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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第791話 ノックスvs蔵之助!激闘......決着!
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ノックスと蔵之助は、今から戦闘が始まるというのが嘘のように、向かい合いながら微動だにせず、ただ立ち尽くしていた。
しかし、次の瞬間、蔵之助は常人では目で追えないスピードでノックスに近付き、帯刀の状態から刀を抜き、一撃そして二撃と与える。
「スキルも魔法も使わず、足運びだけでよくここまでの速さを身に着けたものだな。しかも、その剣速恐れいった。おやっさんの防具を断ち切るなんてな」
蔵之助は、体を前傾姿勢にし、重力を利用した移動法である縮地を使って、ノックスに急接近をし、抜刀術という、刀を帯刀した状態より、鞘から刀を抜き放つ動作で相手に一撃を与え、続く太刀捌きでさらに攻撃を加えた。
ノックスでさえも反応が遅れてしまうほどで、もしおやっさんの防具がなければ、一撃目で体が真っ二つになっていた。
しかし、二撃目は体をうまいこと捻って避け、腕にかすり傷を負う程度で済んだ。
「この二撃で勝つつもりでござったが、やはり一筋縄ではいかぬでござる。それに、その防具は凄いでござるな。大和ノ国の最強と言われた刀職人が打った大和刀であったが、一撃で刃こぼれしてしまうとは......」
大和刀をよく見ると、亀裂や刃こぼれが起きており、あと一度でも振りかざせば、ポッキリと折れてしまいそうな状態だ。
蔵之助は、刀を鞘に仕舞って、ノックスから少し距離を取る。
「蔵之助を馬鹿にしてたわけじゃなかったが、少し甘く見てたようだ。身体強化 魔装甲」
ノックスは、神力は使わないまでも、それ以外の身に着けた力を全て使用する。
しかも、始まったばかりにも関わらず、向上薬も全て服用した。
「さっきまでとは見違える力強さを感じるでござる。では、私も本気で行くでござる。修羅羅刹解放」
蔵之助も、前回の戦いの最終で見せた修羅羅刹を解放する。前回は、体から赤いオーラを発していたが、今回はワインレッドのような少し黒さが混ざった赤になっていた。
「ぶっはははは、これはおもしろい。よく一人でその極地まで辿り着いたな。行くぞ」
ノックスは、蔵之助の成長ぶりにワクワクが止まらない。そして、今回はノックスから仕掛ける。
だが、蔵之助もノックス同様、その場からすぐに姿を消して攻撃に転じた。
次の瞬間、ガキンと刀と剣がぶつかる音がして、音のした方向を見ると、中央で鍔迫り合いが起こっていた。
「ぐぬぬ」
「ゔゔゔ」
二人は、鍔を押し合って力比べをしていた。
しかも、蔵之助の新しい金銅色の刀は特別な鉱石で作られたノックスの大剣とぶつかり合っても刃こぼれ一つしない。
そして、鍔迫り合いをそこそこに、お互いは凄まじい剣技を披露してガキンガキンと刀と大剣をぶつけ合う。
「まさか、ここまでとはな。久しぶりに、魔法を使わない力と力のぶつかり合い、最高だ」
「私もでござる。こんなにも心躍る戦いはノックス殿としかできないでござるよ。だが、楽しい時間はあっという間でござる」
二人は、真剣勝負にも関わらず、終始笑みが溢れていた。
蔵之助は、念願の決闘が出来て喜ぶのは納得だが、ノックスは始めは乗り気ではなさそうだったにも関わらず嬉しそうにする。理由は、思いのほか、蔵之助が強いことと魔物の国で同じ相手との訓練ばかりで、マンネリ化していたところに、刺激をもたらしてくれたからだ。
「なら、最後に俺の全力を見せてやるよ。蔵之助も全力でこい」
ノックスは、神力を纏って強化薬を服用した。流石に、全盛期の力まで活性化させる薬は、一ヶ月支障が残るので使えないが、全力に近い力を解放している。
「ハハハ、これは流石に予想外でござった。力が計りしれぬでござるよ。だが、私の全力をぶつけるでござる」
蔵之助は、目を瞑って神経を研ぎ澄ませる。そして、柄に手を添えて、抜刀の構えに入る。
次の瞬間、ノックスが大気を震わせて地面を抉るほどの力で、蔵之助に迫り、大剣を振り下ろす。蔵之助も、カッと目を見開き、一閃を繰り出すが、結界を壊すほどの風圧と砂埃で、二人の様子を視界に捉えることができない。
「凄まじい戦いだ。ノックスも蔵之助も常軌を逸している......」
持東親王は、只々目の前の戦いの異常さに言葉が詰まってしまう。だが同時に、男として二人の天才同士の戦いに、胸の高鳴りを抑えられないでいた。
「ゲホゲホゲホゲホ、まさか大剣を真っ二つにされて、魔装甲を諸共せず腕を持っていかれるとはな。本当に、世界は広い」
「ぐはぁ......それは、こっちの台詞でござる。大剣を真っ二つにして、腕を吹き飛ばしたにも関わらず、軌道を変えて片手で心臓を突き刺す胆力......化け物でござった。私の負けでござる」
ノックスは、全ての力を解いて、その場に座り込む。蔵之助は、胸に大剣の半分が突き刺さったまま仰向けで倒れて血を吐きながら、負けを認めた。そして、二人はボロボロになりながらも満足そうな笑みを浮かべるのだった。
しかし、次の瞬間、蔵之助は常人では目で追えないスピードでノックスに近付き、帯刀の状態から刀を抜き、一撃そして二撃と与える。
「スキルも魔法も使わず、足運びだけでよくここまでの速さを身に着けたものだな。しかも、その剣速恐れいった。おやっさんの防具を断ち切るなんてな」
蔵之助は、体を前傾姿勢にし、重力を利用した移動法である縮地を使って、ノックスに急接近をし、抜刀術という、刀を帯刀した状態より、鞘から刀を抜き放つ動作で相手に一撃を与え、続く太刀捌きでさらに攻撃を加えた。
ノックスでさえも反応が遅れてしまうほどで、もしおやっさんの防具がなければ、一撃目で体が真っ二つになっていた。
しかし、二撃目は体をうまいこと捻って避け、腕にかすり傷を負う程度で済んだ。
「この二撃で勝つつもりでござったが、やはり一筋縄ではいかぬでござる。それに、その防具は凄いでござるな。大和ノ国の最強と言われた刀職人が打った大和刀であったが、一撃で刃こぼれしてしまうとは......」
大和刀をよく見ると、亀裂や刃こぼれが起きており、あと一度でも振りかざせば、ポッキリと折れてしまいそうな状態だ。
蔵之助は、刀を鞘に仕舞って、ノックスから少し距離を取る。
「蔵之助を馬鹿にしてたわけじゃなかったが、少し甘く見てたようだ。身体強化 魔装甲」
ノックスは、神力は使わないまでも、それ以外の身に着けた力を全て使用する。
しかも、始まったばかりにも関わらず、向上薬も全て服用した。
「さっきまでとは見違える力強さを感じるでござる。では、私も本気で行くでござる。修羅羅刹解放」
蔵之助も、前回の戦いの最終で見せた修羅羅刹を解放する。前回は、体から赤いオーラを発していたが、今回はワインレッドのような少し黒さが混ざった赤になっていた。
「ぶっはははは、これはおもしろい。よく一人でその極地まで辿り着いたな。行くぞ」
ノックスは、蔵之助の成長ぶりにワクワクが止まらない。そして、今回はノックスから仕掛ける。
だが、蔵之助もノックス同様、その場からすぐに姿を消して攻撃に転じた。
次の瞬間、ガキンと刀と剣がぶつかる音がして、音のした方向を見ると、中央で鍔迫り合いが起こっていた。
「ぐぬぬ」
「ゔゔゔ」
二人は、鍔を押し合って力比べをしていた。
しかも、蔵之助の新しい金銅色の刀は特別な鉱石で作られたノックスの大剣とぶつかり合っても刃こぼれ一つしない。
そして、鍔迫り合いをそこそこに、お互いは凄まじい剣技を披露してガキンガキンと刀と大剣をぶつけ合う。
「まさか、ここまでとはな。久しぶりに、魔法を使わない力と力のぶつかり合い、最高だ」
「私もでござる。こんなにも心躍る戦いはノックス殿としかできないでござるよ。だが、楽しい時間はあっという間でござる」
二人は、真剣勝負にも関わらず、終始笑みが溢れていた。
蔵之助は、念願の決闘が出来て喜ぶのは納得だが、ノックスは始めは乗り気ではなさそうだったにも関わらず嬉しそうにする。理由は、思いのほか、蔵之助が強いことと魔物の国で同じ相手との訓練ばかりで、マンネリ化していたところに、刺激をもたらしてくれたからだ。
「なら、最後に俺の全力を見せてやるよ。蔵之助も全力でこい」
ノックスは、神力を纏って強化薬を服用した。流石に、全盛期の力まで活性化させる薬は、一ヶ月支障が残るので使えないが、全力に近い力を解放している。
「ハハハ、これは流石に予想外でござった。力が計りしれぬでござるよ。だが、私の全力をぶつけるでござる」
蔵之助は、目を瞑って神経を研ぎ澄ませる。そして、柄に手を添えて、抜刀の構えに入る。
次の瞬間、ノックスが大気を震わせて地面を抉るほどの力で、蔵之助に迫り、大剣を振り下ろす。蔵之助も、カッと目を見開き、一閃を繰り出すが、結界を壊すほどの風圧と砂埃で、二人の様子を視界に捉えることができない。
「凄まじい戦いだ。ノックスも蔵之助も常軌を逸している......」
持東親王は、只々目の前の戦いの異常さに言葉が詰まってしまう。だが同時に、男として二人の天才同士の戦いに、胸の高鳴りを抑えられないでいた。
「ゲホゲホゲホゲホ、まさか大剣を真っ二つにされて、魔装甲を諸共せず腕を持っていかれるとはな。本当に、世界は広い」
「ぐはぁ......それは、こっちの台詞でござる。大剣を真っ二つにして、腕を吹き飛ばしたにも関わらず、軌道を変えて片手で心臓を突き刺す胆力......化け物でござった。私の負けでござる」
ノックスは、全ての力を解いて、その場に座り込む。蔵之助は、胸に大剣の半分が突き刺さったまま仰向けで倒れて血を吐きながら、負けを認めた。そして、二人はボロボロになりながらも満足そうな笑みを浮かべるのだった。
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