上 下
580 / 694
第3章 アレクを狙って

第652話 ノックスとアレク関係性!

しおりを挟む
アレクが、壇上を下りて、出発前に一度屋敷に戻ろうとしていると、ノックスが話しかけてきた。

「アレク坊、もちろん今回のエルフの国には、俺もいけるよな?」

ノックスは、裏で話が進んでいることを勘付いており、なかなか話が回ってこないことに痺れを切らせて圧をかけながら言うのだ。

「えっと、師匠......申し訳ないのですが、今回はオレールとパスクとナハスとレッドドラゴンで行く予定なんです」

アレクは、事前に報告していなかったことを悔やむが、しっかりと伝えて理解してもらおうと素直に言う。

「なに!?俺もデストロイも豪牙もいないのかよ!どういうことだ?」

ノックスの中でも、この三人は突出して武力が高いと思っているので、何故連れて行かないのか疑問に感じる。

「三人には、魔物の街や王国をルシファーから守ってもらいたいんです。この場所は、ルシファーに知られている恐れがありますから、守れることが出来るのは師匠達しか考えられませんからね」

アレクは、本心の一つを語るものの交渉役を中心に連れて行きたいという本心は機嫌を損ねさせる可能性があるので、ノックスには内緒にする。

「ほぅ、確かにな!ルシファーを抑え付けられるのは俺達だけかもな。だが、それだけじゃないことくらいアレク坊の目を見りゃわかる。まぁ、いいけどな。とりあえず、いない間は俺達に任せろ」

アレクと長く一緒にいるので、全てのことを語っていないのは目を見ればわかる。
しかし、裏切るような事柄でもないので、敢えて尋ねようとはしないのだ。

「ルシファーを抑えてほしいのは本心ですよ。でも、師匠に隠し事はやっぱりできないですね。ごめんなさい!気を悪くすると思って、交渉役に適した人材を連れて行きたいことを隠してました」

やはりノックスに隠し事はできないと悟ったアレクは、全てを打ち明けることにした。

「やっぱりか!人選を見て瞬時に察したけどな。気を悪くすると言ってたが、適した作戦なら従う。それよりも、隠されている方が不快だ!昔と違って大将はアレク坊なんだ。好きに命令しろ!無謀なこと以外は従ってやるからな」

ノックスは、アレクがどういう考えで隠したのかを理解しているので、怒鳴ったりすることはせず、指揮官なら指揮官らしく思い通りにしろと鼓舞する。
しかし、間違っていた時は、俺が止めると参謀や親のような目線で語るのだ。

「師匠......わかりました!気負うことなく、指示します。もし間違っていたら、その時は言ってください」

アレクも、ノックスの考えがわかったので、これからは領主らしく振る舞う一面も見せないとなと思うのだ。

「おう!アレク坊のやりたいようになればいい!そうと決まれば、あいつらに説明とルシファーの対策を考えないとな。アレク坊は、エルフの国に集中してくれ。あとは、任せろ」

アレクからデストロイや豪牙に伝えた場合、また一悶着あるだろうと感じたノックスは、こっちは任せろと言ってエルフの国に集中するように伝える。

「師匠、ありがとうございます!やるからには絶対に、エルフの国を救ってみせます!」

アレクは、ノックスに感謝してエルフの国へ向かおうと意気込みのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。