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第3章 アレクを狙って
第745話 ドワーフ達も、立派な魔物の街のチート住人だった!
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ジャルの指示で、城で働く者は外に出されて、料理も運び出された。そして、冷めないうちに食べてほしいということだったので、リッド達はご馳走になったのだが、魔物の街の世界で一番の絶品料理を毎日口にしているので、舌が肥えてしまい、エルフの料理が物足りなく感じてしまう。
「お前ら、飯を食わせてもらったんだ。仕事すんぞ。酒は終わってからたらふく飲ませてやるからな」
ジャルは、腹を満たすと大声を出して、ドワーフ達に呼びかける。すると、ドワーフ達は「うぉぉぉぉ」と大きな声を出して拳を突き上げる。
そして、やる気に満ちた顔のドワーフは、簡易住居をあっという間に、いくつも建てて城の再建に入る。
「これは......私達の常識を凌駕する光景を目にしてしまって頭がおかしくなりそうです......」
王様の横に立っていたライザーは、呆然とした様子でドワーフの建築を眺めていた。
「余も驚いておる。子供の時に、この城を一人のドワーフが建てたと聞いた時は、半ば半信半疑であったが、目の前の光景を見てしまっては納得せざるを得ん」
王様も、初めて見るドワーフの建築技術とスピードに度肝を抜かれてしまう。
「フッフッフッフ、私も研究で長く鉱山潜っていたのですが、魔物の街に戻ってみると、要塞が出来ていて驚いたものです。それから、お伝えしますが、一介のドワーフではあのような真似事は出来ません。彼らは特別なのです」
「そうなのであるな。うぉっ」
ライザーと王様の横に、いつの間にか現れたオーバーテイカーが話しかけてくる。
王様は、感心したように答えたが、振り向くと骸骨の顔面が目の前にあって、思わず尻もちを付きそうなほど驚いてしまう。
「フッフッフッフ、これはこれは失礼しました。魔物の街に帰りましたら、この顔を隠せる仮面を頼むとしましょうかね。外交の場では、驚かせてしまうようなので」
はたから見れば不気味な笑いを浮かべているように見えるが、本人は全くそんな気はない。
「驚いてしまい申し訳ない。何分、アンデッドを見たのは初めてでな。だが、ドワーフだけではなく、貴方も随分な強者のようであるな」
「私などまだまだでございます。アレク様達に比べれば、ただの羽虫に過ぎません。それより、私達は城が出来上がるまでのんびりしていましょう。ハーブティーをお入れしますので」
オーバーテイカーは、魔物の街から持ってきたテーブルとお茶のセットをアイテムボックスから出す。
そして、手慣れた手付きでハーブティーを入れて、王様とライザーの前に出した。
王様とライザーは、向き合って目を合わせたあと、カップを持って香りを嗅ぎ、ゆっくりとハーブティーを飲む。
「おっ!なんとかぐわしい香りに、身体の疲れを癒すハーブティーなのだ。それに、今まで飲んだ中で一番うまい」
「本当ですね。エルフの国のハーブも、高品質だと思っておりましたが、このハーブティーに使われているハーブには勝てません。これは、どこで手に入れた物なのですか?」
王様もライザーも、オーバーテイカーの入れたハーブティーをおかわりするほどに大絶賛する。
「これは、私が研究のために育てているハーブです。アレク様の薬学スキルは飛び抜けていますからね。もし、素材の品質によって効能が変化するのではないかと思いまして、最上級の素材を様々作ろうと研究しております」
オーバーテイカーは、アレクのスキルがあれば、さらなる高みをこの目で見ることが出来るのではないかと、密かに研究を続けていた。
「ほぉ~、仲間......いや主思いなのだな。そのようなものを譲って貰おうとお願いしたこと許してほしい。死ぬ前に、これ程のハーブティーを飲めただけでも感謝しなくてはならぬな」
オーバーテイカーは、確かに主としてアレクのことを一目置いているが、本質は研究者なので、主思いというよりは自分の欲求を満たすといった方が正しい。
「実験用のハーブは、大量にございますので、お譲りしますよ。それから、ハーブティーをおいしく入れるコツがありますので、給仕の方にお教えしましょう。これくらいあれば足りますかね?」
アイテムボックスから大量のハーブを出すと王様とライザーは、驚きながらも目をキラキラさせていた。
「こんなにたくさんとな!?どのような見返り渡せばよい?」
「見返りはいりません。これは、失敗作ですから。そんなことよりも、ティータイム中にお城が完成したようですよ」
オーバーテイカーにとって最上級の物にしか興味がないので、それ以下は全て失敗作になる。
そして、オーバーテイカーの言葉を聞いた王様とライザーは、城のある方向を見て、驚きのあまりに口をあんぐりさせてしまう。
「あ、あ、あ、あ、ありえないだろぉぉぉ」
「ど、ど、ど、どうなっておるのだ。この短期間で城が完成しておる!?」
ライザーと王様は、無理矢理言葉を絞り出すが、現実離れした光景にパニックになってしまう。
そして、2人だけではなく他のエルフ達の口をあんぐりさせてしまった。
「おう。お前ら、いい仕事だった。酒の神様がくれた酒を飲むぞ!おっと、忘れてた。王様、もう中に入っていいぞ。じゃあ、お前ら朝まで飲み明かすぞ」
ジャルは、ハンマーと工具を担ぎながら、何もなかったかのような顔をして通り過ぎて行く。
そして、酒を食らって騒いでいるドワーフとは裏腹に、エルフ達は驚きのあまり数分間固まったままであった。
「お前ら、飯を食わせてもらったんだ。仕事すんぞ。酒は終わってからたらふく飲ませてやるからな」
ジャルは、腹を満たすと大声を出して、ドワーフ達に呼びかける。すると、ドワーフ達は「うぉぉぉぉ」と大きな声を出して拳を突き上げる。
そして、やる気に満ちた顔のドワーフは、簡易住居をあっという間に、いくつも建てて城の再建に入る。
「これは......私達の常識を凌駕する光景を目にしてしまって頭がおかしくなりそうです......」
王様の横に立っていたライザーは、呆然とした様子でドワーフの建築を眺めていた。
「余も驚いておる。子供の時に、この城を一人のドワーフが建てたと聞いた時は、半ば半信半疑であったが、目の前の光景を見てしまっては納得せざるを得ん」
王様も、初めて見るドワーフの建築技術とスピードに度肝を抜かれてしまう。
「フッフッフッフ、私も研究で長く鉱山潜っていたのですが、魔物の街に戻ってみると、要塞が出来ていて驚いたものです。それから、お伝えしますが、一介のドワーフではあのような真似事は出来ません。彼らは特別なのです」
「そうなのであるな。うぉっ」
ライザーと王様の横に、いつの間にか現れたオーバーテイカーが話しかけてくる。
王様は、感心したように答えたが、振り向くと骸骨の顔面が目の前にあって、思わず尻もちを付きそうなほど驚いてしまう。
「フッフッフッフ、これはこれは失礼しました。魔物の街に帰りましたら、この顔を隠せる仮面を頼むとしましょうかね。外交の場では、驚かせてしまうようなので」
はたから見れば不気味な笑いを浮かべているように見えるが、本人は全くそんな気はない。
「驚いてしまい申し訳ない。何分、アンデッドを見たのは初めてでな。だが、ドワーフだけではなく、貴方も随分な強者のようであるな」
「私などまだまだでございます。アレク様達に比べれば、ただの羽虫に過ぎません。それより、私達は城が出来上がるまでのんびりしていましょう。ハーブティーをお入れしますので」
オーバーテイカーは、魔物の街から持ってきたテーブルとお茶のセットをアイテムボックスから出す。
そして、手慣れた手付きでハーブティーを入れて、王様とライザーの前に出した。
王様とライザーは、向き合って目を合わせたあと、カップを持って香りを嗅ぎ、ゆっくりとハーブティーを飲む。
「おっ!なんとかぐわしい香りに、身体の疲れを癒すハーブティーなのだ。それに、今まで飲んだ中で一番うまい」
「本当ですね。エルフの国のハーブも、高品質だと思っておりましたが、このハーブティーに使われているハーブには勝てません。これは、どこで手に入れた物なのですか?」
王様もライザーも、オーバーテイカーの入れたハーブティーをおかわりするほどに大絶賛する。
「これは、私が研究のために育てているハーブです。アレク様の薬学スキルは飛び抜けていますからね。もし、素材の品質によって効能が変化するのではないかと思いまして、最上級の素材を様々作ろうと研究しております」
オーバーテイカーは、アレクのスキルがあれば、さらなる高みをこの目で見ることが出来るのではないかと、密かに研究を続けていた。
「ほぉ~、仲間......いや主思いなのだな。そのようなものを譲って貰おうとお願いしたこと許してほしい。死ぬ前に、これ程のハーブティーを飲めただけでも感謝しなくてはならぬな」
オーバーテイカーは、確かに主としてアレクのことを一目置いているが、本質は研究者なので、主思いというよりは自分の欲求を満たすといった方が正しい。
「実験用のハーブは、大量にございますので、お譲りしますよ。それから、ハーブティーをおいしく入れるコツがありますので、給仕の方にお教えしましょう。これくらいあれば足りますかね?」
アイテムボックスから大量のハーブを出すと王様とライザーは、驚きながらも目をキラキラさせていた。
「こんなにたくさんとな!?どのような見返り渡せばよい?」
「見返りはいりません。これは、失敗作ですから。そんなことよりも、ティータイム中にお城が完成したようですよ」
オーバーテイカーにとって最上級の物にしか興味がないので、それ以下は全て失敗作になる。
そして、オーバーテイカーの言葉を聞いた王様とライザーは、城のある方向を見て、驚きのあまりに口をあんぐりさせてしまう。
「あ、あ、あ、あ、ありえないだろぉぉぉ」
「ど、ど、ど、どうなっておるのだ。この短期間で城が完成しておる!?」
ライザーと王様は、無理矢理言葉を絞り出すが、現実離れした光景にパニックになってしまう。
そして、2人だけではなく他のエルフ達の口をあんぐりさせてしまった。
「おう。お前ら、いい仕事だった。酒の神様がくれた酒を飲むぞ!おっと、忘れてた。王様、もう中に入っていいぞ。じゃあ、お前ら朝まで飲み明かすぞ」
ジャルは、ハンマーと工具を担ぎながら、何もなかったかのような顔をして通り過ぎて行く。
そして、酒を食らって騒いでいるドワーフとは裏腹に、エルフ達は驚きのあまり数分間固まったままであった。
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