チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第3章 アレクを狙って

第761話 アレク王の誕生と4国の結束!

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陛下は、王城内の貴族を集めて緊急会議を開いた。議題は、アレクを王に推薦するための取引条件についてだ。
だが、集まった貴族全員が王になることに反対意見を出した。そのせいで、結構な時間がかかり、気付けば外は暗くなっていた。

「待たせて申し訳ない。貴族連中がなかなか納得してくれんかったのだ」

陛下が、みんなの待つ部屋に入ってきて、謝りながら席に座る。
アレクは、薬を調合しながら待ち、マシュロムは王城で借りた書物を読み、ラヴァーナは復活したスキルを試すために小さな門を出したり消したりしていた。

「またバカな連中か?妾の異空間に閉じ込めてやってもよいぞ」

ラヴァーナは、久しぶりにスキルを使用したくてウズウズしているのか、恐ろしいことを口にする。

「アナベル、サラッと怖いことを申すでないわ。反対したのは、アレクの優秀さを失いたくなく公爵にしてでも引き止めてほしいと懇願されたのだ」

王城にいる貴族達は、アレクの仲間が戦っている姿を王城から見ており、今までの功績が誇張されたものではなく本当だと理解した。そして、優秀な家臣を従えて、魔物までも仲間にしてしまうカリスマ性を手放したくないと反対した。

「そういうことであったか。また以前のようなバカ共が現れたと思ったぞ。それで、説得は出来たのであろうな?」

「うむ。王国に危機が訪れた場合、一度救ってほしいと言う条件なら認めることになった。アレク、よいか?」

貴族達は、あのような危機を目の当たりにして、また来てしまうのではないかと内心恐れていた。そこで、引き止めることが出来ないのならばと、この考えに至ったのである。

「構いませんよ。にしても、貴族の方々は成長しましたね。以前なら危機が訪れる度に、助けにこいと言う方々ばかりでしたのに」

アレクからすると、傲慢な貴族達の変わり様に驚いてしまう。

「以前いた貴族は、条件付きで地方に飛ばすか廃爵にしたからな。今いる貴族は、能力はまだまだの者ばかりであるが、常識を持っておるよ」

王子が暴れた時にいた貴族は、どうしようもない者を廃爵にして、まだ救いようのある者は、真っ当に領地経営をすることを条件に廃爵されずに済んだ。だが、定期的に監査が入るため、この警告が破られた瞬間、廃爵又は刑が執行される。

「少しずつ将来のために内部の改革がうまくいっているんですね。えっと、王になるためには何をすれば良いのですか?」

「この書類に、三国の王の王印か署名とアレクの名前を書けばいい。そうすれば、各地の王に新しい王が誕生したことが知らされるのだ」

アレクは、署名しただけで各地の王に届くというフレーズで創造神が関わっていることに気付いた。

「凄い技術ですね。ですが、反対する王や王印を奪い無理矢理王になった場合はどうするのでしょう?」

「どういった経緯かは知らんが、代々三国が認めた新たな王を反対することは認められておらん。それと、三国を敵に回して王になろうと画策する者もおらんであろう?」

この世界を作った時に、誰かしらが取り決めた内容ではあるが、詳細はわからないようなので、アレクはこれ以上質問するのをやめた。だが、世界を陥れるために王同士が画策したり、相手を操るスキルを持った者が三国の王を操り、新たな王を誕生させる場合など色々あるだろうとも考えてしまった。

「そうですね。でも、落とし穴......いやなんでもありません。著名しますね」

アレクは、言い淀みながら書類に著名をした。他の三国の王達も、王印を押した。
すると、書類が空中に浮いて、光り輝いたあと分散するように飛んでいった。

「一人一人持っておるな。どういった仕組みかはわからんが、王の下に同じ物が届くようになっておる。これで、アレクは新たな王となった。同じ王として仲間になったことを歓迎しよう」

陛下は、先程の現象を説明したあと、アレクに握手を求めてくる。
アレクは、その手を握って握手を交わす。ラヴァーナは、後ろからアレクに抱き着いて頭を撫でる。マシュロムは、陛下との握手が終わったあとに握手を交わしにやってきた。

「よろしくお願いします。同じ王同士、この四国に関しては、助け合っていきましょう。それより、ラヴァーナ様そろそろ離れてくれませんか?」

「仕方ない。あっ!そうだ。今日から妾のことはアナベルと呼ぶのだ。それに、畏まった言葉も不要!同じ王同士であるのだからな」

文句を言いながらアレクから離れると、敬称に関して言葉遣いを変更しろと言われた。

「え?今更変えられませんよ。染み付いてしまってますからね」

「アレクよ、王になったばかりで自覚を持つのは大変であろうが、王とはその国の代表である!自国民が他国の王に畏まった言葉を使っておる姿など見たくないものであるぞ。余の事も、ウォルトンと呼ぶのだ」

この世界では、敬語は下の者が使うという風習があり、日本のように同じ位にいる人でも敬うといったことでは使わない。
だからこそ、この世界では畏まった言葉を使った時点で相手国より下に位置すると解釈されてしまうのである。

「わかりまし......わかった。今後は、民のために自覚を持って対応するよ。ウォルトン、アナベル、マシュロム!よろしくね」

アレクが再度、三人に対して今後に向けた挨拶をすると、三人とも笑顔でアレクの言葉に応えるのだった。
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