642 / 730
第3章 アレクを狙って
第753話 スラム街とデストロイとクソご子息様!
しおりを挟む
アレクが、王都を去ったあと、デストロイはスラムに居続けていた。
「おい。俺が怖くないのか?」
「うん。全然怖くないよ。パパは優しいもん」
デストロイは、毎日のようにティアに抱っこをせがまれて渋々抱っこをしていた。
「お、おい!俺は、お前のパパじゃねぇ!デストロイって呼べと何度も言っただろうが」
ティアは、デストロイに懐いており、1週間が経った辺りからパパと呼ぶようになっていた。
「パパはパパだもん。パパ、ティアはお前じゃなくてティアだよ。ティアって呼んで」
「お、おぉ......悪かった。ティアでいいか?」
ティアは、頬を膨らませて怒ると、あの恐ろしいデストロイは、いつものように憤怒するのではなくたじろってしまう。
「うん。パパに名前呼ばれて嬉しい」
ティアが、満面の笑みをデストロイに向けると、少し頬を染めてバツが悪そうに顔を背ける。
「ティア!またデストロイ様の邪魔をしていたのね。デストロイ様、本当に申し訳ございません。しっかり言い聞かせますので」
ティアの母親が、小走りで近付いてきて、デストロイに申し訳なさそうな顔をして謝る。
「構わねぇよ。俺のような怖い顔を見て逃げねぇやつは珍しいからよ。このまま気が済むまで抱っこしてやらぁ。それから、様付けとその畏まった話し方はやめろ。普通に接しろ」
「デストロイ様は、怖い顔ではありません。凛々しくて格好いいと思います!ティアが、ご迷惑をお掛けしたらいつでも言って下さい。あれ?デストロイ様どうされましたか?」
デストロイは、言葉とは裏腹に本心では、ティアに慕われていることを嬉しく感じていた。
だが、先程とは打って変わって戦闘時に見せるいつもの目つきへと変わる。
「ティアを連れて家に隠れてろ!他のやつらにも出てくるなと言っとけ」
「は、はい!わかりました。ティア行くわよ」
事前に、デストロイが住民達に敵が来た時の対処法を教えていた。
何故、住民が魔物の街に避難しなかったかというと、仲間を殺したやつらの最後を見届けたいと言ったからだ。
「貴族様が、お前らを有効活用するために来てやったぞ。ヒャハハハハ」
「こいつら、おっさん一人残して全員隠れてるし。早く引きずり出して殺しちゃおうよ」
デストロイの前に現れたのは、成人したてくらいの少年二人と騎士が二人だった。
少年達の言葉から以前スラム街で暴れたやつらだとデストロイは瞬時に理解する。
「おい!不快になる言葉が聞こえたが、ここには何しに来やがった?」
デストロイは、いつものようにドスの効いた声で問いかける。
「なんだよ、おっさん!弱いくせに出しゃばってくんなよ」
金髪で目付きの悪い少年は、眉間にシワを寄せながら顎を上げて悪ぶりながら挑発してくる。
「アハハハハ、このおっさん、強がってるよ。見せしめにやっちゃおう」
水色の髪をした少し幼く見える少年は、バカ笑いを浮かべて、金髪の少年に乗っかるようにデストロイを挑発する。
「はぁ~、救いようのねぇガキ共だな。大人しく捕まるなら手は出さねぇが、反抗するなら痛い目見ることになるぞ」
デストロイは、馬鹿すぎる少年達に呆れてため息を漏らしてしまう。
そして、あまりにも張り合いのない相手なので、懲らしめる気すら失せようとしていた。
「キィル様、あの男をいたぶってもよろしいでしょうか?我々がどのような立場の人間かわからせる必要があるようです」
騎士が、デストロイの言葉に苛立ちを覚えて、金髪の少年に許可を求める。
「いいぞ!貴族がどれだけ偉いか愚民共にわからせてやれ。あっ!トドメは俺が刺すから殺すなよ」
「はい!わかっています。では、さっさと終わらせてきます」
許可が下りて、騎士はデストロイの前に向かって歩いていく。
「キィル様とサウル様は、子爵家と男爵家のご子息様だぞ!貴様らとは、住む世界が違うお人なのだ!今すぐ、地面に額を付けて許しを乞うなら許してやらんこともないぞ」
騎士は、偉そうなことを言いながらデストロイが跪く姿を想像してニヤつく。
「子爵と男爵?底が知れるな。ガキ共の教育すらできねぇから下級貴族止まりなんだろう?」
デストロイは、相手に挑発し返す。
すると、騎士と少年達は顔を真っ赤にさせている。
「減らず口ばっか叩きやがって!そいつを殺せ!」
キィルは、我慢の限界を迎えたのか、騎士に命令を下す。
「ハッ、畏まりました。すぐに終わらせて見せましょう」
騎士は、剣を鞘から抜いて、デストロイに襲い掛かろうとするのだった。
「おい。俺が怖くないのか?」
「うん。全然怖くないよ。パパは優しいもん」
デストロイは、毎日のようにティアに抱っこをせがまれて渋々抱っこをしていた。
「お、おい!俺は、お前のパパじゃねぇ!デストロイって呼べと何度も言っただろうが」
ティアは、デストロイに懐いており、1週間が経った辺りからパパと呼ぶようになっていた。
「パパはパパだもん。パパ、ティアはお前じゃなくてティアだよ。ティアって呼んで」
「お、おぉ......悪かった。ティアでいいか?」
ティアは、頬を膨らませて怒ると、あの恐ろしいデストロイは、いつものように憤怒するのではなくたじろってしまう。
「うん。パパに名前呼ばれて嬉しい」
ティアが、満面の笑みをデストロイに向けると、少し頬を染めてバツが悪そうに顔を背ける。
「ティア!またデストロイ様の邪魔をしていたのね。デストロイ様、本当に申し訳ございません。しっかり言い聞かせますので」
ティアの母親が、小走りで近付いてきて、デストロイに申し訳なさそうな顔をして謝る。
「構わねぇよ。俺のような怖い顔を見て逃げねぇやつは珍しいからよ。このまま気が済むまで抱っこしてやらぁ。それから、様付けとその畏まった話し方はやめろ。普通に接しろ」
「デストロイ様は、怖い顔ではありません。凛々しくて格好いいと思います!ティアが、ご迷惑をお掛けしたらいつでも言って下さい。あれ?デストロイ様どうされましたか?」
デストロイは、言葉とは裏腹に本心では、ティアに慕われていることを嬉しく感じていた。
だが、先程とは打って変わって戦闘時に見せるいつもの目つきへと変わる。
「ティアを連れて家に隠れてろ!他のやつらにも出てくるなと言っとけ」
「は、はい!わかりました。ティア行くわよ」
事前に、デストロイが住民達に敵が来た時の対処法を教えていた。
何故、住民が魔物の街に避難しなかったかというと、仲間を殺したやつらの最後を見届けたいと言ったからだ。
「貴族様が、お前らを有効活用するために来てやったぞ。ヒャハハハハ」
「こいつら、おっさん一人残して全員隠れてるし。早く引きずり出して殺しちゃおうよ」
デストロイの前に現れたのは、成人したてくらいの少年二人と騎士が二人だった。
少年達の言葉から以前スラム街で暴れたやつらだとデストロイは瞬時に理解する。
「おい!不快になる言葉が聞こえたが、ここには何しに来やがった?」
デストロイは、いつものようにドスの効いた声で問いかける。
「なんだよ、おっさん!弱いくせに出しゃばってくんなよ」
金髪で目付きの悪い少年は、眉間にシワを寄せながら顎を上げて悪ぶりながら挑発してくる。
「アハハハハ、このおっさん、強がってるよ。見せしめにやっちゃおう」
水色の髪をした少し幼く見える少年は、バカ笑いを浮かべて、金髪の少年に乗っかるようにデストロイを挑発する。
「はぁ~、救いようのねぇガキ共だな。大人しく捕まるなら手は出さねぇが、反抗するなら痛い目見ることになるぞ」
デストロイは、馬鹿すぎる少年達に呆れてため息を漏らしてしまう。
そして、あまりにも張り合いのない相手なので、懲らしめる気すら失せようとしていた。
「キィル様、あの男をいたぶってもよろしいでしょうか?我々がどのような立場の人間かわからせる必要があるようです」
騎士が、デストロイの言葉に苛立ちを覚えて、金髪の少年に許可を求める。
「いいぞ!貴族がどれだけ偉いか愚民共にわからせてやれ。あっ!トドメは俺が刺すから殺すなよ」
「はい!わかっています。では、さっさと終わらせてきます」
許可が下りて、騎士はデストロイの前に向かって歩いていく。
「キィル様とサウル様は、子爵家と男爵家のご子息様だぞ!貴様らとは、住む世界が違うお人なのだ!今すぐ、地面に額を付けて許しを乞うなら許してやらんこともないぞ」
騎士は、偉そうなことを言いながらデストロイが跪く姿を想像してニヤつく。
「子爵と男爵?底が知れるな。ガキ共の教育すらできねぇから下級貴族止まりなんだろう?」
デストロイは、相手に挑発し返す。
すると、騎士と少年達は顔を真っ赤にさせている。
「減らず口ばっか叩きやがって!そいつを殺せ!」
キィルは、我慢の限界を迎えたのか、騎士に命令を下す。
「ハッ、畏まりました。すぐに終わらせて見せましょう」
騎士は、剣を鞘から抜いて、デストロイに襲い掛かろうとするのだった。
185
お気に入りに追加
5,415
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。
ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」
そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。
長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。
アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。
しかしアリーチェが18歳の時。
アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。
それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。
父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。
そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。
そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。
──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──
アリーチェは行動を起こした。
もうあなたたちに情はない。
─────
◇これは『ざまぁ』の話です。
◇テンプレ [妹贔屓母]
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。