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第3章 アレクを狙って

第742話 レオの地獄の力の原点!?

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「地獄の力を完全にものにしたか?」

「うわぁぁぁ!なんで、ヴァンドーム様がここにいるんですか!?」

レオが、レイリシアと昼食を中庭で食べていたところにヴァンドームが転移で急に現れた。

「アレクに報告へ来たのと、レオに何故地獄の力があるのか、俺なりの予測を話に来たんだ」

創造神とのやり取りをアレクに報告に来たのと、アレクにホロウ復活の助けをしてもらおうと相談に来た。

「あら~、先日は助かりましたぁ。そんなところに立ってないで、貴方も一緒に昼食いかがかしらぁ~?」

レイリシアは、おっとりした話し方でヴァンドームを昼食に誘う。

「そう言えば、最近何も食べてなかったな。食わせてくれ」

「申し訳ないけどぉ~オムライスをもう一つお願いねぇ」

中庭のテラスの椅子に腰掛けるヴァンドームは、見た目からして不釣り合いな印象を醸し出す。
レイリシアは、メイドにヴァンドーム用のオムライスを頼むと、メイドは「畏まりました」と答えて調理場に向かった。

「ふぅ~、やっと一息つけるな。レオ悪いがもらうぞ。ぷはぁ~、生き返るな」

ヴァンドームは、レオが飲んでいた飲み物を一言だけ伝えてからグッと一気に飲み干す。

「ヴァンドーム様に、水を入れて上げてください」

レオは、メイドに新しい水を用意するように頼むと、すぐに差し出されて、ヴァンドームは4杯ほどおかわりをしてテーブルにグラスを置く。

「久しぶりに、こんな美味い水を飲んだな」

「え?もしかして、水すら飲んでなかったのですか?」

飲食を一切していないというヴァンドームの発言にレオは驚きの声を上げてしまう。

「ルシファーとの戦いと神界と下界の往復で忙しくて忘れていた。まぁ、地獄の力があれば渇きも空腹もないんだがな。あ!レオは、食えよ。人間だからな空腹も渇きも感じるはずだ」

元々、創造神によって作られた体の時点で、飲食をする必要性は皆無なのだが、ヴァンドームは食を楽しみたいという気持ちで、共和国にいる時は飲食をしていた。

「あの~、ヴァンドーム様は凄いですね。でも、空腹や渇きを感じないのは嫌かもしれません......空腹の時に食べるご飯が一番おいしいですから」

「そうなのか?なら腹を空かせてみるか。ちょうど、オムライスとやらが来たことだしな」

メイドが、オムライスをヴァンドームの前に差し出すと、意図として空腹に出来るような意味不明なことを言い出す。

「お腹を空かせる?そんな器用なことが出来るのですか?」

「うまいな!確かに、腹を空かせた方が満足感があるが、そもそもこんなうまい料理を食ったことがないな。って、夢中になっちまったな。そうだな。腹に集めた地獄の力を分散させたら空腹を感じる」

ヴァンドームは、口の周りにケチャップを付けながら夢中でオムライスを食べる。
そして、地獄の力とは戦う力だけではなく、ヴァンドームにとって生きるために必要なもののようだ。

「おいしいですよね。このオムライスは、アレクくんが教えてくれたんです。でも、ヴァンドーム様の話を聞いていると地獄の力を極めたら、無数の可能性があるように感じました。ただ、王族なので無闇に使うのが......」

「そうねぇ。息子がどんどん遠い存在になっちゃうわぁ。世界征服なんて企んじゃだめよぉ。それでヴァンドーム様、息子は何故、このような力を持っているのかしら?」

レオが、感嘆の声を上げる。だが、地獄の力に思うところがあるようだ。
そして、ここでレイリシアが話に入ってくる。どうやら、ヴァンドームに本題を聞きたいようだ。

「待ってくれ。食い終わったら話す。だが、こいつをアレクがなぁ。まぁ、あいつなら可能か......」

ヴァンドームは、創造神との関わり方や神力を持っていることから、アレクが転生してきたことを、何となくだが気付いているので、見知らぬ料理を考案しても驚くことはない。

「レオの力についてだが、俺も確証があるわけではない。だが、高い確率で隔世遺伝だろうな。先祖に地獄の力を持った誰かが王族にいたんだろう」

「隔世遺伝!?でも、王族の歴史の中で、そのような力を体現した記録はないわぁ。記録から消したのかしら......」

ヴァンドームの言葉を聞いたレオとレイリシアは驚いた表情をする。

「レオと王妃は間違いなく親子だから安心しな。まぁ、記録が抹消されたにしろ。先祖のやつが地獄の力を使わなかったにしろ。それが、一番可能性が高いな。ちなみに、王様と王妃には地獄の力はない」

ヴァンドームは、王妃が一番気にしている実の子なのかという問題に対して答えを教える。

「決心がつきました。レオはレオだから、力の有無もその力を使う使わないも関係ないわぁ。私達はいつでもレオの味方よぉ。だから、レオの好きなようにしなさい」

声には出さなかったが、悪魔の呪いなどで出来た子ではないことに安心した。
そして、どんな協力な力がレオにあろうとも、親として一番の理解者になろうと決断する。

「お母様!ありがとうございます。僕も、あれから力を使うか使わないかで迷っていましたが、この力で王国の人々が救われるなら、全力で使いたいと思います」

「ごちそうになったな。俺は、アレクと王様のとこに行ってくる。あとは、親子でこれからのことでも話し合ってくれ」

レオも、迷いは消えてやる気に満ちた表情になる。
そして、ヴァンドームは母と子の水入らずを邪魔してはいけないと感じて、ゆっくりと席を立って、手をヒラヒラとさせながら去っていくのだった。
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