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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第782話 おやっさんとアレクの関係性が更に深まる!
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ドワーフを交えての大宴会が行われると、先程行われた三人の宴会よりも盛り上がり、続々と他の平屋で寝ていたドワーフ達が目を覚ます。
そして、先に起きていたドワーフが、新たに目を覚ましたドワーフ達に事情を説明する。そのお陰で、アレク達の二度手間とドワーフ達から変に警戒されることもなかった。
「アレク、少し良いか?」
「うん。いいよ。おやっさん、ちょっと離れるね」
ラヴァーナに呼ばれたアレクは、立ち上がって少し離れた場所に行く。
アレクが、おやっさんに声をかけると、手を挙げてわかったと合図した。
「わざわざ呼び出してすまぬな。先程はうまく言い逃れ出来たが、やはり壊してしまった以上、国作りを手伝うべきだと考えておる。アレクにも手伝いをお願いしたいのだ」
ラヴァーナは、嘘も方便とはいえ、少なからず罪悪感を感じていた。
「おやっさんを含めた魔物の国にいるドワーフと魔物を派遣するつもりだよ。でも、うちにいるドワーフは、技術力が他より突出してるから引き抜きに会わないか心配してる」
アレクは、言われる前から再建に力を貸すつもりでいたのと、もし故郷に戻りたいドワーフがいれば、了承するつもりではいたが、本音では大切な仲間を失いたくはないと思っていて、複雑な心境になっている。
「基本的に、王同士余程の関係性がない限りは、他国の者を引き抜いてはいけぬという暗黙の決まりがある。だが、現状ドワーフの国はなりふりかまってはいられぬであろうから、始めに釘を刺しておくか、対策は必要であろうな」
「暗黙の決まりかぁ......何人も亡くなってるし、指揮する王すらいないって考えると、人手はほしいよね。う~ん。でもまだ、引き抜くとは決まってないから釘を刺すようなことはしたくないんだよね。少し考えてみるよ」
毅然な態度でいる王や口がうまい王であれば、相手を不快にさせず、やんわりと釘を刺すことが出来るのだが、アレクはどちらでもないのと、優し過ぎるところがあるので、どうしようかと悩んでしまう。
「うむ。アレク次第であるな。とりあえず、妾のお願いを聞いてもらえるのはありがたい。では、戻るとしようか」
ラヴァーナは、これ以上、他国同士のことに、口を出すものではないとわかっているので、アレクから助け舟を必要とされたら動こうと考えた。
そして、二人はおやっさんとドワーフがいる場所へと戻る。
「おやっさん、お待たせ~!それにしても、みんなと楽しそうにしててよかったよ。思い出話をしてたのかな?」
アレクが、戻るとおやっさんとセゲル達は、大笑いして盛り上がっていた。
「ガッハハハハ、昔話とこれからのことを話しておったわい。ワシに、王を任せたいとセゲル達が言っておるんじゃ」
アレクとラヴァーナの会話から出てきた引き抜きという話が、更に大きなものとなって突き付けられる。
「え!?王?おやっさんは、どうする気なの?」
「坊主の考えておるようなことにはならんわい!さっきも話したが、ワシは魔物の国の鍛冶職人兼アレク王に仕えとる身じゃ。それに、長く離れておったワシより、見限らずドワーフの国を支えてきたセゲルが王になるべきじゃわい」
アレクの少し意気消沈した声から、おやっさんはすぐに何を考えているのかを察して、ドワーフの国に戻らないと発言した。
「おやっさん......あっ、俺ちょっと街の様子見てくるね」
アレクは、すぐに後ろを向いて照れ笑いを浮かべると、荒野になって何もないドワーフの街があったであろう方向に走り出した。
「完全に照れておるな。可愛いとこもあるものだ」
ラヴァーナは、今まで見たことのないアレクの照れる姿が新鮮で面白くもあり、可愛く見えてしまう。
「出ていったあと、どうしていたか気になっていたが、充実してたんだな。そして、大切な場所を見つけ、あんなに心配してくれて愛してくれる仲間がいるのを見て、付け入る隙がないのと安心もした。これからは、良き友として付き合っていこう」
セゲルは、おやっさんとアレクのやりとりを見て、昔ドワーフの国で充実した日々を送っていたおやっさんの様子に戻っており嬉しい気持ちになったのと、大切な仲間がいることに安心もしていた。
「ワシも予期しておらんかったわい。しがない鍛冶師で一生を終えると思っておったんじゃが、毎日が目まぐるしくも楽しい日々を送っておるわい。それに、アレク王しか知らん技術や製法や発想が、ワシの技術魂をくすぐるんじゃ!離れたくても離れられんわい」
おやっさんは、アレクの前世の知識のことを持ち出して話すが、本当はそれだけではなく、アレク個人のことも気に入っている。
「アッハハハハ、幸せそうだ。あの頑固なおやっさんを、ここまで懐柔するとは。アレク王の人間性も優れているのだろう。おやっさんは、素直じゃないから全てを語らないとは思うがな」
「坊主は、まだまだ子供じゃ!さぁ、こんな話よりも、今日は盛大に飲むぞい!ガッハハハハ」
セゲルからすると、アレクとおやっさんは、ある意味似た者同士だと感じると同時に、友であり尊敬しているおやっさんと、ここまでの信頼関係を結ぶアレク王と色んな意味で繋がりを持ちたいと考えるのだった。
そして、先に起きていたドワーフが、新たに目を覚ましたドワーフ達に事情を説明する。そのお陰で、アレク達の二度手間とドワーフ達から変に警戒されることもなかった。
「アレク、少し良いか?」
「うん。いいよ。おやっさん、ちょっと離れるね」
ラヴァーナに呼ばれたアレクは、立ち上がって少し離れた場所に行く。
アレクが、おやっさんに声をかけると、手を挙げてわかったと合図した。
「わざわざ呼び出してすまぬな。先程はうまく言い逃れ出来たが、やはり壊してしまった以上、国作りを手伝うべきだと考えておる。アレクにも手伝いをお願いしたいのだ」
ラヴァーナは、嘘も方便とはいえ、少なからず罪悪感を感じていた。
「おやっさんを含めた魔物の国にいるドワーフと魔物を派遣するつもりだよ。でも、うちにいるドワーフは、技術力が他より突出してるから引き抜きに会わないか心配してる」
アレクは、言われる前から再建に力を貸すつもりでいたのと、もし故郷に戻りたいドワーフがいれば、了承するつもりではいたが、本音では大切な仲間を失いたくはないと思っていて、複雑な心境になっている。
「基本的に、王同士余程の関係性がない限りは、他国の者を引き抜いてはいけぬという暗黙の決まりがある。だが、現状ドワーフの国はなりふりかまってはいられぬであろうから、始めに釘を刺しておくか、対策は必要であろうな」
「暗黙の決まりかぁ......何人も亡くなってるし、指揮する王すらいないって考えると、人手はほしいよね。う~ん。でもまだ、引き抜くとは決まってないから釘を刺すようなことはしたくないんだよね。少し考えてみるよ」
毅然な態度でいる王や口がうまい王であれば、相手を不快にさせず、やんわりと釘を刺すことが出来るのだが、アレクはどちらでもないのと、優し過ぎるところがあるので、どうしようかと悩んでしまう。
「うむ。アレク次第であるな。とりあえず、妾のお願いを聞いてもらえるのはありがたい。では、戻るとしようか」
ラヴァーナは、これ以上、他国同士のことに、口を出すものではないとわかっているので、アレクから助け舟を必要とされたら動こうと考えた。
そして、二人はおやっさんとドワーフがいる場所へと戻る。
「おやっさん、お待たせ~!それにしても、みんなと楽しそうにしててよかったよ。思い出話をしてたのかな?」
アレクが、戻るとおやっさんとセゲル達は、大笑いして盛り上がっていた。
「ガッハハハハ、昔話とこれからのことを話しておったわい。ワシに、王を任せたいとセゲル達が言っておるんじゃ」
アレクとラヴァーナの会話から出てきた引き抜きという話が、更に大きなものとなって突き付けられる。
「え!?王?おやっさんは、どうする気なの?」
「坊主の考えておるようなことにはならんわい!さっきも話したが、ワシは魔物の国の鍛冶職人兼アレク王に仕えとる身じゃ。それに、長く離れておったワシより、見限らずドワーフの国を支えてきたセゲルが王になるべきじゃわい」
アレクの少し意気消沈した声から、おやっさんはすぐに何を考えているのかを察して、ドワーフの国に戻らないと発言した。
「おやっさん......あっ、俺ちょっと街の様子見てくるね」
アレクは、すぐに後ろを向いて照れ笑いを浮かべると、荒野になって何もないドワーフの街があったであろう方向に走り出した。
「完全に照れておるな。可愛いとこもあるものだ」
ラヴァーナは、今まで見たことのないアレクの照れる姿が新鮮で面白くもあり、可愛く見えてしまう。
「出ていったあと、どうしていたか気になっていたが、充実してたんだな。そして、大切な場所を見つけ、あんなに心配してくれて愛してくれる仲間がいるのを見て、付け入る隙がないのと安心もした。これからは、良き友として付き合っていこう」
セゲルは、おやっさんとアレクのやりとりを見て、昔ドワーフの国で充実した日々を送っていたおやっさんの様子に戻っており嬉しい気持ちになったのと、大切な仲間がいることに安心もしていた。
「ワシも予期しておらんかったわい。しがない鍛冶師で一生を終えると思っておったんじゃが、毎日が目まぐるしくも楽しい日々を送っておるわい。それに、アレク王しか知らん技術や製法や発想が、ワシの技術魂をくすぐるんじゃ!離れたくても離れられんわい」
おやっさんは、アレクの前世の知識のことを持ち出して話すが、本当はそれだけではなく、アレク個人のことも気に入っている。
「アッハハハハ、幸せそうだ。あの頑固なおやっさんを、ここまで懐柔するとは。アレク王の人間性も優れているのだろう。おやっさんは、素直じゃないから全てを語らないとは思うがな」
「坊主は、まだまだ子供じゃ!さぁ、こんな話よりも、今日は盛大に飲むぞい!ガッハハハハ」
セゲルからすると、アレクとおやっさんは、ある意味似た者同士だと感じると同時に、友であり尊敬しているおやっさんと、ここまでの信頼関係を結ぶアレク王と色んな意味で繋がりを持ちたいと考えるのだった。
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