込んで悪さをした総助だが、弦馬の内乱も起こらず、総助の言う孤立にもならず、目論見を見事アレク達は阻止していた。
「あの感じだと期待薄だ。それに、使徒の国のやつらも一枚岩ではないだろう。使徒以外のやつも実力は半神かそれ以上ある。まぁ、今はこの戦争がどうなるか見守ろう。あれは、仕込んだんだろ?」
「少し見ない間に、使徒もその仲間も実力を上げていたのが予想外でした。はい。あれは仕込みましたよ。おっと、忍者達が動き出したので、私達も移動しましょう」
弦馬と総助は、忍者達のあとを追うように、その場から姿を消した。
◆
アレク達も、同じように広場に集まっていた。そして、持東親王の出撃前の挨拶を終えた頃、忍者の里を見張っていた兵から通信が入る。
「今入電が入った。忍者達が出陣したようだ。そして、女子供を除いた全ての忍者が向かったとのこと。我々も、作戦通り出陣する。頼んだぞ」
持東親王の頼んだぞと言う言葉を聞いた兵士達は、「おー」と答えて城をあとにし、町中を行軍していく。
城下町の人々は、戦争と聞いているようだが、逃げ隠れなどせず、手を振って声援を送ってくれた。
「親王は、好かれているんだな。だが、俺なら小っ恥ずかしくて手なんか触れないだろう」
ノックスは、馬車の中から声援を送る民とそれに応えて笑顔で手を振る持東親王を見て感想を言う。
「俺も無理だが、嫌いじゃねぇ。それに、昔は気付かなかったが、今となっちゃあ、皇帝は屑だと思えるぜ。まぁ、いつかアレクが手を振る機会がありゃあ、俺がケツを蹴り上げてやる。その方が、アレクらしいだろ?」
「何言ってるの?俺だってカッコよく声援の中、手を振りたいよ。なんで、わざわざカッコ悪い姿を晒さなきゃいけないのさ」
デストロイは、口悪く人を罵るだけではなく、しっかりと最後にオチをつけて話した。
アレクは、それに対して頬を膨らませてしっかりとツッコミを入れる。
その瞬間、全員が笑ってアレク達のいる馬車だけが戦争に行く前の雰囲気ではない空間に包まれていた。
「流石、デストロイさんは戦争慣れしていますね。人は、緊張よりも和やかな方が力を発揮しやすいですから。ありがとうございます」
オレールは、ひと笑いすると、冷静に分析して、良い緊張を保てるようにしてくれたデストロイにお礼を言った。
「戦争慣れはしてるが、帝国時代は仲間だと思ったやつはいねぇな。駒以下な連中ばっかだったからよ。こんな全員でやる戦争は初だな」
デストロイは、少し天井を見上げて過去のことを思い出すと、そう言えば仲間などいなかったと思い出す。
「では、やっと仲間と思える人ができたのですか?例えば、ノックスさんやオレールさんやアレク様や私など」
パスクは、少しニヤニヤしながら、先程場を和ませる冗談を言ったデストロイに問いかけた。
「殺すぞ!俺に仲間はいらねぇ。馬鹿なこと言ってねぇで、さっさと作戦を伝えやがれ」
デストロイは、怒声を浴びせたあとに、腕を組んでそっぽを向いてしまった。
しかし、仲間など必要ないと思っているのなら、わざわざ作戦を聞いたりはしないので、アレク達は素直じゃないなと微笑むのだった。
「まさか、長老達を本当に殺すとは思わなかったぞ。やはり総助の力は怖いな。俺も知らず知らずに操られているのか?」
弦馬は、キセルを吸って煙を吐いたあと、総助の恐ろしさを語り始めた。
「前にも言いましたが、この力は憎悪を増幅させるだけですから。元々相手に憎悪がなければ何も役には立ちません。それに、弦馬とカルロには効きませんから万能ではないのです。それよりも、あの誓約を無効にした弦馬の方が怖いですよ」
二人の言葉からわかったのだが、やはり長が長老を殺すように仕向けた原因は、弦馬と総助にあったようだ。
「本当か疑わしいが......今は納得するしかないか。俺も、ある条件下でしか発動できないから、総助と同じだ。それより、元帝国の兵士は雑魚ばかりだな。面白い内乱が起こると思ったんだが、なんだあれは。アハハハ」
弦馬と総助は、長い付き合いのようだが、お互いに手の内を曝け出していないのか、牽制し合う言葉を言う。
「フッ、公国の兵に最初から期待はしていません。ただあの国が孤立して潰れたら面白いくらいでしたが、どうなるのでしょうか。完全に内乱を起こすなら、使徒の国のやつらの憎悪をかき乱してやるのが一番です」
公国の兵の隙間に入り込んで悪さをした総助だが、弦馬の内乱も起こらず、総助の言う孤立にもならず、目論見を見事アレク達は阻止していた。
「あの感じだと期待薄だ。それに、使徒の国のやつらも一枚岩ではないだろう。使徒以外のやつも実力は半神かそれ以上ある。まぁ、今はこの戦争がどうなるか見守ろう。あれは、仕込んだんだろ?」
「少し見ない間に、使徒もその仲間も実力を上げていたのが予想外でした。はい。あれは仕込みましたよ。おっと、忍者達が動き出したので、私達も移動しましょう」
弦馬と総助は、忍者達のあとを追うように、その場から姿を消した。
◆
アレク達も、同じように広場に集まっていた。そして、持東親王の出撃前の挨拶を終えた頃、忍者の里を見張っていた兵から通信が入る。
「今入電が入った。忍者達が出陣したようだ。そして、女子供を除いた全ての忍者が向かったとのこと。我々も、作戦通り出陣する。頼んだぞ」
持東親王の頼んだぞと言う言葉を聞いた兵士達は、「おー」と答えて城をあとにし、町中を行軍していく。
城下町の人々は、戦争と聞いているようだが、逃げ隠れなどせず、手を振って声援を送ってくれた。
「親王は、好かれているんだな。だが、俺なら小っ恥ずかしくて手なんか触れないだろう」
ノックスは、馬車の中から声援を送る民とそれに応えて笑顔で手を振る持東親王を見て感想を言う。
「俺も無理だが、嫌いじゃねぇ。それに、昔は気付かなかったが、今となっちゃあ、皇帝は屑だと思えるぜ。まぁ、いつかアレクが手を振る機会がありゃあ、俺がケツを蹴り上げてやる。その方が、アレクらしいだろ?」
「何言ってるの?俺だってカッコよく声援の中、手を振りたいよ。なんで、わざわざカッコ悪い姿を晒さなきゃいけないのさ」
デストロイは、口悪く人を罵るだけではなく、しっかりと最後にオチをつけて話した。
アレクは、それに対して頬を膨らませてしっかりとツッコミを入れる。
その瞬間、全員が笑ってアレク達のいる馬車だけが戦争に行く前の雰囲気ではない空間に包まれていた。
「流石、デストロイさんは戦争慣れしていますね。人は、緊張よりも和やかな方が力を発揮しやすいですから。ありがとうございます」
オレールは、ひと笑いすると、冷静に分析して、良い緊張を保てるようにしてくれたデストロイにお礼を言った。
「戦争慣れはしてるが、帝国時代は仲間だと思ったやつはいねぇな。駒以下な連中ばっかだったからよ。こんな全員でやる戦争は初だな」
デストロイは、少し天井を見上げて過去のことを思い出すと、そう言えば仲間などいなかったと思い出す。
「では、やっと仲間と思える人ができたのですか?例えば、ノックスさんやオレールさんやアレク様や私など」
パスクは、少しニヤニヤしながら、先程場を和ませる冗談を言ったデストロイに問いかけた。
「殺すぞ!俺に仲間はいらねぇ。馬鹿なこと言ってねぇで、さっさと作戦を伝えやがれ」
デストロイは、怒声を浴びせたあとに、腕を組んでそっぽを向いてしまった。
しかし、仲間など必要ないと思っているのなら、わざわざ作戦を聞いたりはしないので、アレク達は素直じゃないなと微笑むのだった。
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