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第3章 アレクを狙って

第683話 トリーの悪ふざけにやられる!

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アクセルとトリーは、ナハス達の様子を観察して、アレク達が出てくるのを待っていた。

「へぇ~、エルフ二人は論外だけど、あの二人は脅威になるかもね。アクセル、勘付かれたから離れるよ。でもニッシッシ、ちょっと遊んじゃお」

トリーは、ナハスとレッドドラゴンが気付いていることがわかり、一度この場所から離脱する。
しかし、離脱する前に、意地悪そうな顔をしたトリーは、ナハス達の方向に向かって見えない何かを放つ。

「ふ~ん。なんとなくわかったかな。アクセル、全力でりだーつ」

「ちょ、おい!何をしやがった!って聞いてないのかよ」

トリーは、自由気ままな様子で、何かを確認すると、無邪気な子供のような言い方をして離脱する。それに対して、文句を言いながらもアクセルは後を追うのだった。





「体が動かねぇ......」

「クッ、防御結界を......なんて強力な威圧なの」

トリーが放ったのは、威圧だったようで、レッドドラゴンもナハスも、抗うことが出来ずに体が固まる。
ヤンとジアに関しては、片膝を突いて話すことすら出来ない状態になっている。

「濃密な魔力も混じってる......どういうことよ。レッドドラゴン、無理矢理抜け出すわよ」

「グッ、クソ!言われなくてもわかってる。ぐぁぁぁぁ」

ナハスとレッドドラゴンは、額から汗が玉のように吹き出しながら、魔力をフルパワーで体に巡らせて異物となる魔力が混じった威圧から無理矢理抜け出そうと抗う。

「はぁはぁはぁ、クソ!よくもやりやがったな!絶対殺す」

「はぁはぁ、ふぅ~、もういないようね。私も、ナメられたままは許せないわ。次会ったら後悔させてやる」

レッドドラゴンもナハスも、息を切らせながら汗で服はびちょびちょになる。だが、二人共鋭い眼光でアクセルとトリーがいた場所を睨みつける。

「みんな戻っ......え!?どういう状況?とりあえず、パスクは周囲の警戒。オレールは、ヤンさんとジアを見てあげて」

パスクは、すぐさまナハスとレッドドラゴンの前に立って、周囲を警戒する。そして、何かを見つけたのか、森の中に入っていく。
オレールは、ヤンとジアに近寄って膝を突いて苦しんでいる二人を回復させようとする。

「ナハス、レッドドラゴン、何があったの?」

「ご主人様、申し訳ございません!何者に威圧を受けて身動きが取れませんでした」

レッドドラゴンは、アレクを見ると、すぐに土下座をして謝る。

「アレク様、気配的にエルフらしき者と強力な魔力を混ぜた威圧を使う者にやられました。逃がしてしまい、申し訳ございません」

「え?二人をここまでする威圧だって!?いや、それより、ナハスとレッドドラゴンは、すぐにこれを飲んで。それに、謝ることはないよ。四人が無事でよかった」

アレクは、ここまで強力な威圧を使う者が、この国にいるとは思えず、どういうことだと思ってしまう。だが、それよりもナハスとレッドドラゴンの体力が大幅に減少していたので、回復ポーションを渡して飲んでもらった。

「ありがとうございます。これくらいでやられるなんて恥ずかしい」

レッドドラゴンは、自分の不甲斐なさに意気消沈する。横にいるナハスも、同じように伏せ目がちになってしまう。

「ヤンさんとジアさんですが、無理矢理に動けるようにしたので、気を失ってしまいました。どうやら、高濃度の魔力を体内に滞留させて動けなくしたようですね」

オレールは、体に害が残らないように、自身の魔力と神力を混ぜたものをヤンとジアの体の中に流して、トリーの魔力を排除した。しかし、高濃度の魔力に対しての免疫がない二人からすると、耐えることが出来なかったようで、排除した直後に倒れてしまった。

「オレール、ありがとう。ヤンさんとジアを寝かさないといけないね。王様、城で休憩できる場所を借りてもいいですか?」

「うむ!すぐに用意させよう。しかし、またしても、息子を救ってくれて感謝する。どうこの恩を返したらいいのやら......」

王も、この状況にどうやって対処すればいいのかわからず戸惑いを見せる。

「アレク様、あちらに魔力の痕跡があったのですが、すでに逃げたあとでした」

「ありがとう。この後は、オレールに先行してもらって敵が隠れ潜んでないか索敵しながら城に向かおう。パスクは、ヤンさんを!ナハスは、ジアを!俺は、王様を背負うから。頼んだよ」

アレクは、早く立ち去った方がいいと感じたのと、城や街に危険が及んでいないか知るために、三人を背負って、高速で移動しようと考えた。
アレクが、指示を出すと、全員「了解」と答えて、すぐさま移動を開始するのだった。
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