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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第795話 マーカスとエリーゼの時が進んだ時計台!
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エリーゼとマーカスは、無言で階段を登っていく。
エリーゼもマーカスも、お互い考えていることを表に出さず、時計台の一番高く見晴らしのいい場所に到着した。
「一望出来ていい場所ですね。聖王国にいた時を考えると、今このように大好きな女性と共にしているなんて考えられませんでした。シー!最後まで話させてください」
今まで、直接マーカスがエリーゼに対して、好きという言葉を言ったことがなく、不意を突かれたエリーゼは、驚いた顔をしてマーカスを見て、何かを言おうとしたが、マーカスがエリーゼの口元に人差し指を立てて、まだ話しては駄目だと合図する。
「私は、騎士として小さな頃から英才教育を受けてきました。ランク付けがされて、負ければ不要となり、どん底の生活を送らなければならなかった......ですから、生き残ることだけ戦うことだけで、最近まで愛などといった感情がわかりませんでした......」
エリーゼは、マーカスが元聖王国の十戒という強者で構成された騎士であることは知っていたが、生い立ちまでは知らず、驚きの表情に変わる。
「エリーゼさんは、当時魔物の街に連れて来られた私達に優しく色々教えてくれたり、魔物と打ち解ける機会を与えてくれましたよね。その辺りから、私はエリーゼさんに興味が湧き、初めはわからなかったのですが、知らず知らずのうちに目で追うようになって、それが愛だと気付きました」
マーカスは、時計台から見える景色を眺めながら当時の心境を語る。
エリーゼは、先程とは違い、マーカスの言葉一つ一つを受け止めようと真剣な表情で聞き入っていた。
「ですが、家族や友達にも縁がなかった私からすると、恋愛などどうしていいかわからず、エリーゼさんに中々気持ちを伝えられずにいました。でも、このままではいけないと気付いたのです!エリーゼ、至らないところだらけの私ですが、生涯を共に歩んでもらえませんか?」
話の流れからして、告白をしてくるような様子が一切なかったので、最後の言葉に驚いてしまう。
「こんな感じで言われると思ってなかったから、なんて答えたらいいかわからないけど、答える前に、私の話も聞いてもらってもいい?」
マーカスが、過去の話と自分の欠点や思い悩んでいたことを話してくれたことにより、エリーゼもマーカスに知ってもらおうと思った。
「エリーゼの話なら何時間でも聞いていたいですよ。私でよければ、エリーゼの話を聞かせてください。返事も急いではいませんから」
イケメンでなければ引かれそうなセリフを無意識に平気で口にする。しかし、マーカスは、まさにそのかっこよさを兼ね備えていて、しかも狙ってキザなセリフを言葉にしているわけではないので、引く要素が全くない。
更に、相手への気遣いすらも持ち合わせている。
「本当は、女性を何人も囲っていたんじゃないかと疑わしくなってくるわ。じゃなきゃ、そんな言葉が、次から次に出てくるのおかしいもの。って、そんな悲しい顔しないで。そんな人じゃないのはわかってるから」
エリーゼは、マーカスの仲間達から密かにマーカスをよろしくお願いしますと頼まれていた。そして、今まで恋愛したことがないことを事前に聞いていたので、少しからかうつもりで冗談を言ったのだが、マーカスは疑われてると感じて悲しい顔をしてしまった。
「じゃあ、私のこと話すね。元々私はアレクのことが好きだったの。正直私のことなんか興味ないのはわかってたけど、諦めきれずずっと追ってた。ここは、昔アレクが連れて来てくれた場所なんだけど......ごめんなさい。マーカスに言う事じゃなかったよね」
エリーゼは、自分の過去も話そうとしたが、マーカスの気を悪くさせるのではないかと話をやめて謝ってしまう。
「エリーゼ、今無理に話さなくていいですよ。私が聞きたいのは、今もタカハシ陛下のことが好きかどうかです。過去の話はこれから出来ますが、今の気持ちは今しか聞けませんから!答えてほしいです」
マーカスからすると、過去などはどうでもよく、今のエリーゼのことが好きなので今が気持ちを知ることが大事なのだ。
「アレクに対して思うことないは嘘になるわ。だって、初恋の人だから。でも、好きって感情はないかな。今は、マーカスが大切な人だし、私も生涯を共にしたいって思ってるもの」
エリーゼの言葉を聞いた瞬間、マーカスはエリーゼを強く抱きしめた。そして、二人の新たな時間が進んだかのように時計台の時計がゴーンゴーンと鳴り響いた。
「エリーゼ、嬉しいです!その言葉を待っていました。この時計台の過去はタカハシ陛下との思い出かもしれませんが、新たに私とエリーゼの思い出の場所として塗り替えましょう。それで、答えはYESと受け取っていいんですよね?」
「はい!よろしくお願いします!幸せにしてください」
エリーゼは、告白の返事をしたあと、マーカスの気持ちに応えるように抱きしめ返すのだった。
エリーゼもマーカスも、お互い考えていることを表に出さず、時計台の一番高く見晴らしのいい場所に到着した。
「一望出来ていい場所ですね。聖王国にいた時を考えると、今このように大好きな女性と共にしているなんて考えられませんでした。シー!最後まで話させてください」
今まで、直接マーカスがエリーゼに対して、好きという言葉を言ったことがなく、不意を突かれたエリーゼは、驚いた顔をしてマーカスを見て、何かを言おうとしたが、マーカスがエリーゼの口元に人差し指を立てて、まだ話しては駄目だと合図する。
「私は、騎士として小さな頃から英才教育を受けてきました。ランク付けがされて、負ければ不要となり、どん底の生活を送らなければならなかった......ですから、生き残ることだけ戦うことだけで、最近まで愛などといった感情がわかりませんでした......」
エリーゼは、マーカスが元聖王国の十戒という強者で構成された騎士であることは知っていたが、生い立ちまでは知らず、驚きの表情に変わる。
「エリーゼさんは、当時魔物の街に連れて来られた私達に優しく色々教えてくれたり、魔物と打ち解ける機会を与えてくれましたよね。その辺りから、私はエリーゼさんに興味が湧き、初めはわからなかったのですが、知らず知らずのうちに目で追うようになって、それが愛だと気付きました」
マーカスは、時計台から見える景色を眺めながら当時の心境を語る。
エリーゼは、先程とは違い、マーカスの言葉一つ一つを受け止めようと真剣な表情で聞き入っていた。
「ですが、家族や友達にも縁がなかった私からすると、恋愛などどうしていいかわからず、エリーゼさんに中々気持ちを伝えられずにいました。でも、このままではいけないと気付いたのです!エリーゼ、至らないところだらけの私ですが、生涯を共に歩んでもらえませんか?」
話の流れからして、告白をしてくるような様子が一切なかったので、最後の言葉に驚いてしまう。
「こんな感じで言われると思ってなかったから、なんて答えたらいいかわからないけど、答える前に、私の話も聞いてもらってもいい?」
マーカスが、過去の話と自分の欠点や思い悩んでいたことを話してくれたことにより、エリーゼもマーカスに知ってもらおうと思った。
「エリーゼの話なら何時間でも聞いていたいですよ。私でよければ、エリーゼの話を聞かせてください。返事も急いではいませんから」
イケメンでなければ引かれそうなセリフを無意識に平気で口にする。しかし、マーカスは、まさにそのかっこよさを兼ね備えていて、しかも狙ってキザなセリフを言葉にしているわけではないので、引く要素が全くない。
更に、相手への気遣いすらも持ち合わせている。
「本当は、女性を何人も囲っていたんじゃないかと疑わしくなってくるわ。じゃなきゃ、そんな言葉が、次から次に出てくるのおかしいもの。って、そんな悲しい顔しないで。そんな人じゃないのはわかってるから」
エリーゼは、マーカスの仲間達から密かにマーカスをよろしくお願いしますと頼まれていた。そして、今まで恋愛したことがないことを事前に聞いていたので、少しからかうつもりで冗談を言ったのだが、マーカスは疑われてると感じて悲しい顔をしてしまった。
「じゃあ、私のこと話すね。元々私はアレクのことが好きだったの。正直私のことなんか興味ないのはわかってたけど、諦めきれずずっと追ってた。ここは、昔アレクが連れて来てくれた場所なんだけど......ごめんなさい。マーカスに言う事じゃなかったよね」
エリーゼは、自分の過去も話そうとしたが、マーカスの気を悪くさせるのではないかと話をやめて謝ってしまう。
「エリーゼ、今無理に話さなくていいですよ。私が聞きたいのは、今もタカハシ陛下のことが好きかどうかです。過去の話はこれから出来ますが、今の気持ちは今しか聞けませんから!答えてほしいです」
マーカスからすると、過去などはどうでもよく、今のエリーゼのことが好きなので今が気持ちを知ることが大事なのだ。
「アレクに対して思うことないは嘘になるわ。だって、初恋の人だから。でも、好きって感情はないかな。今は、マーカスが大切な人だし、私も生涯を共にしたいって思ってるもの」
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「エリーゼ、嬉しいです!その言葉を待っていました。この時計台の過去はタカハシ陛下との思い出かもしれませんが、新たに私とエリーゼの思い出の場所として塗り替えましょう。それで、答えはYESと受け取っていいんですよね?」
「はい!よろしくお願いします!幸せにしてください」
エリーゼは、告白の返事をしたあと、マーカスの気持ちに応えるように抱きしめ返すのだった。
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