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第3章 アレクを狙って

第712話 可愛いヒルコと創造神の実力!

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「あなた達は、誰ですか?それに、この神界において反対する力を纏っていますが、侵略か何かでしょうか?」

アレクと呼ばれたヒルコは、一瞬戸惑いを見せるが、おくびにも出さずに、相手のことを尋ねる。

「俺達は、創造神に対して、会談の申し出に来ただけだ。それと、この力なしにこの地に踏み入ると、俺達は死ぬからな。許してくれ。そろそろ創造神に会いに行っていいか?」

ヴァンドームは、本当のことを伝える。しかし、地獄というワードを出すとややこしくなる可能性があるので、伝えないようにした。

「少しお待ちください。創造神様にお伝えします。まだ安全だという確証がないのでお許しください」

「構わない。やましいことは何も無いからな」

ヒルコは、創造神に念話をすると、すぐに返事が返ってきて、通すようにと言われる。

「お待たせしました。創造神様の許可がおりましたので、ご案内致します」

ヒルコは、創造神の許可は下りたが、得体の知れない力に警戒を緩めることはしない。

「流石創造神だな。話が早い。それで、お前は何故神界にいる?下界でなんかあったのか?」

ヴァンドームは、アレクとヒルコが別人だということに気付いていないようで、歩きながら理由を聞く。
何故見分けがつかないかというと、見た目も同じで神力も同じだからだ。

「私は、ヒルコと言います。似ているとは思いますが、全くの別人です」

アレクのことをどこまで知っている人物かわからないのと、危険な力を有している目の前の二人を警戒して、全く知らないといった感じで答えた。勿論、転生のことや元は同じであったことを悟られてはいけない。

「ん?似ていると思います?やはり知っているんだな。まぁ、話したくないならいいか。俺達は、見るからに怪しいからな」

ヴァンドームは、口を滑らせたヒルコの言葉を見逃さずにツッコミを入れてくる。
ヒルコは、思わず「あっ!」と声を出して自分の落ち度に気付いた。

「ぶっははは、理由はわからないが、二人は似てるな。ヴァンドーム、まだまだあの者には秘密が色々ありそうだ」

「ホッホッホッ、からかうのは、その辺りで勘弁してやってくれんかのぅ?地獄の元大王と現大王が、ワシになんの用じゃ?」

森から抜けたところで、創造神が現れて、ヒルコに対する詮索とからかいを止めてくれた。

「創造神、久方ぶりだな。伝えなくてもわかっているだろ?俺達は、戦争を望まない!出来れば話し合いで解決をしたい。そして、会談の日取りを決めたいのだがいいか?」

ヴァンドームは、創造神に恐れることなく対等に話す。しかも、以前から関わりがあったような話し方をしている。

「相変わらずじゃな。最近は、他の神を抑え込むのに必死でのぅ。会談の詳細は全く知らぬのじゃ。日取りのぅ。いつでもええわい。その代わり、ワシらが納得する条件を持ってくるんじゃぞ」

創造神は、珍しく相手を威圧するかのような低い声と眼光で睨みつける。

「わかっている。神に寵愛された人物を巻き込んだ以上は、それなりの条件を提示する。あと、精霊神の羽はアレクに預けている。俺達が、持っていたら使い物にならなくなるからな」

羽単体では、地獄の力を当てられ続けると、地獄の力に侵食されて、二度と戻らなくなる。それを回避するためにアレクに預けた。

「それなら安心じゃな。アレクを騙すようなことをするでないぞい。ワシと神々の全力を持って地獄を火の海に変えてやるかのぅ」

さっきのような形だけの威圧ではなく、全てを飲み込むのではないだろうかという神力をヴァンドームとヴィドインにぶつけた。
すると、あれだけ強いはずのヴァンドームが片膝を突いて呼吸を乱している。ヴィドインに関しては、心臓を鷲掴みにして苦しんでいる。

「くっ、わかっている。俺にも大事な弟子がいるからな。決して、敵対も騙し討ちもしない。だから、早く収めてくれないか?」

「そうじゃな。お主は、弟子を取っておったのぅ。アレクに危害を加えないなら、ワシは何もせんわい」

この時、ヴィドインは力量を見誤っていたと痛感した。強いといってもヴァンドームくらいだろうと高を括っていたが、目の前で対峙してみて、遥か高みにいる存在だと知る。

「相変わらず、おっかねぇ爺さんだな。こいつの回復をするから帰るな。じゃあ、またな」

ヴァンドームは、地獄の力を体内に巡らせて回復させる。
そして、まだ苦しんで両膝を突いているヴィドインを肩から背負って、地獄へと戻るのだった。
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