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第3章 アレクを狙って
第684話 心優しき父親ライザーからの依頼!
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アレク達は、足早に世界樹の入り口から去って城に向かう。
そして、オレールが先行しているのだが、一切止まる様子もなく、あっという間に城へ着いてしまう。
「なんという早さだ!余の常識を超えておる」
王は、あまりのスピードに、背負ってもらっていたはずなのだが、何故か疲れた表情をしている。
「敵かもしれない者がいる可能性がありましたからね。また、毒魔虫のような面倒くさい攻撃をされる前に阻止したいですから。でも、慌しい様子もないですし、大丈夫そうですね」
ライザーがエルフ達の指揮を取っているお陰で、今まで通り城の門には兵が立っており、日常と変わらない様子である。
「あの森や城内と周囲にも怪しい気配はありませんよ。どこかに身を潜めているか、街に溶け込んでいる可能性が高いと思われます」
オレールは、敵の気配を探知して探ったが、新しい反応は見当たらないという。
「ありがとう。じゃあ、一旦ヤンさんとジアを寝室に運んで、俺達は敵が潜んでないか探しに行こうか。パスクは、このまま城に残って王様達を守ってくれるかな?」
「はい!畏まりました。アレク様、くれぐれもお気をつけくださいませ」
ヤンとジアを、寝室に運んで寝かせたところに、城にいた誰かが知らせに行ったのか、ライザーが凄い勢いで、寝室に突撃してきた。
「ジアァァァァ」
ライザーは、血相を変えて、アレク達には見向きもせず、大声を上げてジアの下に向かう。
「ライザーよ、みっともない。そこにおるオレール殿が、手当てをしてくれたのでな。今は、寝ているだけだ。静かにせい」
王は、子供が倒れて辛い気持ちはわかるのだが、エルフの国の守護者として、ライザーには、取り乱してほしくないのだ。
「王、それにアレク殿まで......申し訳ございません。娘が倒れたと聞いて、周りが見えておりませんでした」
ライザーは、大きな体に似合わず、顔を少し赤く染めて恥ずかしいといった表情を浮かべる。
「ライザーさん、ジアとヤンさんは、高濃度の魔力を浴びてしまい、体内に異物な魔力が残った状態でした。オレールが処置をしたのですが、治す際に二人が体力を使い果たして倒れたといった感じです」
オレールが、無理矢理に魔力を流して異物となる魔力を排出させたといった不安になることは言わずに、何があったのかをライザーに話す。
「オレール殿、娘を助けて頂き感謝します。いったい、私の娘をこのようにしたのは、どこのどいつなのですか?今すぐにも、殺してやりたい」
ライザーは、顔を真っ赤にして、怒りをあらわにする。守護者という地位につくだけあって、強さを兼ね備えており、普通のエルフでは考えられない魔力と威圧を全身から出すのだ。
「ライザーさん、落ち着いてください!体からダダ漏れです。それと、敵は不明です。これから探しに行く予定でいます。ライザーさんは、ここにいてジアさんを守っていてください」
アレクは、ライザーが行ったところで、ジア達の二の舞いになると思っているのだが、流石にストレートに言うわけにもいかず、濁しながら伝える。
「待ってください!娘をこんな姿にしたやつをこの手で殺して......」
やはり諦めきれないようで、ライザーは部屋を出て行こうとする。しかし、王が止めに入る。
「うむ!ライザーの気持ちは痛いほどわかるが、アレク殿はライザーの名誉を守りながら、ここにいるように言ったのだ。みなまで言わせるつもりであるか?ライザーならば、アレク殿が連れていかん答えがわかるであろう?」
王は、アレクが優しさで、ライザーのプライドを傷付けないように言ってくれたことを伝える。
「くっ!王よ、私も重々わかっています。しかし、娘をあのようにされては......あぁ~、ク、クソ!俺はなんて情けなく無力なんだ」
ライザーは、壁を殴って自分の無力さに悲しくなる。そして、大きく息を吸ってため息を吐く。
「取り乱してしまい、申し訳ございません。わがままばかり言ってしまって......アレク殿、またしても力をお借りすることになるが、どうか娘の敵を討って頂けないでしょうか?」
ライザーは、両膝を突いたかと思えば、額をこれでもかと地面に擦り付けて泣きながらアレクに敵を討ってくれとお願いをする。
「わかりました。必ず、捕まえてみせますので、ライザーさんはジアの側にいてあげてください。王様には、パスクが護衛に付きますので」
それを聞いたライザーは、「ありがとう」と心の底から絞り出したような声でお礼を言う。
そして、アレクとオレールとナハスとレッドドラゴンは、敵の探索に向かうのだった。
そして、オレールが先行しているのだが、一切止まる様子もなく、あっという間に城へ着いてしまう。
「なんという早さだ!余の常識を超えておる」
王は、あまりのスピードに、背負ってもらっていたはずなのだが、何故か疲れた表情をしている。
「敵かもしれない者がいる可能性がありましたからね。また、毒魔虫のような面倒くさい攻撃をされる前に阻止したいですから。でも、慌しい様子もないですし、大丈夫そうですね」
ライザーがエルフ達の指揮を取っているお陰で、今まで通り城の門には兵が立っており、日常と変わらない様子である。
「あの森や城内と周囲にも怪しい気配はありませんよ。どこかに身を潜めているか、街に溶け込んでいる可能性が高いと思われます」
オレールは、敵の気配を探知して探ったが、新しい反応は見当たらないという。
「ありがとう。じゃあ、一旦ヤンさんとジアを寝室に運んで、俺達は敵が潜んでないか探しに行こうか。パスクは、このまま城に残って王様達を守ってくれるかな?」
「はい!畏まりました。アレク様、くれぐれもお気をつけくださいませ」
ヤンとジアを、寝室に運んで寝かせたところに、城にいた誰かが知らせに行ったのか、ライザーが凄い勢いで、寝室に突撃してきた。
「ジアァァァァ」
ライザーは、血相を変えて、アレク達には見向きもせず、大声を上げてジアの下に向かう。
「ライザーよ、みっともない。そこにおるオレール殿が、手当てをしてくれたのでな。今は、寝ているだけだ。静かにせい」
王は、子供が倒れて辛い気持ちはわかるのだが、エルフの国の守護者として、ライザーには、取り乱してほしくないのだ。
「王、それにアレク殿まで......申し訳ございません。娘が倒れたと聞いて、周りが見えておりませんでした」
ライザーは、大きな体に似合わず、顔を少し赤く染めて恥ずかしいといった表情を浮かべる。
「ライザーさん、ジアとヤンさんは、高濃度の魔力を浴びてしまい、体内に異物な魔力が残った状態でした。オレールが処置をしたのですが、治す際に二人が体力を使い果たして倒れたといった感じです」
オレールが、無理矢理に魔力を流して異物となる魔力を排出させたといった不安になることは言わずに、何があったのかをライザーに話す。
「オレール殿、娘を助けて頂き感謝します。いったい、私の娘をこのようにしたのは、どこのどいつなのですか?今すぐにも、殺してやりたい」
ライザーは、顔を真っ赤にして、怒りをあらわにする。守護者という地位につくだけあって、強さを兼ね備えており、普通のエルフでは考えられない魔力と威圧を全身から出すのだ。
「ライザーさん、落ち着いてください!体からダダ漏れです。それと、敵は不明です。これから探しに行く予定でいます。ライザーさんは、ここにいてジアさんを守っていてください」
アレクは、ライザーが行ったところで、ジア達の二の舞いになると思っているのだが、流石にストレートに言うわけにもいかず、濁しながら伝える。
「待ってください!娘をこんな姿にしたやつをこの手で殺して......」
やはり諦めきれないようで、ライザーは部屋を出て行こうとする。しかし、王が止めに入る。
「うむ!ライザーの気持ちは痛いほどわかるが、アレク殿はライザーの名誉を守りながら、ここにいるように言ったのだ。みなまで言わせるつもりであるか?ライザーならば、アレク殿が連れていかん答えがわかるであろう?」
王は、アレクが優しさで、ライザーのプライドを傷付けないように言ってくれたことを伝える。
「くっ!王よ、私も重々わかっています。しかし、娘をあのようにされては......あぁ~、ク、クソ!俺はなんて情けなく無力なんだ」
ライザーは、壁を殴って自分の無力さに悲しくなる。そして、大きく息を吸ってため息を吐く。
「取り乱してしまい、申し訳ございません。わがままばかり言ってしまって......アレク殿、またしても力をお借りすることになるが、どうか娘の敵を討って頂けないでしょうか?」
ライザーは、両膝を突いたかと思えば、額をこれでもかと地面に擦り付けて泣きながらアレクに敵を討ってくれとお願いをする。
「わかりました。必ず、捕まえてみせますので、ライザーさんはジアの側にいてあげてください。王様には、パスクが護衛に付きますので」
それを聞いたライザーは、「ありがとう」と心の底から絞り出したような声でお礼を言う。
そして、アレクとオレールとナハスとレッドドラゴンは、敵の探索に向かうのだった。
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