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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第784話 王国またしても危機!?忍者の隠された秘密!
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時は少し遡り、アレク達がドワーフの国に行こうとしていた頃、王城ではアレクを襲った公国の貴族と大和ノ国の忍者のことについて話し合っていた。
「あの者達からさらなる情報を得られたか?」
陛下は、アントンを呼び、外交のための材料を集めようとしていた。
「アレク王から渡された自白薬を使い、公国の貴族から吐かせることは出来たのですが、没落寸前の貴族が金欲しさに動いた犯行のようです。ですが、詳しい情報を持っていないことから使い捨てだろうと推測しております」
この貴族達が、何故あのような行動に出たかという真の犯行理由を掴むことは出来ていない。しかも、この貴族達に依頼した存在の情報すら持っていない。
「そうであるか......忍者は、大和ノ国を追われた者であったな。その者から何か自白させることは出来たのか?」
「いえ、尋問はもとい拷問にも耐え、アレク王から頂いた自白薬すらも耐えております。どのように耐えているかはわかりませんが、拷問をした者によれば、指を切り落としても声一つ上げなかったようです」
大和ノ国の元忍者は、どのような手を使っているか不明ではあるが、現状手を尽くせるだけの尋問をしても効果はないようだ。
「アレクの自白薬のお陰で嫌な拷問がなくなると思っておったが、耐える者がいようとはな。魔力を無効化する拘束具はあるが、忍者に有効な魔道具はないからな。ん!?待て、アントン!忍者に、逃げられる心配はないであろうな?」
陛下は、犯罪者であったとしても、昔から拷問を良くは思っていなかった。そして、アレクの自白薬を供給してもらえるようになり、無駄な尋問や拷問を無くすことが出来ていたのだが、忍者という対峙したことのない相手には効かず、手を焼いてしまう。
忍者には特別な力があることを知った陛下は、攻撃手段や逃げる手段があるのではと懸念した。
「その心配はないかと思われます。自白薬が効かなかった時点で、こちらが用意した布1枚の服に着替えさせました。そして、窓はなく分厚い鋼鉄の扉の部屋に移し、拘束具も抜け出せないよう念には念を入れております」
アントンも、陛下と同じく懸念していたらしく、今まで使うことのなかった収監部屋まで使い、完全隔離した。
「うむ。それならば良いが、逃げられんよう警備は厳重にするのであるぞ」
「ハッ、畏まりました!更に、警備人数を......」
アントンが、返答しようとした瞬間、執務室のドアがノックされる。
「第三騎士団所属のケーナです!緊急事態が起き、至急お知らせしたいことがございます」
部屋の外から慌てている声で、入室を求める。陛下は、すぐに入るようにと返答をする。
「ケーナよ、緊急なのであろう?礼を取らなくてよい。何があったのか簡潔に説明せよ」
「ハッ、忍者が逃げました。気付いた時にはもぬけの殻で、どこから脱出したのかもわかりません。只今、全騎士団が捜索に当たっています」
先程まで、陛下が懸念していたことが、ものの数分後に起こり、頭を抱える。
「うむ。予想していたこととはいえ、こうもあっさりとはな。証拠を残さず、脱出したということは壁をすり抜けられるか、その類であろう。引き続き捜索に当たり、明日追って各隊長に指示を出すと伝えてくれるか?」
「ハッ!畏まりました!失礼致します」
陛下は、騎士や兵士を責めるようなことは言わず、今後の動きをどうするか考えていた。
「陛下、大変申し訳ございません。私が、警備や収監にあたっての最終判断を下しましたので、兵士や騎士にではなく、私に処罰をお与えてください」
アントンは、ただの犯罪者ではなく、アレクの自白薬や拷問に無表情で耐える凶悪犯罪者を野放しにしてしまったことに責任を感じてしまう。
「誰にも処罰を与えるつもりはない!忍者が何を使うかわからない以上、どうしようもないであろう。今は、責任を感じるよりも、民に危険が及ばんよう対策を練るのが重要であろう?」
「陛下の寛大さに感謝すると同時に、以後このようなことがないよう対策致します。このまま見つからなかった場合、アレク王にお願いし、大和ノ国との話し合いを行いますか?」
陛下は、今回のことに関しては対策のしようがないので、誰に対しても責任を負わすことはない。アントンは、他の国であれば、絶対に許されることではないと思っているので、頭を下げて感謝する。
「うむ!大和ノ国とはいずれ話し合う予定であった。しかし、追放された者のことで追及するのはお門違いだと思っておったから会談は持たんようにしておったが、そうも言ってられん状況であろう。追及ではなく、忍者について聞こうと思っておる」
「畏まりました。では、パスクに取り持って貰えるよう相談してみます。今回は、アレク王に頼らず解決をすると言ってしまいましたが、民の安全と凶悪犯罪者の確保が優先でしょう」
陛下が、アレクの前で頼らない発言をしてしまった以上、本来であれば最後まで自分自身で解決しないといけないのだが、恥よりも民を優先する陛下らしい選択をするのだった。
「あの者達からさらなる情報を得られたか?」
陛下は、アントンを呼び、外交のための材料を集めようとしていた。
「アレク王から渡された自白薬を使い、公国の貴族から吐かせることは出来たのですが、没落寸前の貴族が金欲しさに動いた犯行のようです。ですが、詳しい情報を持っていないことから使い捨てだろうと推測しております」
この貴族達が、何故あのような行動に出たかという真の犯行理由を掴むことは出来ていない。しかも、この貴族達に依頼した存在の情報すら持っていない。
「そうであるか......忍者は、大和ノ国を追われた者であったな。その者から何か自白させることは出来たのか?」
「いえ、尋問はもとい拷問にも耐え、アレク王から頂いた自白薬すらも耐えております。どのように耐えているかはわかりませんが、拷問をした者によれば、指を切り落としても声一つ上げなかったようです」
大和ノ国の元忍者は、どのような手を使っているか不明ではあるが、現状手を尽くせるだけの尋問をしても効果はないようだ。
「アレクの自白薬のお陰で嫌な拷問がなくなると思っておったが、耐える者がいようとはな。魔力を無効化する拘束具はあるが、忍者に有効な魔道具はないからな。ん!?待て、アントン!忍者に、逃げられる心配はないであろうな?」
陛下は、犯罪者であったとしても、昔から拷問を良くは思っていなかった。そして、アレクの自白薬を供給してもらえるようになり、無駄な尋問や拷問を無くすことが出来ていたのだが、忍者という対峙したことのない相手には効かず、手を焼いてしまう。
忍者には特別な力があることを知った陛下は、攻撃手段や逃げる手段があるのではと懸念した。
「その心配はないかと思われます。自白薬が効かなかった時点で、こちらが用意した布1枚の服に着替えさせました。そして、窓はなく分厚い鋼鉄の扉の部屋に移し、拘束具も抜け出せないよう念には念を入れております」
アントンも、陛下と同じく懸念していたらしく、今まで使うことのなかった収監部屋まで使い、完全隔離した。
「うむ。それならば良いが、逃げられんよう警備は厳重にするのであるぞ」
「ハッ、畏まりました!更に、警備人数を......」
アントンが、返答しようとした瞬間、執務室のドアがノックされる。
「第三騎士団所属のケーナです!緊急事態が起き、至急お知らせしたいことがございます」
部屋の外から慌てている声で、入室を求める。陛下は、すぐに入るようにと返答をする。
「ケーナよ、緊急なのであろう?礼を取らなくてよい。何があったのか簡潔に説明せよ」
「ハッ、忍者が逃げました。気付いた時にはもぬけの殻で、どこから脱出したのかもわかりません。只今、全騎士団が捜索に当たっています」
先程まで、陛下が懸念していたことが、ものの数分後に起こり、頭を抱える。
「うむ。予想していたこととはいえ、こうもあっさりとはな。証拠を残さず、脱出したということは壁をすり抜けられるか、その類であろう。引き続き捜索に当たり、明日追って各隊長に指示を出すと伝えてくれるか?」
「ハッ!畏まりました!失礼致します」
陛下は、騎士や兵士を責めるようなことは言わず、今後の動きをどうするか考えていた。
「陛下、大変申し訳ございません。私が、警備や収監にあたっての最終判断を下しましたので、兵士や騎士にではなく、私に処罰をお与えてください」
アントンは、ただの犯罪者ではなく、アレクの自白薬や拷問に無表情で耐える凶悪犯罪者を野放しにしてしまったことに責任を感じてしまう。
「誰にも処罰を与えるつもりはない!忍者が何を使うかわからない以上、どうしようもないであろう。今は、責任を感じるよりも、民に危険が及ばんよう対策を練るのが重要であろう?」
「陛下の寛大さに感謝すると同時に、以後このようなことがないよう対策致します。このまま見つからなかった場合、アレク王にお願いし、大和ノ国との話し合いを行いますか?」
陛下は、今回のことに関しては対策のしようがないので、誰に対しても責任を負わすことはない。アントンは、他の国であれば、絶対に許されることではないと思っているので、頭を下げて感謝する。
「うむ!大和ノ国とはいずれ話し合う予定であった。しかし、追放された者のことで追及するのはお門違いだと思っておったから会談は持たんようにしておったが、そうも言ってられん状況であろう。追及ではなく、忍者について聞こうと思っておる」
「畏まりました。では、パスクに取り持って貰えるよう相談してみます。今回は、アレク王に頼らず解決をすると言ってしまいましたが、民の安全と凶悪犯罪者の確保が優先でしょう」
陛下が、アレクの前で頼らない発言をしてしまった以上、本来であれば最後まで自分自身で解決しないといけないのだが、恥よりも民を優先する陛下らしい選択をするのだった。
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