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第3章 アレクを狙って

第691話 エルフの国の変革と史実と異なる事実!

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次の日を迎えて、玉座の間でアクセルの罪状と判決がくだされようとしていた。
アレク達は、状況説明とアクセルが何かしないように見張るために呼ばれている。
しかし、当の本人のアクセルは、玉座の間におらず、王とライザーと5名の正装したエルフと兵士のエルフだけがいた。

「まずお伝えすることがある。議会に招集される代表5名だが、アレク殿の再三の忠告を聞き入れず、罵詈雑言を浴びせたことで信用に値しないとし、解任した」

王は、いきなり代表を解任した知らせをするが、アレクからすると、以前の代表が誰だったのかも知らないので、どうでもいいように感じてしまう。

「王様、発言してもよろしいですか?」

アレクは、一つだけ確認したいことがあり、一応国の代表である王に対して、敬意を払いながら尋ねる。

「うむ!よいぞ!それから、余とアレク殿は対等の立場である。へりくだる必要もない!それに、意見がある場合、許可なく発言してくれて構わない」

本来、アレクの方が上位の存在に当たるのだが、王から見たアレクは、敬われるのを嫌っているように感じたので、対等の立場とした。
それでも、アレクからすると、王と対等に敬われるのは嫌かもしれないが、それでは周りから舐められる可能性もあるので、色んな意味で、王の最大の譲歩として対等の立場にした。

「では、お言葉に甘えさせて頂きます。新しく選ばれた5名は、何を基準で選ばれたのでしょうか?」

アレク自身が舐める人物達くらいであるなら構わないのだが、今後エルフの国と友好関係を結ぶ場合、仇なす者や混乱させる者がいたら、困るので尋ねた。

「アレク殿達に対して、一度も文句を言わなかった者1名と神様を崇拝している者1名といち早く他種族との友好を望んだ者1名と公平に俯瞰して見れる者1名と一番若く勇猛な戦士1名を選んだ」

アレク達は、知らなかったのだが、エルフの中で唯一、一度も逆らうようなことをせず、文句を言わない者がいた。そして、他に選ばれた者も、どちらかと言えばアレク達に好意的な者から選ばれている。だが、多種多様な意見も時には必要なため、公平に見ることができる人物を加えた。

「お聞きする限り、かなり思い切ったと言いますか、新しい時代を築こうとしていることが伝わるのですが、反対の意見は出なかったのですか?」

アレクは、これが原因で反乱のようなことが起きないか心配になる。

「反対意見がないと言えば嘘になる。しかし、我々は変わらなくてはいけないのだ。それに、アレク殿が民の前でアクセルを自白させたことで賛成派の意見の方が多くなっておる。少しずつだが、変わろうとしておるのだ」

アクセルをあの場で、晒し上げたことは間違いではなかったようだ。
そして、まだまだ先が長いかもしれないが、確実にエルフの国が変革時期に入り始めている。

「それならよかったです。最初なら色々問題が起こるのは仕方のないことですもんね。それに、王様がいち早く改革を進めている覚悟が素晴らしいです。俺は、王様を支持しますし、助力してほしいことがあるなら、いつでも言ってください」

アレクは、ここまで新しい物を取り入れることのできる人物を、素直に応援したいと思った。なので、助けを必要としているなら、いつでも駆け付けようと考えた。

「非常に助かる。これは、アクセルを裁いてから言うつもりであったが、アレク殿、エルフの国と盟約を結んでは貰えないだろうか?」

王は、言葉少なく頭を下げて礼をする。そして、盟約を頼んできた。

「盟約ですか。それは、俺の治める魔物の街に対してですか?それとも、王国に対してでしょうか?それと、盟約を結ぶ以上、エルフの国は何を提供できますか?」

盟約を結ぶのは、簡単なことだが、現状アレク側に何のメリットもない。その状態では、盟約ではなくなってしまうのだ。

「もちろん、アレク殿が治める魔物の街と盟約を結びたい。そして、我々からは、あの湖の水を差し出す。これは、同族しか知らないことなのだが、エルフが長命である理由は、あの湖の水がもたらす恩恵なのだ」

ここに来て、またしても意外な事実が判明する。多くの史実で記されているエルフは、元から長命であると書かれていたが、まさかの湖の水がもたらしていた物だった。

「え!?なら、あの水を飲めば長命になれると?うわぁ~、これはおいそれと他種族を招き入れれなくなったよ」

世界樹は、ある条件を満たした者だけが入ることを許されたが、湖には何の制約もなく、誰でも出入りできるので、これから他種族と関わるならば、1から考え直す必要があると考えた。

「うむ!一度飲めばどれくらい長命になるのかなどの記録はないが、我々が保管している歴史書にも記されておる」

「この話は、やはり全てが終わってからにしましょう。色々修正が必要かも。とりあえず、あのエルフ処遇を決めてしまいましょう」

アレクが、考えるエルフの今後の計画を1から見直す必要があり、今決めることが出来ないと判断して、先送りにしたのだった。
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