685 / 732
第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第792話 蔵之助の新たな目標と刺客!
しおりを挟む
ノックスは、エリクサーを飲んで腕を再生させる。そして、蔵之助は腕輪の力で傷口が塞がって息を吹き返した。
「蔵之助、治ったぞ!起きろ!」
「うっ、寒気と痛みがなくなっているでこざる。本当に、凄い腕輪でござるな。あれ?腕輪がないでござる」
蔵之助は、上体を起こすと、胸に開いた風穴がないことに気付いて驚いたあと、腕輪が消えていることに気付いた。
「そいつは使い捨てだからな。一度死を迎えたら身代わりで壊れる。蔵之助、今回はいい勝負だった!まさか、奥の手まで使わされるとは思ってなかったからな」
ノックスは、神力を使う気はなく、更には強化薬も使う気はなかった。
しかし、想像以上の蔵之助の力に出さざるを得なかった。
「そうでござろうな。こんな力を持った魔道具が永遠に使えたら無敵でござるからな。フッ、奥の手はまだ隠しておるでござろう?余裕そうに見えたでござるよ」
ノックスが、神力を使った時に感じた底知れない力は、あれが限界領域ではないと考えていた。
「俺の今の限界は、あれが精一杯だぞ。あることをすれば違うがな。まぁ、俺もまだまだだ。二度も、蔵之助の限界を見誤るなんてな」
以前、薬で全盛期の力を引き出したことで、力の上限は飛躍したが、まだノックス自身が成長しきれていないせいで、その上限分の器を満たす力を出すことができない。
そして最後、蔵之助の動きと剣速と力を予測して、ノックスは攻撃を仕掛けたが、想像以上の動きをされて腕と剣を失った。
「私は、無我夢中だったでござる。もう一度、あの動きをしろと言われても出来ないでござろう。だが、この戦いで目標をまた持てたのはよかったでござるよ。清々しい気分でござる」
蔵之助から、初めて会った時のような笑顔が戻る。そして、妥当ノックスから自らの成長という新たな目標まで出来た。
「ブッハハハ、戦いの中で何回も限界を超えるとはな。武士道精神には恐れ入る。次は、周りを気付かないながら成長しろよ。確かに、強くなったが、あのままだと周りに人がいなくなるからな」
「精神修行にはもってこいでござる。今度、一緒に滝行に行くでござるよ。そうでござるな。今回の身勝手な行動は反省するでござる」
先の見えない今回の目標は、どれだけ精神力が強い蔵之助でさえ蝕まれつつあった。しかし、次は目標が見えていることで、自分を見失うことなく突き進むことができる。
◆
ノックスと蔵之助が、死闘を繰り広げている頃、陛下とマンテ爺は転移の魔道具がある場所に向かっていた。
「文官が、見送りに来てくれると言っておったが、何故断ったのだ?」
大和ノ国を訪れた際にいた。文官が、見送ると発言したのだが、マンテ爺は間髪入れずに断りを入れた。
「ノックスの予感が正しければ、邪魔になるじゃろう。それに、無駄な命を亡くすわけにはいかんからのぅ。陛下、あの魔道具と薬は持っておるじゃろうな?」
「ノックスの予感であろう。十中八九当たるであろうな。うむ。持っておる」
同盟国である陛下を死なせるわけにはいかないと、以前アレクがラヴァーナに交渉をして、魔道具を貰っていた。そして、アレクからは緊急時ポーション薬一式をプレゼントされていたのだ。
「はじめまして。手荒な真似はしたくないので、大人しく我々に従ってはもらえないでしょうか?」
陛下とマンテ爺の前に現れたのは、黒い布で顔を隠した三人の忍者だった。そして、真ん中にいたリーダーらしき人物が話しかけてきた。
「何故、急に現れた者に従わなくてはならん。それに、余を連れていけば、王国と大和ノ国の関係は悪化し、最悪戦争が起こるが良いのか?」
陛下は、少しでも情報を収集するために、怯えるのではなく、王として毅然な態度で接する。
「戦争ですか......我々が待ち望んだ結果に近付くとだけお教えしましょう。親王から何を吹き込まれたかはわかりませんが、親王は何もわかっていません。では、長話をしにきたわけではありませんでの、そろそろついてきてはもらえませんか?」
この忍者は、何かを隠しながら親王もとい大和ノ国を恐れている様子を一切見せない。
陛下は、その言葉が虚勢なのか本当の言葉なのか判断しかねてしまい、返答が遅れる。
「すまんが、陛下の護衛として、ただ黙って連れて行かせるわけにはいかないんじゃ。抵抗させてもらうわい」
「ならば仕方ありません。影丸、あの者を殺しなさい」
真ん中にいたリーダーらしき忍者が命令を下した瞬間、マンテ爺に向かってクナイを投げた。マンテ爺は、陛下の前にいたので、影丸からすると、避けられず身を挺して守るか、クナイを跳ね返すかの二択であり、その瞬間、マンテ爺を殺そうとした。
しかし、マンテ爺は何の躊躇もなく躱して抜刀し、影丸の懐に潜り込み胴体を斬った。
「ぐはぁ、何故......避け......」
影丸は、考えてもみなかったマンテ爺の行動に反応が遅れてしまい、やられるがまま斬られて絶命した。
「何も対策を練っとらんとでも思ったのかのぅ。クナイくらいじゃと、陛下は傷つけられんぞい」
「服の中に防具を仕込んでいたのですか、ならばこれでどうですか!な、なぜ......」
忍者のリーダーは、咄嗟に肌が露出している顔と首と手を狙ってクナイを投げたが、陛下は自信満々の表情でクナイを跳ね返した。
陛下の顔や首や手へ、まともにクナイが当たったにも関わらず、跳ね返されてしまい、忍者のリーダーは目を見開いて驚くのであった。
「蔵之助、治ったぞ!起きろ!」
「うっ、寒気と痛みがなくなっているでこざる。本当に、凄い腕輪でござるな。あれ?腕輪がないでござる」
蔵之助は、上体を起こすと、胸に開いた風穴がないことに気付いて驚いたあと、腕輪が消えていることに気付いた。
「そいつは使い捨てだからな。一度死を迎えたら身代わりで壊れる。蔵之助、今回はいい勝負だった!まさか、奥の手まで使わされるとは思ってなかったからな」
ノックスは、神力を使う気はなく、更には強化薬も使う気はなかった。
しかし、想像以上の蔵之助の力に出さざるを得なかった。
「そうでござろうな。こんな力を持った魔道具が永遠に使えたら無敵でござるからな。フッ、奥の手はまだ隠しておるでござろう?余裕そうに見えたでござるよ」
ノックスが、神力を使った時に感じた底知れない力は、あれが限界領域ではないと考えていた。
「俺の今の限界は、あれが精一杯だぞ。あることをすれば違うがな。まぁ、俺もまだまだだ。二度も、蔵之助の限界を見誤るなんてな」
以前、薬で全盛期の力を引き出したことで、力の上限は飛躍したが、まだノックス自身が成長しきれていないせいで、その上限分の器を満たす力を出すことができない。
そして最後、蔵之助の動きと剣速と力を予測して、ノックスは攻撃を仕掛けたが、想像以上の動きをされて腕と剣を失った。
「私は、無我夢中だったでござる。もう一度、あの動きをしろと言われても出来ないでござろう。だが、この戦いで目標をまた持てたのはよかったでござるよ。清々しい気分でござる」
蔵之助から、初めて会った時のような笑顔が戻る。そして、妥当ノックスから自らの成長という新たな目標まで出来た。
「ブッハハハ、戦いの中で何回も限界を超えるとはな。武士道精神には恐れ入る。次は、周りを気付かないながら成長しろよ。確かに、強くなったが、あのままだと周りに人がいなくなるからな」
「精神修行にはもってこいでござる。今度、一緒に滝行に行くでござるよ。そうでござるな。今回の身勝手な行動は反省するでござる」
先の見えない今回の目標は、どれだけ精神力が強い蔵之助でさえ蝕まれつつあった。しかし、次は目標が見えていることで、自分を見失うことなく突き進むことができる。
◆
ノックスと蔵之助が、死闘を繰り広げている頃、陛下とマンテ爺は転移の魔道具がある場所に向かっていた。
「文官が、見送りに来てくれると言っておったが、何故断ったのだ?」
大和ノ国を訪れた際にいた。文官が、見送ると発言したのだが、マンテ爺は間髪入れずに断りを入れた。
「ノックスの予感が正しければ、邪魔になるじゃろう。それに、無駄な命を亡くすわけにはいかんからのぅ。陛下、あの魔道具と薬は持っておるじゃろうな?」
「ノックスの予感であろう。十中八九当たるであろうな。うむ。持っておる」
同盟国である陛下を死なせるわけにはいかないと、以前アレクがラヴァーナに交渉をして、魔道具を貰っていた。そして、アレクからは緊急時ポーション薬一式をプレゼントされていたのだ。
「はじめまして。手荒な真似はしたくないので、大人しく我々に従ってはもらえないでしょうか?」
陛下とマンテ爺の前に現れたのは、黒い布で顔を隠した三人の忍者だった。そして、真ん中にいたリーダーらしき人物が話しかけてきた。
「何故、急に現れた者に従わなくてはならん。それに、余を連れていけば、王国と大和ノ国の関係は悪化し、最悪戦争が起こるが良いのか?」
陛下は、少しでも情報を収集するために、怯えるのではなく、王として毅然な態度で接する。
「戦争ですか......我々が待ち望んだ結果に近付くとだけお教えしましょう。親王から何を吹き込まれたかはわかりませんが、親王は何もわかっていません。では、長話をしにきたわけではありませんでの、そろそろついてきてはもらえませんか?」
この忍者は、何かを隠しながら親王もとい大和ノ国を恐れている様子を一切見せない。
陛下は、その言葉が虚勢なのか本当の言葉なのか判断しかねてしまい、返答が遅れる。
「すまんが、陛下の護衛として、ただ黙って連れて行かせるわけにはいかないんじゃ。抵抗させてもらうわい」
「ならば仕方ありません。影丸、あの者を殺しなさい」
真ん中にいたリーダーらしき忍者が命令を下した瞬間、マンテ爺に向かってクナイを投げた。マンテ爺は、陛下の前にいたので、影丸からすると、避けられず身を挺して守るか、クナイを跳ね返すかの二択であり、その瞬間、マンテ爺を殺そうとした。
しかし、マンテ爺は何の躊躇もなく躱して抜刀し、影丸の懐に潜り込み胴体を斬った。
「ぐはぁ、何故......避け......」
影丸は、考えてもみなかったマンテ爺の行動に反応が遅れてしまい、やられるがまま斬られて絶命した。
「何も対策を練っとらんとでも思ったのかのぅ。クナイくらいじゃと、陛下は傷つけられんぞい」
「服の中に防具を仕込んでいたのですか、ならばこれでどうですか!な、なぜ......」
忍者のリーダーは、咄嗟に肌が露出している顔と首と手を狙ってクナイを投げたが、陛下は自信満々の表情でクナイを跳ね返した。
陛下の顔や首や手へ、まともにクナイが当たったにも関わらず、跳ね返されてしまい、忍者のリーダーは目を見開いて驚くのであった。
156
お気に入りに追加
5,417
あなたにおすすめの小説
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。