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第3章 アレクを狙って
第753話 スラム街とデストロイとクソご子息様!
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アレクが、王都を去ったあと、デストロイはスラムに居続けていた。
「おい。俺が怖くないのか?」
「うん。全然怖くないよ。パパは優しいもん」
デストロイは、毎日のようにティアに抱っこをせがまれて渋々抱っこをしていた。
「お、おい!俺は、お前のパパじゃねぇ!デストロイって呼べと何度も言っただろうが」
ティアは、デストロイに懐いており、1週間が経った辺りからパパと呼ぶようになっていた。
「パパはパパだもん。パパ、ティアはお前じゃなくてティアだよ。ティアって呼んで」
「お、おぉ......悪かった。ティアでいいか?」
ティアは、頬を膨らませて怒ると、あの恐ろしいデストロイは、いつものように憤怒するのではなくたじろってしまう。
「うん。パパに名前呼ばれて嬉しい」
ティアが、満面の笑みをデストロイに向けると、少し頬を染めてバツが悪そうに顔を背ける。
「ティア!またデストロイ様の邪魔をしていたのね。デストロイ様、本当に申し訳ございません。しっかり言い聞かせますので」
ティアの母親が、小走りで近付いてきて、デストロイに申し訳なさそうな顔をして謝る。
「構わねぇよ。俺のような怖い顔を見て逃げねぇやつは珍しいからよ。このまま気が済むまで抱っこしてやらぁ。それから、様付けとその畏まった話し方はやめろ。普通に接しろ」
「デストロイ様は、怖い顔ではありません。凛々しくて格好いいと思います!ティアが、ご迷惑をお掛けしたらいつでも言って下さい。あれ?デストロイ様どうされましたか?」
デストロイは、言葉とは裏腹に本心では、ティアに慕われていることを嬉しく感じていた。
だが、先程とは打って変わって戦闘時に見せるいつもの目つきへと変わる。
「ティアを連れて家に隠れてろ!他のやつらにも出てくるなと言っとけ」
「は、はい!わかりました。ティア行くわよ」
事前に、デストロイが住民達に敵が来た時の対処法を教えていた。
何故、住民が魔物の街に避難しなかったかというと、仲間を殺したやつらの最後を見届けたいと言ったからだ。
「貴族様が、お前らを有効活用するために来てやったぞ。ヒャハハハハ」
「こいつら、おっさん一人残して全員隠れてるし。早く引きずり出して殺しちゃおうよ」
デストロイの前に現れたのは、成人したてくらいの少年二人と騎士が二人だった。
少年達の言葉から以前スラム街で暴れたやつらだとデストロイは瞬時に理解する。
「おい!不快になる言葉が聞こえたが、ここには何しに来やがった?」
デストロイは、いつものようにドスの効いた声で問いかける。
「なんだよ、おっさん!弱いくせに出しゃばってくんなよ」
金髪で目付きの悪い少年は、眉間にシワを寄せながら顎を上げて悪ぶりながら挑発してくる。
「アハハハハ、このおっさん、強がってるよ。見せしめにやっちゃおう」
水色の髪をした少し幼く見える少年は、バカ笑いを浮かべて、金髪の少年に乗っかるようにデストロイを挑発する。
「はぁ~、救いようのねぇガキ共だな。大人しく捕まるなら手は出さねぇが、反抗するなら痛い目見ることになるぞ」
デストロイは、馬鹿すぎる少年達に呆れてため息を漏らしてしまう。
そして、あまりにも張り合いのない相手なので、懲らしめる気すら失せようとしていた。
「キィル様、あの男をいたぶってもよろしいでしょうか?我々がどのような立場の人間かわからせる必要があるようです」
騎士が、デストロイの言葉に苛立ちを覚えて、金髪の少年に許可を求める。
「いいぞ!貴族がどれだけ偉いか愚民共にわからせてやれ。あっ!トドメは俺が刺すから殺すなよ」
「はい!わかっています。では、さっさと終わらせてきます」
許可が下りて、騎士はデストロイの前に向かって歩いていく。
「キィル様とサウル様は、子爵家と男爵家のご子息様だぞ!貴様らとは、住む世界が違うお人なのだ!今すぐ、地面に額を付けて許しを乞うなら許してやらんこともないぞ」
騎士は、偉そうなことを言いながらデストロイが跪く姿を想像してニヤつく。
「子爵と男爵?底が知れるな。ガキ共の教育すらできねぇから下級貴族止まりなんだろう?」
デストロイは、相手に挑発し返す。
すると、騎士と少年達は顔を真っ赤にさせている。
「減らず口ばっか叩きやがって!そいつを殺せ!」
キィルは、我慢の限界を迎えたのか、騎士に命令を下す。
「ハッ、畏まりました。すぐに終わらせて見せましょう」
騎士は、剣を鞘から抜いて、デストロイに襲い掛かろうとするのだった。
「おい。俺が怖くないのか?」
「うん。全然怖くないよ。パパは優しいもん」
デストロイは、毎日のようにティアに抱っこをせがまれて渋々抱っこをしていた。
「お、おい!俺は、お前のパパじゃねぇ!デストロイって呼べと何度も言っただろうが」
ティアは、デストロイに懐いており、1週間が経った辺りからパパと呼ぶようになっていた。
「パパはパパだもん。パパ、ティアはお前じゃなくてティアだよ。ティアって呼んで」
「お、おぉ......悪かった。ティアでいいか?」
ティアは、頬を膨らませて怒ると、あの恐ろしいデストロイは、いつものように憤怒するのではなくたじろってしまう。
「うん。パパに名前呼ばれて嬉しい」
ティアが、満面の笑みをデストロイに向けると、少し頬を染めてバツが悪そうに顔を背ける。
「ティア!またデストロイ様の邪魔をしていたのね。デストロイ様、本当に申し訳ございません。しっかり言い聞かせますので」
ティアの母親が、小走りで近付いてきて、デストロイに申し訳なさそうな顔をして謝る。
「構わねぇよ。俺のような怖い顔を見て逃げねぇやつは珍しいからよ。このまま気が済むまで抱っこしてやらぁ。それから、様付けとその畏まった話し方はやめろ。普通に接しろ」
「デストロイ様は、怖い顔ではありません。凛々しくて格好いいと思います!ティアが、ご迷惑をお掛けしたらいつでも言って下さい。あれ?デストロイ様どうされましたか?」
デストロイは、言葉とは裏腹に本心では、ティアに慕われていることを嬉しく感じていた。
だが、先程とは打って変わって戦闘時に見せるいつもの目つきへと変わる。
「ティアを連れて家に隠れてろ!他のやつらにも出てくるなと言っとけ」
「は、はい!わかりました。ティア行くわよ」
事前に、デストロイが住民達に敵が来た時の対処法を教えていた。
何故、住民が魔物の街に避難しなかったかというと、仲間を殺したやつらの最後を見届けたいと言ったからだ。
「貴族様が、お前らを有効活用するために来てやったぞ。ヒャハハハハ」
「こいつら、おっさん一人残して全員隠れてるし。早く引きずり出して殺しちゃおうよ」
デストロイの前に現れたのは、成人したてくらいの少年二人と騎士が二人だった。
少年達の言葉から以前スラム街で暴れたやつらだとデストロイは瞬時に理解する。
「おい!不快になる言葉が聞こえたが、ここには何しに来やがった?」
デストロイは、いつものようにドスの効いた声で問いかける。
「なんだよ、おっさん!弱いくせに出しゃばってくんなよ」
金髪で目付きの悪い少年は、眉間にシワを寄せながら顎を上げて悪ぶりながら挑発してくる。
「アハハハハ、このおっさん、強がってるよ。見せしめにやっちゃおう」
水色の髪をした少し幼く見える少年は、バカ笑いを浮かべて、金髪の少年に乗っかるようにデストロイを挑発する。
「はぁ~、救いようのねぇガキ共だな。大人しく捕まるなら手は出さねぇが、反抗するなら痛い目見ることになるぞ」
デストロイは、馬鹿すぎる少年達に呆れてため息を漏らしてしまう。
そして、あまりにも張り合いのない相手なので、懲らしめる気すら失せようとしていた。
「キィル様、あの男をいたぶってもよろしいでしょうか?我々がどのような立場の人間かわからせる必要があるようです」
騎士が、デストロイの言葉に苛立ちを覚えて、金髪の少年に許可を求める。
「いいぞ!貴族がどれだけ偉いか愚民共にわからせてやれ。あっ!トドメは俺が刺すから殺すなよ」
「はい!わかっています。では、さっさと終わらせてきます」
許可が下りて、騎士はデストロイの前に向かって歩いていく。
「キィル様とサウル様は、子爵家と男爵家のご子息様だぞ!貴様らとは、住む世界が違うお人なのだ!今すぐ、地面に額を付けて許しを乞うなら許してやらんこともないぞ」
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「ハッ、畏まりました。すぐに終わらせて見せましょう」
騎士は、剣を鞘から抜いて、デストロイに襲い掛かろうとするのだった。
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