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第3章 アレクを狙って

第716話 創造神の契約儀式と託された者達!

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「ホホイホイッと。二人共、待つんじゃ。こっちで話すぞい」

いつもの湖に行くのかと思ったのだが、そうではなく、創造神は森の拓けた場所にあっという間に小屋を建てた。

「せっかくアレクとそっくりなやつに会えると思ったんだがな。秘密は、お預けってわけか」

ヒルコの存在を知ったヴァンドームは、アレクとヒルコに隠された秘密があることを知っているので、この機会に探りを入れようと思っていた。

「なんじゃ?消されたいのかのぅ?」

アレクが、話す前に間髪入れず、創造神がヴァンドームを脅す言葉を放つ。

「おいおい、右手の神の力を抑えてくれ!本当に消し飛ばすつもりか!探る気はないから安心しろ」

ヴァンドームは、創造神の右手に込められた濃密な神力を目の当たりにして、両手を上げ降参の意思を示す。

「昔から、首を突っ込む癖は変わっとらんのぅ。それより、早く家に入らんか」

創造神にせかされながら、アレクとヴァンドームは小屋に入る。

「早速じゃが、ワシが納得する条件を出してくれんかのぅ?それと、精霊神の羽を見せるんじゃ」

「これです。神力がかなり弱まっていたので、回復するまで神殿に保管していました」

アレクが、精霊神の羽を渡すと、創造神は手にとって隅々まで確認する。

「ほぉ~、二人共いい仕事じゃ。これならば、すぐにでも精霊神に再生を施しても大丈夫そうじゃのぅ」

トリーから切り離す際に、ヴァンドームとヴィドインが神経を擦り減らしながら手術を行った。そして、アレクの機転のお陰で地獄の力に侵食され始めていた羽は見事に光り輝くほどに神力が回復していた。
その労力に対して、創造神は賛辞を送る。

「こっちが完璧に悪かったからな。下手な仕事はできない」

「私も、好条件を提示された以上は、創造神様に首を縦に振ってもらいたいですからね。それと、再生とはどういうことですか?くっつけるのはダメなんですか?」

創造神の口から出た再生という言葉が気になった。再生ならば、羽は不要なのではとも考えられるからだ。

「精霊神は、特別でのぅ。魔力と神力を合わせないといけないんじゃ。くっつけるだけじゃと、完璧な羽にはならん。吸収して体内で混ぜ合わせた状態で再生させるのが一番なんじゃわい。時間がかかるがのぅ」

「そうなんですね。言ってる意味は何となく理解できますが、凄い複雑なんですね。でも、無事に精霊神様が元の姿に戻れるなら良かったです」

アレク的には、くっつけてから魔力と神力を混ぜ合わせればとも思ったが、完璧な羽ではないらしく、これ以上詳しく聞いても理解が難しそうだと判断して、聞くのをやめた。

「話の腰を折るぞ!時間もないから、条件を話す。俺は、精霊神の羽を返すのとルシファーを討伐する手助けをかってでた。その代わりに、地獄と神界は今まで通りの関係でお願いしたい」

時間がないと言っていたので、ヴァンドームが今回の契約に関する条件を話し始めた。

「それならば、ええじゃろ......とでも言うと思ったか!弟子が危険に晒されると知ってが本音じゃろ?そうだのぅ。ルシファーを討伐後、もし世界に危機が迫ったら、もう一度手を貸すのはどうじゃ?」

好条件に見えた裏には、ヴァンドームの欲もあったようだ。
創造神は、アレクを騙すようなことは許せないので、ヴァンドームに怒りを見せる。

「いや、それはだな。はぁ、あぁ、その通りだ。騙すつもりはなかったが、ちょうど目的が同じだったから利用した。わかった。創造神の条件に乗ってやる。早く契約の儀式をしてくれ」

創造神には、全てのことが見透かされるとわかっているヴァンドームは、これ以上下手な言い訳をするよりも条件を飲む方がいいと判断した。

「ホッホッホッホ、最初から素直になればいいんじゃよ。ほれ、もう契約は完了しておる。二人共、右手の手の甲を見るんじゃ」

ヴァンドームとアレクが、手の甲を見ると星の印が印されていた。そして、数秒経つと吸い込まれるように消えた。

「この契約術式は、ワシしか解けんからのぅ。不履行又は無理に解こうとした場合、魂となり亜空間を彷徨うことになるわい。くれぐれも守るんじゃぞ」

創造神は、ヴァンドームだけを見て念を押すように話す。最後の警告だと言うように。

「流石に、守る。まだまだ滅ぼされたくはないからな。それで、ルシファーとやらはどこに現れる?」

ヴァンドームは、この時絶対に約束を守ると胸に誓う。

「王都・魔物の街......魔物の街は、アレクとヴァンドームで戦うんじゃ。他は、王都に送るべきじゃ。ほぉ~、北にオレールを送るべきじゃな。ワシからの助言は、これくらいじゃわい」

創造神は、干渉出来るギリギリのラインでアレク達に伝える。

「言い忘れておった。今回は、犠牲は付きものじゃ。無理に助けようとするでないぞい。耐え難いがのぅ。その時は、スキルがあるのを思い出すとよい。仲間にも、共有するんじゃぞ」

「は、はい!わかりました。はぁ~、創造神様の言葉から色々推測できますが、どれも心が壊れそうになる予感がしますね」

犠牲という言葉から色々なことが連想されて、今回の戦いは前回以上に、苦しくなるのだろうと感じた。

「創造神、こいつが潰れないようにしてやるから任せろ。よし、ルシファーとかいう野郎を殺しに行くとするか」

これ以上、話をしたところで、アレクの悩みが増えるだけなので、ヴァンドームはアレクを掴んで下界へ転移した。

「ワシが見た未来にならなければよいがのぅ......」

創造神は、最後に不穏な言葉を漏らすのだった。
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