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第3章 アレクを狙って
第762話 おやっさんとラヴァーナが、酒で壊れる!?
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アレクは、ドワーフの国に行くにあたって、おやっさんも連れていけないかとラヴァーナにお願いをした。
ラヴァーナは、あっさりと許可をくれて、この三人で出向くことになった。しかし、おやっさん本人の意思もあるので、行くかどうかをおやっさんへ確認しにやってきた。
「おやっさんいる?話があるんだけど」
店構えは王都の時と同じで、一見ボロ小屋に見えるが中にある窯や道具は一級品が揃っている。
何故ボロ小屋かというと、立派な建物は落ち着かないらしい。
「坊主、あれはまだ完成しとらんぞい。やはり、魔道具の類じゃから魔ノ国にも協力してもらわんとできんじゃろ」
アレクは、またしても何やらこの世界にない近代技術を取り入れようとしているようだ。
「ウォシュレットに続いて、また面白い物を作ろうとしておるのか?それに、魔道具の類だと!妾に相談せんか!すぐにでも魔道具技師を送ってやるぞ」
一緒に来ていたラヴァーナは、魔道具と聞いて目をキラキラと輝かせる。
「お~、魔王様か!こりゃちょうどええわい!力を貸してくれんか?」
おやっさんは、相変わらず物怖じしない態度でラヴァーナに接する。
ラヴァーナは、おやっさんの無礼な態度に一切気にする様子もなく笑っている。
「任せろ!すぐに送ってやろう。その代わり、妾の国が優先的に使わせてもらうぞ」
「フッハハハハハ、わかっておるわい!じゃが、魔力石の技術提供には、それなりの見返りを求めるぞい。あれは、この街のドワーフの努力の結晶じゃからな」
アレクをよそに、おやっさんとラヴァーナは二人で盛り上がり、知らないうちに契約を交わしていた。
「まだ何を開発しているか聞いてないのに!って、そうじゃなくて、おやっさんにドワーフの国へ来てもらえるどうか尋ねに来たんでしょ?目的が変わってるよ」
盛り上がる二人の間に割入って本来の目的を伝える。
「そ、そうであったな。で、来る気はあるか?」
「何を言うかと思えば、ドワーフの国じゃと!ワシは、ある意味追放されておる。行ったところで追い返されるわい。それに、ドワーフの国より魔物の街にいた方がおもしろいからのぅ。行かんわい」
ドワーフの国とおやっさんの間で何があったのかを詳しく聞いたことのないアレクは、初めて追放に近い何かがあったことを理解する。
しかし、ここへ来たドワーフはおやっさんのことを初めから慕っているように感じたので、追い返されるという言葉が不思議でならない。
「そうですか。ですが、ドワーフの国の住民は病気によって大変な事態に見舞われているそうです。それでも、ここに居続けますか?」
「なんじゃと!?じゃが......今更......」
未知の病で祖国が危険な状況だと知ったおやっさんは、驚きの声を上げるが、そのあとは珍しく煮え切らない感じで話す。
「さっきまでの威勢はどこにいったんだ!妾とアレクに、ドワーフの国で何があったか話せ!それによって、連れて行くか行かないか判断してやろう」
ラヴァーナは、ズカズカと土足で他人の家に入るように無理矢理おやっさんの過去をこじ開けようとする。
「フンッ、おもしろい話ではないがのぅ。少し長くなるから、その辺にある椅子に適当に座ってくれ。アレク、気が利かんやつじゃな。こういう時は酒じゃろ?早く出さんかい」
一見デリカシーがないように見えるラヴァーナだったが、おやっさんからすると、ストレートに聞かれたことで逆に好印象になったらしい。
そして、アレクに向けて放ったいつものおやっさん節からもわかるように、いつの間にか辛気臭い雰囲気はなくなっていた。
「はぁ、どうせ高い酒が目当てでしょ。大和ノ国でも幻の酒として特別に譲って貰ったものです。1本しかありませんからね。その代わり、洗いざらい話してください」
高級そうに見える瓶に入った日本酒を取り出して、お猪口に注いで二人に渡す。
二人は、受け取った瞬間、一気に飲み干すと恍惚した表情を浮かべる。
「なんじゃこれは!?クソ!いつもの酒のように一気に飲んだことが悔やまれるわい。ワシは、この神の酒に対して冒涜を働いてしまった。殺せ!こんな情けない薄情なワシを殺してほしいんじゃ」
「これ程までに、口当たりの良い清流を彷彿とさせる清らかな酒は初めてだ。だが、しっかりとした味わいに酒本来の強さも兼ね備えておる。まさに業物いや酒の極地と言ってもよいであろうな」
おやっさんは、額を床に何度も叩きつけて自分のやったことを戒め始めた。ラヴァーナは、あまりのおいしさに饒舌になり、食リポのようなことを始める。
アレクは、そんな二人を呆れたように見つめるのだった。
ラヴァーナは、あっさりと許可をくれて、この三人で出向くことになった。しかし、おやっさん本人の意思もあるので、行くかどうかをおやっさんへ確認しにやってきた。
「おやっさんいる?話があるんだけど」
店構えは王都の時と同じで、一見ボロ小屋に見えるが中にある窯や道具は一級品が揃っている。
何故ボロ小屋かというと、立派な建物は落ち着かないらしい。
「坊主、あれはまだ完成しとらんぞい。やはり、魔道具の類じゃから魔ノ国にも協力してもらわんとできんじゃろ」
アレクは、またしても何やらこの世界にない近代技術を取り入れようとしているようだ。
「ウォシュレットに続いて、また面白い物を作ろうとしておるのか?それに、魔道具の類だと!妾に相談せんか!すぐにでも魔道具技師を送ってやるぞ」
一緒に来ていたラヴァーナは、魔道具と聞いて目をキラキラと輝かせる。
「お~、魔王様か!こりゃちょうどええわい!力を貸してくれんか?」
おやっさんは、相変わらず物怖じしない態度でラヴァーナに接する。
ラヴァーナは、おやっさんの無礼な態度に一切気にする様子もなく笑っている。
「任せろ!すぐに送ってやろう。その代わり、妾の国が優先的に使わせてもらうぞ」
「フッハハハハハ、わかっておるわい!じゃが、魔力石の技術提供には、それなりの見返りを求めるぞい。あれは、この街のドワーフの努力の結晶じゃからな」
アレクをよそに、おやっさんとラヴァーナは二人で盛り上がり、知らないうちに契約を交わしていた。
「まだ何を開発しているか聞いてないのに!って、そうじゃなくて、おやっさんにドワーフの国へ来てもらえるどうか尋ねに来たんでしょ?目的が変わってるよ」
盛り上がる二人の間に割入って本来の目的を伝える。
「そ、そうであったな。で、来る気はあるか?」
「何を言うかと思えば、ドワーフの国じゃと!ワシは、ある意味追放されておる。行ったところで追い返されるわい。それに、ドワーフの国より魔物の街にいた方がおもしろいからのぅ。行かんわい」
ドワーフの国とおやっさんの間で何があったのかを詳しく聞いたことのないアレクは、初めて追放に近い何かがあったことを理解する。
しかし、ここへ来たドワーフはおやっさんのことを初めから慕っているように感じたので、追い返されるという言葉が不思議でならない。
「そうですか。ですが、ドワーフの国の住民は病気によって大変な事態に見舞われているそうです。それでも、ここに居続けますか?」
「なんじゃと!?じゃが......今更......」
未知の病で祖国が危険な状況だと知ったおやっさんは、驚きの声を上げるが、そのあとは珍しく煮え切らない感じで話す。
「さっきまでの威勢はどこにいったんだ!妾とアレクに、ドワーフの国で何があったか話せ!それによって、連れて行くか行かないか判断してやろう」
ラヴァーナは、ズカズカと土足で他人の家に入るように無理矢理おやっさんの過去をこじ開けようとする。
「フンッ、おもしろい話ではないがのぅ。少し長くなるから、その辺にある椅子に適当に座ってくれ。アレク、気が利かんやつじゃな。こういう時は酒じゃろ?早く出さんかい」
一見デリカシーがないように見えるラヴァーナだったが、おやっさんからすると、ストレートに聞かれたことで逆に好印象になったらしい。
そして、アレクに向けて放ったいつものおやっさん節からもわかるように、いつの間にか辛気臭い雰囲気はなくなっていた。
「はぁ、どうせ高い酒が目当てでしょ。大和ノ国でも幻の酒として特別に譲って貰ったものです。1本しかありませんからね。その代わり、洗いざらい話してください」
高級そうに見える瓶に入った日本酒を取り出して、お猪口に注いで二人に渡す。
二人は、受け取った瞬間、一気に飲み干すと恍惚した表情を浮かべる。
「なんじゃこれは!?クソ!いつもの酒のように一気に飲んだことが悔やまれるわい。ワシは、この神の酒に対して冒涜を働いてしまった。殺せ!こんな情けない薄情なワシを殺してほしいんじゃ」
「これ程までに、口当たりの良い清流を彷彿とさせる清らかな酒は初めてだ。だが、しっかりとした味わいに酒本来の強さも兼ね備えておる。まさに業物いや酒の極地と言ってもよいであろうな」
おやっさんは、額を床に何度も叩きつけて自分のやったことを戒め始めた。ラヴァーナは、あまりのおいしさに饒舌になり、食リポのようなことを始める。
アレクは、そんな二人を呆れたように見つめるのだった。
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