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第3章 アレクを狙って

第744話 エルフの国の新しい時代の幕開け!

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ルシファーとの戦いが起こる前に遡る。
ドワーフの凄腕建築士のジャルと元夜明けの雫のリッド男爵とオドヘートとオーバーテイカーは、エルフの国に訪れていた。

「アレク様より連絡をお受けしてから、お待ちしておりました。案内役を務めさせて頂くヤンと申します」

共和国近くの村に帰ったはずのヤンであったが、何故かエルフの国の案内役として現れた。

「はじめまして、タカハシ辺境伯から男爵の位を拝命されましたリッドと申します。ヤン王子にお会いすることができ、光栄に思っております」

リッドが、今回の代表ということで挨拶をする。
ヤンは、まさか王子と言われるとは思っておらず、驚いた顔をしたあと照れ笑いを浮かべる。

「リッド様、王子はやめてください。気恥ずかしくなります。気軽にヤンとお呼び下さい。それから、アレク様が去ったあとは、ずっと平和な日々を送っております」

「では、ヤン様とお呼びさせて頂きます。私も様呼びはおやめください。平和が続いているのは何よりです。では、王様の下まで案内をお願いします」

こうして、リッド達は無事エルフの国に入ることが出来た。
そして、エルフの国に入るとエルフ達は、全員が笑顔で生活をしていた。ヤンが言うように、平和な日々を送っているのが窺える。

「不愉快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。まだ、他種族に慣れていないものでして......」

アレクの時のような敵意はないのだが、ドワーフとアンデッドなど見たことのないエルフ達は物珍しさで視線を送ってしまう。

「構いません。アレク様よりお話は聞いておりますので、不快など感じておりませんよ。今後、我々のことを知って頂き、友好関係をより深められたらと思っています」

「そのように仰って頂き、ありがとうございます。こちらとしても、友好関係を築けること感謝しております。では、こちらにお入りください」

ヤンは、リッドの言葉を聞いて安心した。
そして、城に着くと、アレクが壊した天井は外から見てもわかるくらい崩れており、ハリボテのような形で修正されていた。

「こいつはいただけねぇな。外から見てもボロボロだ。いつ崩れてもおかしくない。だが
、造りは一級品だな」

「流石、ドワーフ!これは、3000年前にドワーフに頼んで作ってもらった城である。だが、一度も修繕はされておらぬせいで、ボロボロなのだ」

ジャルが、城を眺めていると、王様とライザーが入り口から迎えにやってきた。

「修繕が、されていない。そのドワーフが誰かは知らんが、名工だろう。そんな名工のドワーフがいて、何故一度修繕がされてないんだ?」

ジャルは、ここまでの腕を持ったドワーフと交流があるのなら、こんなボロボロにはなっていないと推測した。

「うむ......正直話そう。そのドワーフは、旅人であったらしいのだ。当時の王は、湖の水を対価に頭を下げて城と家を建ててほしいと願った。そして、快く引き受けたドワーフは、見事立派な城を建てたのだが......」

その後の話は悲惨で、城を建てた直後、何者かに当時の王様とそのドワーフは毒殺されたらしい。
そして、まだ幼かった王子が王様となったのだが、ただのお飾りの王様となり、家臣の言われるがままにした結果、今の排他的な決まりが出来てしまった。

「同じドワーフに対して、このような結果になってしまったこと、誠に申し訳なく思う。すまない」

王様は、尽くしてくれたドワーフに、とんでもない仕打ちをしてしまったことに当事者ではないが、王として頭を下げた。

「思うことがないと言えば嘘になるが、過去は過去だ!今が大事だろう?それに、王様や今生きているエルフがしたってわけじゃねぇ。気にするな」

ジャルは、気にしている様子を一切見せることなく、「ガハハハ」と笑って受け流す。
何故、このような考え方が出来るかというと、魔物の街に住むようになり、種族の壁がないことや忌み嫌われるはずの魔物が、自分と同じような思考や生活を送るのを見て、過去に囚われ過ぎるのは良くないと気付いたからだ。

「同じくこの世界で生きる者として恥ずかしく思える。いつかエルフも貴方達のように広い心を持てるようにならなくてはな。寛大な心に感謝する。さぁ、歓迎しよう。料理を用意しておる」

王様は、ジャルの慈悲深い心に感謝すると共に、この縁をこの先も大切にしていかなければなと改めて気付かされた。

「感動している王様には悪いが、言わせてもらう。この中で、飯が食えるかぁぁぁ!すぐに簡易の家を作ってやるから、そこで暫く暮らせ。お前ら、早急に家を作り、城を建て直すぞ!酒の神様の命令は、それからだ」

ジャルは、建築に対しては一切の妥協を許さない。いつ倒壊してもおかしくない城で、生活などさせられないと大声で怒鳴り、ドワーフ達に命令する。

「王様、申し訳ございませんが、あのようになってしまうと誰の言う事も聞きませんので、早急に城で働いて者に状況説明と料理を運び出してもらえませんでしょうか?」

リッドは、すぐさまフォローに入って、困ったといった顔で王様にお願いをする。

「畏まった。そちらに従おう。ライザーよ、今すぐに城におる者に伝え、邪魔にならぬようにさせるのだ。良いな?」

「ハッ、畏まりました」

アレクとの約束で、全面的な協力と従う契約を結んだので、王様は文句一つ言わずに従うのだった。
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