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第3章 アレクを狙って

第669話 意外な王様とその守護者!

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「駆除しないとどうにもならないね。それに、廊下にいるナハスが大変なことになっちゃうだろうから」

アレクは、ポーション瓶を取り出して、部屋中に薬をかける。
そして、廊下にいる毒魔虫も駆除しようと薬を撒くのだ。

「ナハス、一応駆除したけど、そこにいとく?」

地面にいた毒魔虫は、べちょっとなって死んでいき、壁や天井にいた毒魔虫は、ぼたぼたと勢いよく落ちてきて死んだ。

「は、はい!申し訳ございませんが、絵面があまりにも気持ち悪いので......」

ナハスは、口を手で押さえて青い顔をしながら謝る。

「そうだよね。あまりにも地獄絵図だし......ナハスは、ここで待ってて。もし、もし虫がまた来たら、これで駆除しといてね」

ナハスに、大量のポーションを渡して敵の侵入を防いで貰おうとお願いするが、ナハスにしては珍しく渋々ポーション瓶を受け取って、「はい......わかりました」と弱々しく答えるのだ。

「任せたよ。期待してるから」

アレクは、これが終わったら美味しいご飯でも作るよと言おうとしたが、顔を青くして気持ち悪そうにするナハスにかける言葉ではないと感じて、当たり障りのない言葉を投げかける。

「こっちは、どうかな?大丈夫ですか?おっと......」

アレクは、部屋に入って中にいる二人の安否を確認しようとすると、槍が飛んできた。しかし、アレクは危なげなく躱して槍は壁に突き刺さるのだ。

「ハァハァハァ、お、お前は誰だ。この悪魔の元凶か!」

今までのエルフと違い、高貴な白銀の鎧とエルフらしからぬ筋肉質な肉体を持った男が、後ろにいる男を庇って守ろうとしていた。

「俺は、エルフから依頼を受けて、この虫を駆除しにきました。虫は、全部死んでいるので周りをよく見てください。それよりも、回復のポーションですので飲んでください」

アレクは、無防備な格好で、そのエルフに近付いて腰を屈めてエクストラポーションを渡そうとする。だが、白銀の鎧の男は息絶え絶えにも関わらず、受け取ろうしないのだ。

「ライザーよ、受け取りなさい。この者の真偽は不明だが、そのポーションは、紛いもなく本物だ。少年、悪いが飲ませてやってくれんか?」

後ろにいた銀髪で、見た目からして高貴そうな壮年の男がアレクにお願いをしてくる。
アレクは、頷いて白銀の鎧の男にポーションを与えると、すんなりと受け入れて飲み干した。
そして、すぐに元気を取り戻したのか?自分の体を見て驚いた表情をする。

「あと、魔力回復のポーションを飲んでください。このままでは、一時的に動けても倒れてしまいます」

アレクは、続けて魔力回復のポーションを、その男に渡すと、後ろにいた男の方を振り向く。すると、後ろにいた男はポーションを見て、すぐに頷く。それを見た白銀の鎧の男は、ポーションを一気に飲み干すのだ。

「ふぅ~、なんだ!?このポーションは......おっと、悪かった。少年、助かった。感謝する」

「余からも、感謝するぞ。少年よ!ライザーは、余にとって失う訳にはいかん守護者であり良き友でもあるのだ。本当に感謝する」

今までのエルフとは違い、この二人のエルフは人族のアレクに対して感謝の言葉を述べたのだ。

「いえいえ。間に合ってよかったです。あと、外にいる寄生された仲間は、今助けていますので安心してください。それよりも、何故このようなことが起きたのですか?」

アレクは、二人を安心させようと仲間の現状を伝える。
そして、王様であろうこの高貴な人物に何があったのかを尋ねるのだ。

「まずは、この国の王として、感謝する!本当にありがとう。そして、この惨事の元凶なのだが、さっぱりわからないのだ。申し訳ない」

「そうですか。とりあえず、全員が無事だったことを喜びましょう。まだ、解決はしていませんし、話と自己紹介はそのあとで......ちょっと待ってくださいね」

王と守護者と呼ばれている二人を連れて城を出ようとした時に、ヤンから通信が入り、エルフの一団が城に向かっていたと知らせがきた。

「あの、どうやら助けたエルフが城に向かっているみたいです。一度、城の外に出ましょう」

「おぉ、吉報だな。わかった。すぐに行こう。ライザーは、歩けるか?」

王は、満面の笑みになり大喜びする。ライザーも、完璧に回復して「行きましょう」と立ち上がるのだった。
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