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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第780話 遂に転生者とバレた!?国が、無くなっているのだが......
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アレク達は、ドワーフの国が完全消滅してしまったにも関わらず、ツマミまで出して祝杯を上げ続けている。
「坊主と飲む日が来るとはのぅ。感慨深いものがあるわい。それにしても、成人したてとは思えんくらいよく飲むのぅ。ドワーフの血が流れとるんじゃないか?ガッハハハハ」
さっきまで、死の淵に立たされていたのが嘘のような大宴会が開かれており、おやっさんはアレクのいい呑みっぷりに嬉しくなり大笑いをする。
「呑み方も様になっておるのが不思議であるな。成人する前から呑んでおったでだろう?」
ラヴァーナは、アレクが神と繋がっていることは知っているが、日本から転生したことを知らないので、こんな発言をしている。
「呑むわけないでしょ。俺は、転生者で転生前は37歳のおじさんだっただけ。今呑んでるウイスキーも前世の知識からおやっさん達に体現してもらったものだよ」
「は!?転生者だと?」
アレクは、今まで語ることはしなかったが、酔いが回ってしまい、ついつい口を滑らせてしまう。
こんな形で、しかも、思いがけない内容が飛び込んできたので、ラヴァーナは大声で驚きの声を上げる。
「坊主、まだまだ甘いのぅ。酔いが回って口を滑らせるのはいかんわい」
「うっ......でも、もう言っちゃったから仕方ないよ。俺は、前世の記憶があるまま転生したんだよ。魔物の国の信頼出来る人と陛下とアントンさんくらいしか知らないから内緒にしてね」
おやっさんは、アレクの失態がおもしろくて笑ってしまう。
アレクは、言ってしまったものは仕方ないと開き直る。
「そんな大事なことは、もっとしっかりした場で聞きたかったぞ!勿論、黙っておるが、今後酒の場で口を滑らすのだけは注意するのだ」
「そうだね。アナベルじゃなかったら大変なことになってたよ。次からは気をつけるようにするね」
アレクは、母親にお叱りを受ける子供のような構図でラヴァーナに注意されてしまう。
「坊主、どうやら目覚めたようじゃぞ。家が騒がしくなっておるわい」
アレクとラヴァーナは、大きな声を出していたので気が付かなかったが、一人ゆっくり酒を楽しんでいたおやっさんは平屋が騒がしくなったことに、いち早く気付いた。
「本当だね。様子......」
「アレク、待て!出てくるまで、ここにおれ。それから、出てきてもおやっさんに任せるのだ。話の腰を折るでないぞ」
アレクは、アルコール中和薬を飲んで立ち上がり、平屋に向かおうとする。
しかし、ラヴァーナはアレクを止めて、おやっさんに全て任せるように言った。
「ガッハハハハ、魔王様はよくわかっておるわい。坊主は、どっしり構えて魔王様と宴会の続きを楽しんでおれ」
おやっさんは、グラスにウイスキーを入れてから、ゆっくりと立ち上がって、数歩だけ歩いて平屋に近付く。
すると、一人のドワーフを先頭に、ぞろぞろとドワーフが平屋から出てきた。
「俺達を救ってくれたのは、お前さんかい?」
先頭にいたドワーフが、おやっさんに話しかけてくる。
「久しいのぅ。セゲル。病を治したのは、後ろにおるアレク王じゃ。ワシと魔王様は、完治した患者を運んだくらいじゃわい」
「ま、ま、まさか!その声は......おやっさんなのか!?」
おやっさんとセゲルというドワーフは、知り合いのようなのだが、やはり名前で呼ぶことはなく、おやっさんで通っているようだ。
「ガッハハハハ、そうじゃ。ようワシのことを覚えておったのぅ。じゃが、まずはお前らを助けたアレク王と魔王様にお礼を早くするんじゃ!」
おやっさんは、懐かしく馴染みのある人物と出会えて嬉しそうにする。
そして自然な流れでアレクのことを紹介できるように、うまいこと持って行く。
「おやっさんは、相変わらずだ!積もる話が山程あるというのに......アレク王、挨拶が遅れて申し訳ない!セゲルと申す。数多くのドワーフを助けてくれてありがとう。そして魔王様も、迅速な救援、誠に感謝している」
おやっさんの立ち振舞は、ジャルから聞いていた通り、今も昔も変わっていないようだ。
セゲルは、ヤレヤレといった様子で、後頭部を掻いたあと、アレクとラヴァーナにお礼を言って頭を下げる。
「セゲルさん、気にしないでください。お世話になっているおやっさんの故郷を助けないわけにはいきませんからね。それはそうと、無事皆さんが回復してよかったです」
「同盟国を救うのは当たり前である。ドワーフという素晴らしい種族が、この世から居なくなるのは損失でしかない」
アレクもラヴァーナも、本心ではあるが、どこかよそ行きの顔を覗かせる。
「そう言ってもらって感謝しかない。一つ聞きたいのだが、ドワーフの国はどこに行ったかわかるか?」
セゲルが、顔を上げて辺りを見渡すと、何も無くなっており、一瞬別の場所にいるのかと錯覚したが、見慣れた場所なので、どうなっているのか尋ねた。
その瞬間、アレクとラヴァーナは目を泳がせておやっさんを凝視するのだった。
「坊主と飲む日が来るとはのぅ。感慨深いものがあるわい。それにしても、成人したてとは思えんくらいよく飲むのぅ。ドワーフの血が流れとるんじゃないか?ガッハハハハ」
さっきまで、死の淵に立たされていたのが嘘のような大宴会が開かれており、おやっさんはアレクのいい呑みっぷりに嬉しくなり大笑いをする。
「呑み方も様になっておるのが不思議であるな。成人する前から呑んでおったでだろう?」
ラヴァーナは、アレクが神と繋がっていることは知っているが、日本から転生したことを知らないので、こんな発言をしている。
「呑むわけないでしょ。俺は、転生者で転生前は37歳のおじさんだっただけ。今呑んでるウイスキーも前世の知識からおやっさん達に体現してもらったものだよ」
「は!?転生者だと?」
アレクは、今まで語ることはしなかったが、酔いが回ってしまい、ついつい口を滑らせてしまう。
こんな形で、しかも、思いがけない内容が飛び込んできたので、ラヴァーナは大声で驚きの声を上げる。
「坊主、まだまだ甘いのぅ。酔いが回って口を滑らせるのはいかんわい」
「うっ......でも、もう言っちゃったから仕方ないよ。俺は、前世の記憶があるまま転生したんだよ。魔物の国の信頼出来る人と陛下とアントンさんくらいしか知らないから内緒にしてね」
おやっさんは、アレクの失態がおもしろくて笑ってしまう。
アレクは、言ってしまったものは仕方ないと開き直る。
「そんな大事なことは、もっとしっかりした場で聞きたかったぞ!勿論、黙っておるが、今後酒の場で口を滑らすのだけは注意するのだ」
「そうだね。アナベルじゃなかったら大変なことになってたよ。次からは気をつけるようにするね」
アレクは、母親にお叱りを受ける子供のような構図でラヴァーナに注意されてしまう。
「坊主、どうやら目覚めたようじゃぞ。家が騒がしくなっておるわい」
アレクとラヴァーナは、大きな声を出していたので気が付かなかったが、一人ゆっくり酒を楽しんでいたおやっさんは平屋が騒がしくなったことに、いち早く気付いた。
「本当だね。様子......」
「アレク、待て!出てくるまで、ここにおれ。それから、出てきてもおやっさんに任せるのだ。話の腰を折るでないぞ」
アレクは、アルコール中和薬を飲んで立ち上がり、平屋に向かおうとする。
しかし、ラヴァーナはアレクを止めて、おやっさんに全て任せるように言った。
「ガッハハハハ、魔王様はよくわかっておるわい。坊主は、どっしり構えて魔王様と宴会の続きを楽しんでおれ」
おやっさんは、グラスにウイスキーを入れてから、ゆっくりと立ち上がって、数歩だけ歩いて平屋に近付く。
すると、一人のドワーフを先頭に、ぞろぞろとドワーフが平屋から出てきた。
「俺達を救ってくれたのは、お前さんかい?」
先頭にいたドワーフが、おやっさんに話しかけてくる。
「久しいのぅ。セゲル。病を治したのは、後ろにおるアレク王じゃ。ワシと魔王様は、完治した患者を運んだくらいじゃわい」
「ま、ま、まさか!その声は......おやっさんなのか!?」
おやっさんとセゲルというドワーフは、知り合いのようなのだが、やはり名前で呼ぶことはなく、おやっさんで通っているようだ。
「ガッハハハハ、そうじゃ。ようワシのことを覚えておったのぅ。じゃが、まずはお前らを助けたアレク王と魔王様にお礼を早くするんじゃ!」
おやっさんは、懐かしく馴染みのある人物と出会えて嬉しそうにする。
そして自然な流れでアレクのことを紹介できるように、うまいこと持って行く。
「おやっさんは、相変わらずだ!積もる話が山程あるというのに......アレク王、挨拶が遅れて申し訳ない!セゲルと申す。数多くのドワーフを助けてくれてありがとう。そして魔王様も、迅速な救援、誠に感謝している」
おやっさんの立ち振舞は、ジャルから聞いていた通り、今も昔も変わっていないようだ。
セゲルは、ヤレヤレといった様子で、後頭部を掻いたあと、アレクとラヴァーナにお礼を言って頭を下げる。
「セゲルさん、気にしないでください。お世話になっているおやっさんの故郷を助けないわけにはいきませんからね。それはそうと、無事皆さんが回復してよかったです」
「同盟国を救うのは当たり前である。ドワーフという素晴らしい種族が、この世から居なくなるのは損失でしかない」
アレクもラヴァーナも、本心ではあるが、どこかよそ行きの顔を覗かせる。
「そう言ってもらって感謝しかない。一つ聞きたいのだが、ドワーフの国はどこに行ったかわかるか?」
セゲルが、顔を上げて辺りを見渡すと、何も無くなっており、一瞬別の場所にいるのかと錯覚したが、見慣れた場所なので、どうなっているのか尋ねた。
その瞬間、アレクとラヴァーナは目を泳がせておやっさんを凝視するのだった。
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