上 下
629 / 694
第3章 アレクを狙って

第701話 地獄の大王とのご対面!厄介な事か!?

しおりを挟む
パスク達が、応接室までついてくると言ったのだが、かなりの警戒をしている人物なので、何かあった時に、すぐ逃げられるよう街のみんなとヘルミーナと大樹をお願いした。
そしてアレクは、訪ねてきたお客さんの下へと向かう。

「ファビロ、ここまででいいよ。かなりキツイでしょ?」

応接室に近づくにつれて、デストロイとマンテ爺の殺気が強く発せられているのを感じた。

「あ、ありがとうございます。はぁはぁ、では、申し訳ございませんが、私もパスク様に合流して......待機しておきます」

ファビロは、普通の人間なので、世界最強が4人も集まった場所からの殺気を受けて、足がガクガクになり冷や汗を流す。

「うん。パスクと一緒なら危なくなっても逃げ切れると思うから。あとは、以前決めた避難誘導通りにしてね」

魔物の街が、危うくなった際に、一時避難の場所を決めていた。
そして、敵わない相手だった場合は、逃げられる者は無理に応戦しようとはせずに、自分の命を優先にするよう決めていた。

「はい。わかりました」

そう言ってファビロは、少しフラつきながらパスクの下に向かう。

「ふぅ~、気合を入れていこうかな」

アレクは、どんな脅威が待ち受けているかわからないので、気合いを入れるために、頬をパチンと両手で叩く。





「みんなお待たせ。今から入るから、攻撃だけはしないでね」

殺気立つ仲間がいるので、一言入れてから入室する。

「悪いな。二人には言ったんだが、どうも匂いが気になるらしくてな」

応接室に入ると、何故二人が殺気立っているのかを、ノックスが説明する。

「そう言う......って、マンテ爺!?その姿どうしたの?」

アレクが、返事をしようすると、視界にマンテ爺の人化した姿が目に入る。一瞬、人違いかと思ったのだが、魔力がマンテ爺のものであったため、見間違いではないと確信した。

「そうじゃった。アレクには、この姿を見せておらんかったわい。あとで、説明してやるのでのぅ。まずは、目の前におる邪悪な悪魔をどうにかするんじゃ」

アレクの驚く表情を見て、一瞬優しい顔になるマンテ爺だったが、すぐに厳しい顔になって、来訪者を睨みつける。

「あ!そうだったね。お客様が、来てくれてるんでした。お客様、お待たせして申し訳ございません。久しぶりに会ったので、再会に感動してしまいまして」

アレクは、みんなとの再会に夢中になってしまい、来訪者の存在を忘れてしまっていた。

「構わない。急に訪問したのは我だからな。我は、地獄の大王ヴィドインだ。よろしく頼む」

ヴァンドームからアレクに会うように言われて、足早に訪れた。
そして、ノックスとマンテ爺とデストロイと豪牙の強さを見て、その主であるアレクが、どれ程までに強いのかと興味が湧いて居座った。

「お気遣い恐れ入ります。私は、アレクと申します。それで、何故地獄の大王様が、下界ましてや一辺境伯の下を訪れたのですか?」

アレクからすると、ヴィドインに一度も会ったこともなく、地獄に関係する人とも会った記憶がなかったので、何故か気になってしまう。

「エルフの国で、スーツの男に会ったのを覚えてるかな?君が、倒した少年を連れて行った人物なのだが」

「はい!覚えています。最後に、精霊神の羽を渡すと言って去って行きました。正直、計り知れない強さだったので、深追いをやめた相手です。その人物が関係していると?」

アレクは、言葉では慎重に伝えているが、内心地獄が関係したことに驚く。更には、マンテ爺達が、かなり警戒する相手に、どのような要求または厄介事を持ち込まれるのか気になってしまう。

「君と話した人は、前大王だ。正直、戦闘にならなくてよかったと思う。そして、約束通り、精霊神の羽を持ってきた。それから、我と取り引きをお願いしたい。決して悪い話ではないと思う。聞いてもらえるか?」

「前大王様!?それは、強いわけですね。それから、これが精霊神の羽ですか?この羽に関係しそうではありますが、とりあえず話を聞かせてください。それから、取り引きをするか判断します」

ヴィドインは、焦らすことなく、精霊神の羽を差し出した。
アレクは、あっさり渡されたことに拍子抜けしてしまうが、取り引きという言葉を聞いて気を引き締める。
地獄からの取り引きということで、絶対に厄介な取り引きになるだろうと思ったからだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。