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第3章 アレクを狙って

第804話 遂に、謎の一部が解き明かされようとする!

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カルロは、ノーマックの殺気を直接受けてしまい、立ったまま気絶して固まってしまう。

「総助、お前が連れてきた若造は、見込みがあるのか?あの程度の殺気で気絶したが」

弦馬と呼ばれていた爺さんの姿はそこにはなく、髪を後ろで束ねた黒髪の美青年武士の姿に変わっていた。しかも、口調すら変わっている。

「そうですねぇ。まだまだ熟していません。力を与えるのは、もう少し熟れてからですよ。人間にしては、見込みはあると思いますよ。弦馬さん、いつになったら本当の姿を晒すのですか?」

ノーマックも、先程までの姿はそこにはなく、高かった身長も160センチくらいになり、長髪であった髪も肩につくくらいに変わっていて、黒髪の美少年になっていた。

「ルシファーは、見込み違いだったからな。この若造がどこまで成長するのか楽しみだ。俺の本来の姿は、どれだったか?最近、忍者を3人も食べたから、また新しい記憶が上書きされて、もうどれが本当か嘘かわからないな」

総助と弦馬は、ルシファーと繋がりがあるようで、カルロをルシファーの代わりにしようとしているようだ。
更に、弦馬は忍者を食べたという恐ろしい言葉を口にする。

「ルシファーは、所詮元神ですからねぇ。適合性に多少難があったのです。それより、ヨウスという人間は惜しかった......あの憎悪をうまく使えばと思ったんですけどねぇ。創造神の寄越した使徒に邪魔をされてしまいました......」

ここで、まさかのアレクの兄であったヨウスの名前が挙がる。

「まぁ、失ったものは仕方ありません。これから、また作ればいいのです。それより、また食べたのですかぁ?本当に、人間が好きですねぇ。追放されたあの2人は美味しかったですかぁ?」

カルロが気絶する前は、まだ人間と人間の会話に近い話をしていたが、今完全に別人のように化け物と化け物の会話へと変わる。

「あぁ、総助が憎悪を増幅させた人間だったか?まさか、出来損ないの弟が使徒だったとはな。忍者自体は、不味かったが、禁術は美味だった。おっと、忘れるところだった。そろそろ、戦争を起こそうと思うんだがな」

ヨウスの憎悪を膨れ上がらせたのは、ルシファーだと思っていたが、本当の黒幕は総助であったような言葉が飛び出す。

「あの使徒は、もう少し熟してから食べたいのです。ハァハァハァ、早くこの手で殺して食べたい.......ハハ、申し訳ございませんねぇ。興奮が抑えきれませんでした。えっと、戦争ですかぁ?」

アレクのことを思うと恍惚した顔で興奮するが、すぐに真顔に戻って戦争の話を聞いた。

「俺と総助は真反対だからな。欲求を抑えられる精神力に感服する。戦争は、大和ノ国と忍者の里とあらゆる国を巻き込む予定だ。もしかすると、使徒の国も参加するかもな......おいおい!もう少しで真っ二つになるとこだったぞ」

戦争に魔物の国を参戦させると告げた瞬間、総助は躊躇なく刀を抜いて弦馬に振り下ろした。弦馬は、難なく躱したのだが、総助の刀は追尾するように弦馬の体を斬り裂いた。
弦馬は、直撃を回避したが、右腕の肩口から斬り落とされている。しかし、全く動揺も痛みすらも感じていないような平然な表情で立っていた。

「私の獲物に触れるなぁぁぁぁ!今すぐ殺してやろうか?」

総助の体からドス黒いオーラが溢れ出して、語気も強くなり、腰を屈めて、いつでも弦馬を殺れる体勢に入っていた。

「総助、落ち着け。使徒を食う気はないぞ。忍者と色んな国の強者の死骸をむさぼり食うつもりなんだ。まぁ、あわよくば使徒の仲間の死骸を食えたら最高だがな」

弦馬は、戦争での死者を出すことが目的のようだ。しかも、生きた人間ではなく死体でもいいという更に狂った発言をする。

「それならそうと早く言ってくださいよ。本当に、弦馬さんを殺すところでしたよ。それはそうと、私は誰かの負と憎悪の感情を増幅させればいいのですかぁ?」

ドス黒いオーラが、出ていたのが嘘のように一瞬で収まり、先程までの穏やかな表情に戻る。

「やれやれ。また腕を生やさないといけない......たが流石、総助だ。ちょっと、操作してほしい人間が数人いるんだが頼めるかな?」

「構いませんよ。寧ろ、人間の負の感情や醜い部分を楽しめ、吸収できますからねぇ。私にとってはご馳走です」

総助は、「ククッ」とこのあと面白い出来事が待っていると言わんばかりに口角を上げて笑うのだった。
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