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第3章 アレクを狙って
第741話 アレクを襲った者の正体と陛下に本音を言う!
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陛下は、くだらない理由で謁見に来ていた貴族達に、奉仕活動のことを伝えると、貴族達は足早にそそくさと帰っていった。
そして、アレクの診療所の閉鎖も伝えると、他国から来ていた者や変な者達も消えて、ものの見事に元の王都へと戻った。
「今日呼んだのは、アレクの提案で見事に撃退出来たのでな。その礼で呼んだのである。感謝する」
アレクは、またしても王城に呼ばれていた。
アントンと陛下とアレクしかいないので、陛下は周りを気にすることなく礼を述べて頭を下げる。
「それは、よかったです。さっき街中を見てきましたが、落ち着いていましたね。住人も、穏やかな表情をしていましたし、やっぱり気が張り詰めていたのかもしれませんね」
「そうであるな。巡回しておる兵も言っておった。頑張ってくれた騎士団や兵にも、交代で長期休暇を与えるつもりでおる。余のせいで散々苦労をかけたからな」
街にいる住人と同じように、陛下も穏やかな顔をしている。それだけ常に肩肘を張って緊張していたのだろう。
「長期休暇ですか!いいと思いますよ。そうだ。騎士団や兵士の方に、滋養強壮薬を渡しておいてください。休暇に入るにも元気な方がいいですからね。それに、この城で働いている人にも休暇を与えて上げてください。勿論、滋養強壮薬も渡します」
スラムで効果が実証済みの滋養強壮薬を大量に取り出してテーブルに並べて行く。
アレク的には、仕事も遊びも全力で取り組んでほしいので、元気になるように渡した。
「滋養強壮薬......これは世に出して良いものなのか?強靭な肉体を持つ者が生まれたりとかはないであろうな?」
アレクの薬は、想像を凌駕する物ばかりなので、また頭を抱えてしまう物かと勘繰ってしまった。
「はい。多少元気が有り余るくらいで強くなったりはしないです。試しに、陛下とアントンさん、今飲んでみてください」
アレクは、陛下とアントンに差し出すと、二人共迷いなく、全て飲み干す。
「へ、陛下!これは凄いです。溜まった疲労が一気に抜けて、何日でも徹夜が出来そうです」
この数日間、書類仕事や案をまとめることに注力するあまりに、少ししか寝ておらず、気怠さや目の下に隈を作っていたアントンだったが、飲んだ瞬間、目の下の隈はなくなり、背筋がシャキっと良くなった。
「本当であるな。心なしか食欲も湧いてきた気がする。それに、気持ちすらも楽になっておる。これならば、皆に飲ませてやりたい。アントン、すまんが今すぐに支給を始めてくれんか?」
肉体の疲労や虚弱になっていると食欲も低下するのと病は気からと良く言ったもので、肉体が弱ると精神的にも来てしまう。
それを、この滋養強壮薬は全て回復してくれるようだ。
「ハッ、お任せください。全員が、さぞ喜ぶでしょう。では、行ってまいります」
アントンは、大量のポーションを鞄に詰めて、重いはずにも関わらず、背中に羽が生えたのではというくらい軽い足取りで出ていく。
「あ!無事に、スラムの住人を説得出来て、用意出来次第、魔物の街に移住してもらう予定です。多分、家を建てるのに数日かかるので、数日後にはなると思います」
アレクは、スラムの住人の信頼を獲得することができた。
スラムの住人も、しっかり仕事をするということなので、アレクにとってはいい結果になったと考えている。
「ほぅ、もう決まったのだな。それにしても、数日で建築してしまうドワーフは凄いとしか言いようがない。おっと、そうであった。バトラーが、尋問した結果なのだが、厄介なことになりそうであるぞ」
数日で移住の手筈を整える魔物の街の凄さに驚く。
そして、アレクを襲った貴族の情報を掴んだようだ。
「厄介ですか......もしかして、色んな国が関わっている感じですか?」
「そうではない。公国の貴族が勝手に行ったようなのだ。そして、忍者については、大和ノ国を追放されて、その貴族に取り入り、命令に従ったと自白した。帝国から公国に変わり、弟も苦労しておるらしく、色んなことに手が回っておらんようでな......」
陛下も王国の問題が山積みで、支援はしているのだが、根本的な手助けは出来ていないようで、公国の現状を深く理解していなかった。
そして、今回のことをきっかけに話をしたところ、手が回っていないことがわかったらしい。
「そうだったのですね。昔の王国の状態が、今の公国の現状になっている感じですか......あの、陛下、そんな目で見られても手助け出来ませんよ。正直、俺も手一杯です。今回は、どうにかしてください」
陛下は、アレクに頼ろうとしていたようで、どうにかならないかという表情で見つめたが、アレクは珍しく断固拒否の姿勢を見せた。
「そこをなんとか頼めないだろうか?この通りだ。頼む」
「無理です!忙しいのもありますが、陛下は頼り過ぎです。昔のように格好いい陛下を見せてください。それに、ルーヘンさんとヘリオスさんなら一介の騎士くらいなら瞬殺出来ますよ。それに、交渉ならアントンさんの右に出る者はいないと思います」
陛下は、アレクに懇願してくるが、今後のためを思ってアレクは本音を伝える。
「そうであるな。すまん!確かに、頼り過ぎておったな。レオも交えて考えるとしよう。レオにとっても良い経験になろう」
陛下は、アレクの言葉を聞いて、自分がどれだけ情けなかったかを痛感する。
そして、レオにとっても次期王になる前段階としては、かなりの経験になると考え、この問題を親子で取り組もうと決めたのだった。
そして、アレクの診療所の閉鎖も伝えると、他国から来ていた者や変な者達も消えて、ものの見事に元の王都へと戻った。
「今日呼んだのは、アレクの提案で見事に撃退出来たのでな。その礼で呼んだのである。感謝する」
アレクは、またしても王城に呼ばれていた。
アントンと陛下とアレクしかいないので、陛下は周りを気にすることなく礼を述べて頭を下げる。
「それは、よかったです。さっき街中を見てきましたが、落ち着いていましたね。住人も、穏やかな表情をしていましたし、やっぱり気が張り詰めていたのかもしれませんね」
「そうであるな。巡回しておる兵も言っておった。頑張ってくれた騎士団や兵にも、交代で長期休暇を与えるつもりでおる。余のせいで散々苦労をかけたからな」
街にいる住人と同じように、陛下も穏やかな顔をしている。それだけ常に肩肘を張って緊張していたのだろう。
「長期休暇ですか!いいと思いますよ。そうだ。騎士団や兵士の方に、滋養強壮薬を渡しておいてください。休暇に入るにも元気な方がいいですからね。それに、この城で働いている人にも休暇を与えて上げてください。勿論、滋養強壮薬も渡します」
スラムで効果が実証済みの滋養強壮薬を大量に取り出してテーブルに並べて行く。
アレク的には、仕事も遊びも全力で取り組んでほしいので、元気になるように渡した。
「滋養強壮薬......これは世に出して良いものなのか?強靭な肉体を持つ者が生まれたりとかはないであろうな?」
アレクの薬は、想像を凌駕する物ばかりなので、また頭を抱えてしまう物かと勘繰ってしまった。
「はい。多少元気が有り余るくらいで強くなったりはしないです。試しに、陛下とアントンさん、今飲んでみてください」
アレクは、陛下とアントンに差し出すと、二人共迷いなく、全て飲み干す。
「へ、陛下!これは凄いです。溜まった疲労が一気に抜けて、何日でも徹夜が出来そうです」
この数日間、書類仕事や案をまとめることに注力するあまりに、少ししか寝ておらず、気怠さや目の下に隈を作っていたアントンだったが、飲んだ瞬間、目の下の隈はなくなり、背筋がシャキっと良くなった。
「本当であるな。心なしか食欲も湧いてきた気がする。それに、気持ちすらも楽になっておる。これならば、皆に飲ませてやりたい。アントン、すまんが今すぐに支給を始めてくれんか?」
肉体の疲労や虚弱になっていると食欲も低下するのと病は気からと良く言ったもので、肉体が弱ると精神的にも来てしまう。
それを、この滋養強壮薬は全て回復してくれるようだ。
「ハッ、お任せください。全員が、さぞ喜ぶでしょう。では、行ってまいります」
アントンは、大量のポーションを鞄に詰めて、重いはずにも関わらず、背中に羽が生えたのではというくらい軽い足取りで出ていく。
「あ!無事に、スラムの住人を説得出来て、用意出来次第、魔物の街に移住してもらう予定です。多分、家を建てるのに数日かかるので、数日後にはなると思います」
アレクは、スラムの住人の信頼を獲得することができた。
スラムの住人も、しっかり仕事をするということなので、アレクにとってはいい結果になったと考えている。
「ほぅ、もう決まったのだな。それにしても、数日で建築してしまうドワーフは凄いとしか言いようがない。おっと、そうであった。バトラーが、尋問した結果なのだが、厄介なことになりそうであるぞ」
数日で移住の手筈を整える魔物の街の凄さに驚く。
そして、アレクを襲った貴族の情報を掴んだようだ。
「厄介ですか......もしかして、色んな国が関わっている感じですか?」
「そうではない。公国の貴族が勝手に行ったようなのだ。そして、忍者については、大和ノ国を追放されて、その貴族に取り入り、命令に従ったと自白した。帝国から公国に変わり、弟も苦労しておるらしく、色んなことに手が回っておらんようでな......」
陛下も王国の問題が山積みで、支援はしているのだが、根本的な手助けは出来ていないようで、公国の現状を深く理解していなかった。
そして、今回のことをきっかけに話をしたところ、手が回っていないことがわかったらしい。
「そうだったのですね。昔の王国の状態が、今の公国の現状になっている感じですか......あの、陛下、そんな目で見られても手助け出来ませんよ。正直、俺も手一杯です。今回は、どうにかしてください」
陛下は、アレクに頼ろうとしていたようで、どうにかならないかという表情で見つめたが、アレクは珍しく断固拒否の姿勢を見せた。
「そこをなんとか頼めないだろうか?この通りだ。頼む」
「無理です!忙しいのもありますが、陛下は頼り過ぎです。昔のように格好いい陛下を見せてください。それに、ルーヘンさんとヘリオスさんなら一介の騎士くらいなら瞬殺出来ますよ。それに、交渉ならアントンさんの右に出る者はいないと思います」
陛下は、アレクに懇願してくるが、今後のためを思ってアレクは本音を伝える。
「そうであるな。すまん!確かに、頼り過ぎておったな。レオも交えて考えるとしよう。レオにとっても良い経験になろう」
陛下は、アレクの言葉を聞いて、自分がどれだけ情けなかったかを痛感する。
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