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第3章 アレクを狙って

第774話 建国故の問題とドワーフの国到着!

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アレク達が、飛び立ったあと、褐色肌の女性は木にぶつかり目を閉じていたが、一瞬で目を開いてネックスプリングのような反動をつけただけで立ち上がった。

「チッ、俺が簡単に吹き飛ばされるなんて、情けねぇ」

一切殴られた箇所は腫れてはおらず、ダメージも一切残っていない。

「あぁ~、にしても、あの飯と酒うまかったなぁ。おっ!?まだあんじゃねぇか」

褐色肌の女性は、樽ごと置いてあるビールを見つけると、簡単に持ち上げて来た道を戻っていった。





「図々しいやつであったな。アレクも、あのような世間知らずには、ガツンと一発かますくらいのことをしろ!」

ラヴァーナは、まだあの女性にイライラしていた。そして、何故アレクが全く怒る素振りを見せなかったのか疑問に感じる。

「図々しかったけど、もう会うことない他人だしね。身内とかが危険に晒されたり、あのまま連れてかれて危害を及ぼされるなら反撃したけど、あまりイライラしたら損だからね」

最近のアレクなら口で攻撃したあと、言う事を聞かなければ手が出ていたのに、何故か落ち着いた様子を醸し出す。

「珍しいのぅ。坊主は、常識のないやつを嫌うから、てっきり躾けると思っていたのじゃが、終始平常心じゃったな」

「最近、ちょっとしたことでイライラするようになってさ。このままだと、足元をいつか掬われる気がして、イラッとしたら深呼吸するようにしてるんだよ。だから、本心はアナベルと同じだよ。怒ってくれて嬉しかったしね」

アレクは、昔よりも沸点が低くなったような気がしていて、狡猾な人物が相手で現れた場合、いいように操られてしまうのではと考え、今から平常心でいるトレーニングをしようと思った。

「アレクの言う事もわかんではないが、この世は力が全てである。それに、ジキタリスやパスクのような突出した頭を持つやつに、どう足掻いても勝ち目はないであろう。そういうやつには、ジキタリスような腹心をぶつければよいのだ。難しいことを考えず、ありのままでおれ」

ラヴァーナの考えは、力ある者に人は寄ってくるという考えのようだ。そして、知力に秀でた者に付け焼き刃で挑んでも勝ち目がないと思っており、アレクには知力がズバ抜けたパスクがいるのだからパスクに任せて、アレクはアレクにしか出来ない部分を振るって思うように生きたらいいと伝えた。

「う~ん?難しいなぁ。それに最近、パスクに仕事を振り過ぎて、これ以上任せるのも悪いなって思ってる部分もあって、交渉とか駆け引きくらいは出来ないととか悩みがあったんだよね」

「うむ。国を作る王の悩みの一つであるか。よくよく考えてみると建国させたのも時間を奪っておるのも妾のせいであるな。少し待っておれ」

ラヴァーナは、建国するきっかけを作ったのも、ドワーフの国に連れていき時間を奪ったのも自分のせいであり、何か手助けしようと、通信の魔道具でジキタリスに連絡を取った。

「ジキタリスを魔物の国に送った。魔ノ国が、どのように組織されておるか、パスクに伝わるはずである。少しは参考になるであろう」

文官も数名送って魔物の国の仕事を手伝うことは可能だが、魔物の国の機密を魔ノ国に流す状態になるので、ラヴァーナはジキタリスだけを送ることにした。

「え!?ありがとう。じゃあ、俺もパスクにジキタリスさんが来ることを言っておかないと」

アレクは、パスクと連絡を取って、ジキタリスが来ることと、役職と組織表の案をまとめておくようにお願いする。
先程まで、パスクに仕事を与え過ぎていると言いながら、またしてもアレクは頼ってしまう。

「またパスクにお願いしてしまった......暫くして落ち着いたら休暇をあげよ。ノックスとデストロイにも......いや、あれはいいか!いつも自由だし。今思えば、いつの間にか武力集団になってるね」

ルシファーとの決戦を考えて集めていたので、9割以上が武の達人の集まりで構成された国になっていることに、今気付いた。
思わぬ落とし穴に気付いたアレクは、早急に文官になれそうな人物を掻き集める必要があると考える。

「フフッ、確かに魔物の国を敵に回せば1日も経たずに相手は壊滅するであろうな。それよりもだ。建国すれば、山程問題は出てくるものである。焦らず家臣に相談しながら片付ければよい!あまり悩むでないぞ」

ラヴァーナの経験上、焦れば焦るほどドツボに嵌まってしまうと知っているので、気を大きく持って一つ一つ解決しなさいと助言する。

「話を遮るようじゃが、ドワーフの国が見えてきよったぞい。そろそろ降りた方がいいのぅ。攻撃されても面倒じゃわい」

「うむ!妾が行くと伝えておるから大丈夫だと思うが、用心するに越したことはないな。よし、この辺りで降りるとしよう」

ラヴァーナが、ワイバーンに指示を出して、ドワーフの国から少し離れた場所に降りるのだった。
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