チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第711話 地獄の未来と神界へ！

「笑い合える地獄。フッ、また無理難題を押し付けるな。正直、お前がいないと成り立たないだろ？俺一人で、内政もしながら武力行使は、無理だぞ」

武力をヴァンドームに担当してもらって、内政はヴィドインが回すという仕組みを作らない限り、タスクが多過ぎて手が回らないと考える。

「そのために、お前の部下達を鍛えた。特に、ウォルターだな。任せれば第二階位までなら鎮圧できる。それに、他の部下達も王以外の有象無象なら蹴散らせるだろうしな」

「お、おい！初めから、このつもりで育てたのか！？全て計画だったと？」

トリーやマグルの暴走は、計画ではなかったが、これを機にヴィドインやヴィドインの部下達に足りない物を気付かせて育てようと考えた。

「神に会うにしろ再発防止の案は必要だろ？いくら規制をかけたところで、ずる賢いやつや馬鹿なやつは山程いるからな。そいつらを取り締まれる体制を整える必要があったんだ」

「まさか、我が手を下す前に、そこまで考えていたとはな。はぁ、ここまでお膳立てされると情けなくなるな」

ヴィドインは、神との会談を成功させるだけという状態で、全てをお膳立てされたことに情けなくなる。

「真意を伝えず、大王にした償いと最後の選別だ。あとは、うまく交渉し、地獄を変えてみせろ。一番の交渉材料であるルシファーは、俺がねじ伏せてやるからな」

ヴァンドームは、今回くらいは頼ってこいといった様子で話す。

「はぁ～、そうだな。先代から学べる貴重な時間など本来ないしな。お膳立てを有り難く受け取らせてもらう。本当に、助かった」

ヴィドインは、深呼吸をしたあと、全てが吹っ切れた顔をして、ヴァンドームから学べることは吸収して、無事に交渉を終わらせることだけに注力しようと考える。

「やっと、いい顔になったな。今は、やるべきことだけに集中しろ。それより、下界との交渉はうまくいったのか？」

「ルシファーを条件にしたのが大きかった。あれがなければ断られてただろうな。しかも、お前の言った通り強者が大勢いたな。絶対に、敵対はしたくない」

話を聞いたヴァンドームは、何回も首を縦にして頷く。何故かというと、ヴィドインが下界に行く前は、それほどまでの強者などいないだろうと言っていたのだが、今の答えを聞くと真逆だったので、やっと理解したかと思ったからだ。

「どうだ？世間は広いだろ？」

「あぁ、7人ほどずば抜けた者がいたな。それに、懐かしい匂いもした。まだ完全覚醒はしてないが、鬼人の王の力を受け継いだ者がな」

ヴァンドームは、少し口角を上げて、はにかんだ素振りを見せたが、ヴィドインの言葉を聞いた瞬間、驚いた顔をする。

「7人？また増えたのか。それに、鬼人の王の力をか......あの少年、神に愛され過ぎではないか」

ヴァンドームは、落ち着きを取り戻すと、アレクの顔を浮かべて額に手を当ててやれやれといった表情をする。

「あれは寵愛レベルだな。一瞬で敵対してはならないと悟った。あの者がいる間は、友好関係を築きたい。もし、馬鹿がいれば全力で潰すさ」

「お前の言う通り、友好関係は築くべきだな。なんなら地獄とあいつの街で同盟を結ぶべきかもな。まぁ、その辺はお前の判断だ。自由にしてくれ。あと、今から創造神に会いに行くぞ」

地獄を変えるなら、それくらいの変化をもたらすべきだと考えているヴァンドームは、思い切った展望を口にする。

「ちょ、同盟の件は賛成だが、創造神に会いに行くとは、どういうことだ？」

ヴィドインの疑問など無視するように、ヴァンドームはヴィドインを掴んで、その場から姿を消す。


◆


「おい！ヴァンドーム、これはどういうことだ！くっ.....神の力が充満して......」

移動してきた場所は、以前アレクも訪れたことのある創造神が住まう森の中だ。

「地獄の力で体を保護しとけ。この場所は、俺達には害でしかないからな」

創造神から溢れ出る神力の影響で、大気中にも神力が充満している。地獄の者にとっては、死地へ足を踏み入れたに等しい。

「こんな場所に来るなら先言え！」

「創造神に会いに行くと言ったぞ。お前が、準備していないのが悪い」

ヴィドインは、これ以上言い返したところで、何も変わらないことを察して、ため息をつきながら諦める。

「動かないでください！あなた達は、何者ですか？」

ヴィドインとヴァンドームが言い合いをしていると、後ろから声をかけられる。

「なんでお前がここにいるんだ？」

「アレクも、創造神に会いに来たのか？」

目の前にいたのは、アレクそっくりのヒルコであり、二人はアレクと見間違ってしまう。
そして、ヒルコはしらない人から死ぬ前の名前で呼ばれたので驚くのだった。