チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
591 / 812
第3章 アレクを狙って

第702話 挑発、関心、理解!

しおりを挟む
「我がお願いする立場だからな。聞いてから判断してくれればいい。だが、その前に、そこにいる二人には出ていってもらいたい。殺気をずっと当てられると不快だ」

ここに来てから、終始殺気を受けているヴィドインは、本当であれば、今すぐにでも、二人の首をへし折りたいが、交渉が出来なくなってしまうので我慢していた。

「お客様に、ご不快な思いをさせて申し訳ないです。悪いけど、デストロイとマンテ爺は、外で待っててくれるかな?」

アレクが、入室した時から殺気に対して注意しなかったのは、わざとだった。何故そのような危ないことをしたかというと、ヴィドインの忍耐力を試すためと、ここにきた目的が、どれだけ本気なのかを試すためだったのだ。

「おい!こいつが、どれだけヤバい奴かわかってんのか?悪の化身と言っても相違ねぇやつだぞ」

デストロイは、昔と違い言い方は、キツイものの、どこか優しさが見え隠れするようになった。

「デストロイの言う通りじゃ!こやつを野放しにはできんわい」

マンテ爺は、今にも飛び掛かりそうな勢いで言葉を放つが、アレクの手前なんとか自制している。

「大王様、少しだけ席を外してもよろしいですか?二人に言い聞かせてきますので」

アレクが、ヴィドインの肩を持ったように見えたデストロイは、一歩踏み出す。しかし、ノックスが首を振って静止させる。

「その方が、良さそうだ。二人の番犬が今にも襲ってきそうだからな」

ヴィドインは、先程とは打って変わって二人を挑発するような言葉を投げかける。
その瞬間、マンテ爺は爪を鋭く伸ばしてヴィドインに襲いかかり、デストロイも殴りかかる。

「二人共、落ち着こうか。それと、こちらが先に殺気を撒き散らしたのが原因だけど、仲間を番犬呼ばわりとは、大王様も挑発ですか?そのような発言は、底が知れてしまいますよ」

アレクは、左手でデストロイを止めて、右手でマンテ爺を止めた。
あの一瞬で、身体強化と武功を最大にして、片手だけで受け止めたのだ。
そして、仲間を侮辱されたことに対して、アレクもお返しと言わんばかりに挑発をする。その瞬間、ヴィドインはこめかみに青筋を立たせるが、すぐさま大きく深呼吸をした。

「ふぅ~、確かに、君の言う通りだな。悪かった。我は、こいつと話をしてるから、席を外してもらって構わない」

アレクが、簡単に二人を片手で受け止めたのを見て、ヴァンドームから同じ強さくらいと言われたことが、はっきりとわかり、敵対するのはやめようと考えた。
そして、ヴィドインはノックスを指差して、二人で話すと伝える。

「わかりました。こちらも、挑発するような物言いをしてしまい、申し訳ございませんでした。少し話をしてきますので、暫くお待ちください」

この挑発に対しても、怒りを鎮めたヴィドインを見て、アレクは大丈夫だろうと判断し、謝罪をしてから、デストロイとマンテ爺を連れて出ていく。

「少し気になってたことを聞きたいんだが、いいか?」

アレク達が、去ったあと、ヴィドインからノックスに声をかける。
どうやら、アレクを行かせるための口実ではなく、本当に質問があったようだ。

「どうした?答えられる範囲でなら答えるぞ」

ノックスは、デストロイやマンテ爺と違って、普段と同じように受け答えをする。

「我のことを、あの二人のように警戒しなくていいのか?」

ノックスが、あまりにも表情を変えず、口調も初めから落ち着いているのと、ヴィドインが地獄の大王と言っても、ピクリとも動かないことに、疑問を抱いていた。

「気を悪くしたら謝るが、警戒する必要性がない」

地獄の大王に向かって、挑発とも取れる言葉をストレートに言う。
だが、先程のように青筋を立てて怒るようなことはなく、ヴィドインは至って冷静だ。

「それは、俺の方が、お前より弱いからか?」

「決して弱い訳では無いが、俺とアレク坊の二人がいれば余裕で無力化できるからな。更に、豪牙とデストロイとマンテ爺がいる状況だしな」

またしても、ストレートに伝えるが、ヴィドインが怒る気配はない。
その理由は、嫌味や挑発といった様子が全くないので、怒る気すら起きないからだ。

「じゃあ、もしここら一帯を吹き飛ばそうとしたらどうするんだ?」

ヴィドインに、その気はないが、目の前にいるノックスがどういう反応をして、どのように返してくるのか気になった。

「屋敷が半壊するかもな。それ以上でもそれ以下でもない」

「アッハハハハ、負けた負けた。この先、俺から手を出すことはしない。これで確信できたしな。お前、力を隠してるだろ?」

ヴィドインは、ノックスの目をジッと見たあと大笑いをする。何故なら、その目は虚勢を張ってる様子はなく、全く嘘をついていなかったからだ。

「あぁ、最近覚えたんだ。これで、相手が油断すれば、隙が生まれるしな」

ノックスは、戦うだけではなく、アレクから座禅を組んでの精神修行を教えてもらい、実戦していると、段々無の心を理解し始めて、今では力を表に出さなくすることが出来るようになった。

「凄いな。だが、一つ言わせてもらうと。全く、力を感じないのは、逆に不自然かもな。多少は、出した方がいいと思うぞ」

「あぁ~確かにそうだな。人間の平均的な力くらいにしておくか。教えてくれて助かった」

ヴィドインからアドバイスを、すぐに聞き入れて、実践する。
地獄に住むヴィドインからすると、力は誇示すればするほど、敬服されるので、地獄と下界とは全く違う文化だなと実感するのだった。
しおりを挟む
感想 2,187

あなたにおすすめの小説

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!

藤なごみ
ファンタジー
簡易説明 転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です 詳細説明 生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。 そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。 そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。 しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。 赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。 色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。 家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。 ※小説家になろう様でも投稿しております

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

斑目 ごたく
ファンタジー
 「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。  さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。  失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。  彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。  そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。  彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。  そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。    やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。  これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。  火・木・土曜日20:10、定期更新中。  この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。 魔物が跋扈する異世界で転生する。 頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。 《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。 ※以前完結した作品を修正、加筆しております。 完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます

長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました ★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★ ★現在三巻まで絶賛発売中!★ 「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」 苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。 トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが―― 俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ? ※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。