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第3章 アレクを狙って

第754話 デストロイのお仕置きタイムとビッグマザーのようなパスク!

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「お前一人でいいのか?二人まとめでも構わねぇぞ」

「減らず口ばかり叩きやがって!今すぐ殺してやるよ」

デストロイが、更に挑発をすると騎士は怒りを露わにして、本気で斬り掛かってきた。
デストロイは、能力値が落ちているので、重いハルバードではなく、剣を使う。
そして、騎士の攻撃を剣で受け止めるが、軽く吹き飛ばされてしまった。

「雑魚が粋がるからだ!あの時に、頭を垂れていたら今頃助かってたかも知れないのにな」

騎士は、意気揚々と吹き飛ばされたデストロイに、ゆっくりと近付いていく。

「はぁ、やっぱり今の体じゃ、こんなカスの攻撃もまとめに受け入れねぇか。ノックスの技を使うのは癪だが、仕方ねぇ」

吹き飛ばされたが、受け身とガードをしっかり取っていたので、デストロイはダメージを一切負っていない。

「何をブツブツ言ってんだ!これで終わりなんだよ。死ね」

騎士は、デストロイ目掛けて走って行き、上段から剣を振り下ろす。
またしても、デストロイは剣で受け止めるが、先程とは違い、簡単に剣を弾き返した。
そして、何の躊躇もなく騎士の首を切る。

「あ、あ、あ......」

デストロイは、ノックスから習った剣で剣をいなす技を使った。本来の力がある時は、逃げだと馬鹿にしていたが、能力が落ちた今なら逃げではなく、技術の一つなのだと理解できた。
そして、今のデストロイの力では騎士の首を落とすことは出来ないので、動脈を狙って確実に殺すことにした。

「な、な、なんだあいつは!?騎士があっさりと......」

キィルとサウルは、簡単にやられた騎士を見て、一歩二歩と後退りをする。

「おい!もう終わりじゃねぇだろうな?」

「クソ野郎が、平民の分際で偉そうにしやがって!さっきのは偶々だ。おい!騎士ならあいつを今すぐ始末しろ」

キィルは、現実を受け止めようとはせず、先程の出来事は運がよかっただけど思い込もうとする。

「ハッ、お任せ下さい!あいつは、油断したに過ぎません」

騎士は、デストロイの技量を把握できないのか、馬鹿なことを言いながら前に出る。

「おいおい......お前は、騎士じゃねぇのか?さっきの殺し合いを見て油断で片付けてるようなら騎士を名乗る資格ねぇぞ。それに、こんなしょうもねぇことをしてる時点でゴミ以下だ」

帝国の時は、自分以外全て駒だとしか思っていなかったが、アレク達と出会い、自分より強者である人物や弱くても何とか食らいつこうとして抗う騎士の姿を見ている内に、本当の騎士とは何なのかを分かり始めた。

「平民風情が、騎士様に向かって偉そうな口を聞いてるんじゃねぇ......は?へ?あ......」

騎士は、気付かない内に斬られて視界が歪み、そのまま倒れ込んだ。

「このタイミングで力が戻るとはな。久々過ぎて加減出来なかったじゃねぇか。おい、次はお前らだ」

デストロイが気付いていない間に、1ヶ月が経過して本来の力を取り戻した。
キィルとサウルは、何が起こったかわからない内に騎士が真っ二つになっていて、その光景があまりにも悲惨で恐怖し、その場から逃走する。

「救いようのねぇガキ共だ」

デストロイは、一瞬で逃げる二人に近付いて二人の後頭部を掴んで、地面に叩きつける。
キィルとサウルは、何が起こったのかもわからないまま叩きつけられて、その場で顔をおさえてうずくまる。

「なぁ、俺は手加減したぞ!その程度で痛がってどうすんだ。お前らに殺された痛みを、少しずつ理解しないとじゃねぇか?幸い、アレクがポーションをいっぱいくれたから死ぬことはねぇぜ」

デストロイは、痛がるキィルとサウルをお構いなしに引きずって空き家に連れて行く。

「やめろ!俺達をどうする気だ!貴族に手を出したら......ぐへぇ」

「お、俺にも手を出したら父上が騎士を引き連れてくる!嫌なら......ぐはぁ」

空き家に入るまでひたすら文句を言いながら抵抗するキィルとサウルを軽く殴って黙らせる。
そして、そのまま空き家に引きずり込まれて、中から何度も悲鳴や許しを乞う声が聞こえてきた。だが、それからも鳴り止まぬ悲鳴が辺りに響き渡って次第に声すら聞こえなくなった。

「連絡を頂いて来ましたが、そろそろ終わりしたか?悲鳴が聞こえなくなりましたが、殺していませんよね?」

デストロイは、キィル達が現れた時に、通信の魔道具を使ってパスクを呼んでいた。

「殺してねぇよ。いや、何度か死にかけたか......まぁ、死んでねぇしいいだろ。それより、こいつら連れて親のとこに行くんだが、ついてきてくれねぇか?伯爵だろ?」

デストロイだけで乗り込めば、その場で大罪人扱いをされて終わってしまうので、貴族であるパスクを呼んだ。

「あなたのことですから、そのまま乗り込むと思っていましたよ。ですが、その前にいくつエクストラポーションを使ったのですか!?アレク様が丹精込めて作り上げた薬をこんな粗末に扱って!今すぐ謝りなさい」

以前のデストロイであれば、考えなしに敵陣に突っ込んでいたが、それをしてしまうと魔物の街に迷惑がかかると思いやめた。いつの間にか、デストロイにとって魔物の街は故郷くらい大切な場所になっている。

「いつまでも自分しか考えれん馬鹿じゃねぇよ。はぁ、アレクの狂信者過ぎるだろ。わかった。あいつに会ったら謝っておく。これでいいだろうが」

「待ちなさい!散らかした瓶を拾って片付けなさい。いいですね!」

デストロイは、二人を引きずって空き家を出ようとしたが、グギギギと変な音が聞こえるのではないかという力でデストロイの肩を掴んだ。
デストロイは、瞬時に逆らってはいけない何かを感じて、無言のまま散らかしたポーション瓶を拾っていくのだった。
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