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第3章 アレクを狙って

第660話 謎の寄生虫と目的!

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パスクが、暴れるエルフを押さえつけてアレクに噛み付かないようにする。

「アレク様、どう致しましょうか?一度、気絶させますか?」

奇声を上げながら騒ぎ出すエルフをこれ以上放置しておくわけにもいかないので、無力化を提案する。

「いや、診断をして治せるなら薬を作ろう。多分、エルフの国も同じ状態だし、ここで解決するのが、一番いいよ」

アレクは、対策なしにエルフの国に入るのは愚策だと考える。

「畏まりました。では、アレク様が診断中の間、残りの者で警戒に当たります」

パスクは、オレールとナハスとレッドドラゴンを周囲に配置してアレク以外のみんなで警戒態勢に入る。

「ありがとう。じゃあ、始めるね。診断」

患者:ウィル
病名:毒魔虫寄生
症状:奇声 激昂 脳細胞破壊
感染︰媒介確率なし
余命:100年

「みんな、かなり厄介かも......毒魔虫って虫が寄生してるみたい。感染の可能性はないみたいだけど、どっかに寄生した経路があるかも。とりあえず、薬の精製に入るね」

全知全能薬学で薬に必要な材料を調べて、薬素材創造(ex) で素材を出して、調合(ex)  で瞬く間に作り出していく。
薬学神の下で修行を積んだお陰で、精製スピードが格段に上がったのだ。

「何あれ!?あり得ない......」

ジアは、エルフの国にいる時に薬の調合を少ししていたのだが、アレクのように素材を何も無いところから生み出したり、あり得ないスピードの調合に驚きを隠せずにいる。

「ジア様、どうされたのですか?」

「あんな早さで薬を精製する人見たことない。それに、原因まで突き止めるなんて......エルフで最高の薬師でも無理」

パスクは、ジアの驚いた表情にどうしたのか尋ねると、目の前で起こっているすべてのことが常軌を逸していることばかりなのだ。

「アレク様だからこそ成し得ることです。人間がエルフより劣っているなどと思わない方がいいですよ。人の世界で暮らしているなら視野を広く持ちましょう」

ここぞとばかりに、ジアがアレクに対して行ってきた態度をわからせようと動き出すパスク。

「ごめんなさい......昔からエルフが一番頭が良くて魔法にも長けてるって教えられてきたからなかなか受け入れられなかった。でも、変わらないといけなさそう」

ジアは、ここにきてやっと自分と向き合うことができるようになって、エルフだけが全てではないと感じ始めたのだ。

「その言葉は、アレク様にお伝えください。本心をさらけ出せばきっと伝わるはずです」

「うん。ありがとう」

初めてジアは、本当の笑顔を見せる。

「パスク、飲ませるから暴れないように押さえておいてね」

「はい!畏まりました!いつでも、準備はできております」

アレクは、出来上がった薬をエルフの口に流し込んで吐き出さないように口を押さえて無理矢理に飲ませる。
すると、飲み込んだエルフは、ピタリと止まったと思った瞬間、白目を剥いてバタバタと暴れ出した。そして、暴れたのが嘘のように動きを止めると、耳から芋虫のような小さな虫が弱々しく出てきたのだ。

「これが、原因みたいだね。見たことある人いるかな?」

アレクは、手のひらに乗せた毒魔虫を全員に見せる。毒魔虫は、アレクの手のひらに乗せている間に息絶えたのか、ピクリとも動かなくなった。

「初めて見ます。どこからきたのでしょうか?」

パスクを筆頭に、オレールもジアもレッドドラゴンもナハスも知らないと首を振る。

「う~ん?じゃあ、エルフの国で突然変異したか俺達の知らない誰かが持ち込んだのかな?謎だらけだね。とりあえず、ここにいるエルフ全員に薬を飲ませよう」

謎だらけではあるが、いち早く治療をしなくてはいけないと感じたアレクは、手分けして薬を飲ませていくのであった。
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