チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

【3巻書籍化！発売中】第789話 忍者の里と大和ノ国の複雑な関係！

「忍術とはなんなのだ？」

陛下は、これからのことを話し合う上で、忍術に対して理解する必要性があると感じた。

「ふむ～......わかりやすく言えば、魔法のように、火・水・土・風と術がある。そして、厄介なのが、禁術も存在していて、これを使えるのが、その女忍者なんだ。だからこそ、封印を解く者に出会っていたとしたら大変な問題になるかもしれない」

「うむ。その話であると魔法と類似する点が多いのだな。それだけで厄介ではあるが、禁術というのが聞き捨てならん言葉である。封印を解くと言っておったが、女忍者以外にも追放された忍者や出て行った忍者がおるのか？」

陛下は、魔法に匹敵する力とまでは思っていなかったので、類似する点や使える属性の多さに驚く。
更に、それをも凌ぐような禁術という言葉に、一刻の猶予もないと感じさせられた。

「類似点は多いが、極めたとするならスキルに近い力を使える忍術の方が魔法よりも強い可能性がある。それに、禁術は......いや、今は大和ノ国以外に忍者がいるかどうかだな。女忍者を合わせると、3人の忍者が存在する」

女忍者が使った体を液体状にするような特殊忍術を使えた場合、魔法よりも勝ると言われている。
そして、禁術に関しては、忍者の里に住まう長老に聞くべきだと思った持東親王は語るのをやめた。

「何故、そのような強い者達が、大和ノ国を牛耳ろうとしないのか過去の背景が気になるぞ。しかし、そのような使い手達が、世に放たれた今、慎重に動かねばならんな」

陛下の目から見ても持東親王の周りには、強者はおらず、逆に忍者を雇うような関係性がどう作られたのか気になってしまう。

「語ると長くなるが、簡単に言えば、当時の天皇の周りには蔵之助以上の剣豪が8人いた。忍者は、幕府を陥れるため攻め込んだが、8人の剣豪に返り討ちにされ、皆殺しされる一歩手前で、その時の長老が懇願し、ある誓約を幕府と結んだんだ」

「すまんが、天皇と親王ではどちらの方が上なのだ？今の話であれば、天皇が一番上に聞こえるのだが......幕府というのも初めて聞く。うむ。ある誓約とな？」

親王が、一番上だと思っていたが、天皇という言葉が出で、何故親王の位である持東親王が会談の場についているのだろうと陛下は思った。

「そうか。そこから話す必要があるか。本来私は天皇に即位しているのだが、私の個人的な理由で親王のままでいる。理由は、いずれ話させてほしい。誓約の内容は、忍者と幕府の間だけの秘密なんだ。答えられず申し訳ない」

大和ノ国と持東親王と忍者には、何やら隠された秘密がたくさんあるようだ。

「謝る必要はない。むしろ、国の秘密を探るような形となったこと申し訳ない。話を変えるとしよう。余達は、まんまと忍者を逃亡させる失態をやらかしてしまった......そこで、是が非でも捕まえたいのであるが、協力してもらえないだろうか？」

「幕府は、掟で協力出来ない。そして、厄介なのが忍者の里に情報が漏れた場合、必ず追放者の排除に向かい、王国が行くならば行く手を阻むだろう。私達が出来るのは、忍者の里に情報を漏らさないことだけだ。申し訳ない......」

陛下は、最終的に大和ノ国と公国を混じえた三国で解決しようとしたが、大和ノ国は一筋縄ではいかない。

「うむ。決まりがあるのならば、無理強いはできんな。どうにか忍者の里に漏れんようにせねばならん。持東親王、会談の時間を設けてくれて感謝する。余は、国に戻り、早速対策を練るとしよう」

「力になれず申し訳ない。陛下、国に戻る前に、大和ノ国の料理を用意しているから食べていってくれないか？」

陛下から持東親王に握手を求めると、快く応じてくれた。
そして、アレクも大好きな和の料理が、用意されていると聞いて、ノックスとマンテ爺は目を輝かせる。

「せっかく用意してもらい申し訳ないが、時間が......」

「陛下、アレク坊も虜にする大和ノ国の料理を食わないんだな？それに、俺は蔵之助との決闘も控えてるんだ。俺は、陛下を送ったら帰ってくるぞ」

「なんじゃ。陛下は食わんのか。刺し身と日本酒、それに天ぷらや大和牛のステーキ。美味な物ばかり揃っておるじゃろうからな。勿体ないわい。陛下を送り届けたら、ワシらだけで食おうかのぅ」

陛下は、大和ノ国の料理の素晴らしさを知らないので、すぐに帰ろうとする。
しかし、ノックスとマンテ爺は、食べる気満々で、ノックスが陛下の肩に腕を回し、二人はわざと煽るように言う。

「アレクがか！？ちょ、ちょっと待て！何故余を追い返そうとする！食うに決まっておろう」

陛下は、二人の話を聞いて慌てるように、持東親王に食べたいことを伝える。すると、ノックスとマンテ爺と持東親王は大笑いするのだった。