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第3章 アレクを狙って

第808話 王の資質と王を作る薬!?

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アレクが、ピカリンという劇薬で伯爵を懲らしめている頃、陛下と公王とジキタリスで話し合いが行われていた。

「ジョージ、気を落とすでない。余と魔ノ国の宰相であるジキタリスに何があったか話してはくれんか?」

陛下とジキタリスは、公王であるジョージを挟む形で座り、陛下はジョージの肩を抱いて問いかけた。

「陛下......」

ジョージは、一瞬陛下の顔を見たあと、また下を向いてしまう。

「陛下呼びなど水臭いではないか。今や同じ一国の王であるぞ。それに、唯一の兄弟ではないか。普通に話してはくれないか?」

陛下は、兄弟の間で敬語など使ってほしくないと思ったのと、ジョージの本音を聞き出すために、畏まった話し方はなしだと伝える。

「兄貴......俺は、もう王としてやっていく自信がない。王国から何度も支援を受け、兄貴の思いやりで王にしてもらい.......だが、一向に期待に応えられる道筋が見えないんだ」

ジョージは、まだ理由を話していないが、何かの重圧に押し潰される勢いで自信を失っていた。

「はじめなどそんなものであるぞ。それに、1から国を作り上げるよりも、元あった国を再建し直す方がより難しい。貴族も側近も、帝国時代の人間を使っておるのか?」

「元帝国の人間とはいえ、もし私が免職を言い渡し、家族もろとも路頭に迷わすと考えるとなかなか言い渡せないんだ。それに、国を回す人材が足りていない」

ジョージは、優しさからか、貴族がいうことを聞かなかったとしても、その家族には何の罪もないので、言い渡すことができない。

「ふぅ~、ジョージは昔から争いごとを嫌い情に弱い部分があるからな。ものの見事に裏目に出ておる。ジョージ、厳しいことを申してもよいか?」

陛下は、自分の後頭部を搔いて深く息を漏らしたあと、真剣な表情でジョージを見る。

「は、はい。兄貴には言う資格があるし、兄貴の考えを聞きたい」

「王としての資質を考える必要がある。そして、王とは敬われるように振る舞わなければならない。時には憎まれることも、心を痛めながらもしなくてはならないのだ。ジョージは、頭がよいから資質については理解しておろう?」

王の資質とは、王によってそれぞれあるため、一概には言えないが、陛下は一つだけ、どの王にも共通していることがあると考えていた。それは、判断力である。

「ずっと兄貴を見ていたから頭ではわかっているよ。でも、兄貴が言った通り、決断ができない。本当に、情けなくてすまない」

ジョージは、頭をガクンと下げて申し訳なさそうにする。

「ウズベル王と公王様の話に割って入ってしまい申し訳ございませんが、公王様は国や国民になるのであれば、最良な決断を下せる王になりたいですか?それとも、今のままがいいでしょうか?何も考えず、本心をお聞かせてください」

ジキタリスは、このままいっても話が纏まらないと感じて、助け舟を出した。しかも、何かジキタリスなりに考えがあるようだ。

「ジキタリス殿もすまないな。私が、優柔不断なばかりに......正直申すと、自身の考えが変えられるなら、最良な決断を下せる王になりたい」

ジョージは、口には出さなかったが、ジキタリスのという言葉が胸に刺さってしまった。常日頃から、国民のことを考えているつもりでいたが、改めて聞くと自分のことに必死で国民のことを考えられていなかったと痛感した。

「そうですか。では、アレク王に頼んでみましょう。アレク王であれば、性格を変える薬か、決断力が増す薬か、何か公王様に必要な薬を作って貰えるでしょう」

ジキタリスは、一番簡単かつ確実な解決策を提案するが、という考えると恐ろしい言葉を口にした。

「民や私を慕ってくれる者のためを考えると、強制的にでも変えるべきだと思う。今のままなら、きっとまた同じ過ちをしてしまう気がするよ」

「余は、ジョージが決めたことであれば反対はしないが......ジョージの性格を捻じ曲げる薬はやめてほしいぞ。アレクに相談であるな」

アレクであれば、適した薬を作ってくれると信じているが、ジョージの精神状態が不安定なので自暴自棄になり、暴走してしまうのではないかと心配になる。

「それでは、ウズベル王と公王様。アレク王のところへ向かいましょう。ちょうど、公国の兵と揉めているようですし、公王様が必要でしょう」

「あぁぁぁぁ、アレク王になんてことを......すぐに行かなくては」

ジョージは、頭を抱えたあと血相を変えて部屋を飛び出し、アレクの待つ広場に走って行くのだった。
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