チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第3章 アレクを狙って

第730話 二人のエモい会話と神具とチート薬学の合せ技!

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「アレクくん、始める前にこれを渡しておきます。使う時が来るかなと思い、密かに回収していました」

オレールが渡してきた物は、エルフの国で精霊神が使用した神具だった。

「え?回収してたの?でも、創造神様から返すように言われなかったし......わざと見逃してくれたのかな?」

神具を人間が持っていれば、必ず返すように言われるはずにも関わらず、そのような発言が今までなかったのでおかしいと感じてしまう。

「一応、見つからないように魔法で異空間収納を作りました。隠蔽に隠蔽を重ねたので簡単には見つけられないはずですよ」

「まさか、そんなことをしてるなんて......知らせなかったのも見つからないようにだったんだね。それにしても、オレールリスクを犯し過ぎだよ。見つかったらどうなってたか......でも、これがあるとないだと大違いだよ。まずは、この神具を復活させるよ」

神具を地面に置いて、アレクは対面に座り込むと神具に神力を流し込む。すると、徐々に輝きを取り戻していく。

「あの時よりも凄い輝きですね。これが本来の力というわけですか。それにしても、アレクくんの神力をほとんど吸ってしまうとは恐ろしい......」

「ハァハァハァ、そろそろ神力を流してもらっていいかな?今から薬を作るよ」

アレクは、神力をほとんど吸い取られたせいで息を切らせてぐったりしていた。しかし、オレールがすぐに神力をアレクには流したお陰で、息は整い回復する。

「オレールありがとう。ゆっくり休んでてね」

「ハァハァハァ、そうします。おっと、ありがとうございます」

アレクは、神力を混ぜた死者蘇生薬の調合を始める。
そして、疲れて倒れそうになったオレールをノックスが支える。

「俺達の長い悪夢が終わろうとしているな。本人の前では絶対に言いたくないが、アレク坊のお陰だ」

ノックスは、オレールを連れてアレクの邪魔にならないように少し離れた場所に行く。

「そうですね。出会いから驚かされましたが、まさか神様と繋がり、魔物との共存、そして敵だった者まで仲間に加えてましたね。それでノックスは、過去の因縁を断ち切ることができましたか?」

「あぁ、自らの力でないところに思うことはあるが、師弟として成し遂げたと考えたなら断ち切れただろうな。あとは、アレク坊を連れて、あいつらの墓の前行き、近況報告をしてくる」

オレールとノックスは、ずっと続いていた悪夢に終止符を打つことができて、晴れやかな表情になっていた。

「あれだけ拒んでいた墓参りが出来るということは断ち切れてますよ。私も、一緒に行きますので、これからは定期的に行きましょう」

ルシファーを倒すまでは、仲間に合わせる顔がないと、拒み続けた墓参りに出向くと聞いて、やっと呪縛から解放されたのかと、オレールは安堵する。

「そうだな。10年近くか......近況報告が長くなりそうだ」

「フフッ、多分全員から来なかった理由を問沙汰されて責められますよ」

その言葉を聞いたノックスは、大笑いをする。それにつられて、オレールも笑う。
そして、誰しもが思うはずの仲間を死者蘇生薬で生き返らせるという話題をオレールもノックスは、一度たりともしなかった。
何故しないのかは、二人とも語らないため理由は、二人しか知らないのである。

「完成したよ。じゃあ、エルフの国と同じように上空から落としてみるね」

アレクは、飛行で空高く飛び上がる。何故アレクは、神具をこのように使えば目的の事が起きるかがわかったかというと、潜在能力薬で成長したことで、なんとなくだが神具の扱い方が自然と理解出来てしまった。
本当に正しいのかはわからないが、アレクは本能に任せて行動を起こす。

「お願い!これで、全員生き返ってくれぇぇぇ」

アレクは、神具を上空から落とすと大きな声で願いを口にする。

「ゔっ、何が起こって......」

神具が、地面に落ちた瞬間、目を覆っても眩しい光が王都全土に広がる。
30秒以上も光り輝き、誰も目を開けることが出来ずにいた。

「え......えぇぇぇぇ」

光が止んで、アレクは目を開けると、人々が生き返っているのは当たり前なのだが、戦闘など何もなかったかのように街自体が全て元通りとなっている。
そして、神具はころんと転がったあと、その場から消えたのだった。
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