チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第651話 出発前に住人達へ挨拶！

アレクは、ヘルミーナと大樹に理由を説明して二人と一緒に魔物の街へと戻ってきた。
ちなみに、クラーケンの件については、ヨゼフが戻ってきてからでいいとの話だったが、一応魔法鞄に入れていた醤油の在庫をあるだけ置いてきたのだ。

「準備はできていますよ。ちなみに、エルフの国に行く人選は誰でしょうか？」

アレクは、魔物の街に戻ってから自室で必要そうな薬を作っていると準備を終えたオレールがやってきた。

「準備ありがとうね。メンバーは、俺とオレールとパスクとナハスとレッドドラゴンかな。エルフは、排他的らしいから好戦的な仲間は連れて行けないし、師匠達にはルシファーの警戒をしてもらいたいんだよ」

エルフの国に行く人選は、好戦的ではなく交渉に長けた人物を連れて行こうと考えたのだ。

「私も最適な人選だと思います。しかし、レッドドラゴンを人選に加えるとは思っておりませんでした。移動手段として使われる感じですか？」

「レッドドラゴンは、もちろん移動に一役買ってもらう予定だけど、一番は経験をさせたいかなって。王都奪還の話を聞いたら活躍したらしいし、次は一癖も二癖もあるエルフ達で経験させるのもいいかなって」

レッドドラゴンを進化させるために、ノックス達と訓練を積ませていたが、進化する兆しが見えないので、新しい経験や息抜きをさせようと考えたのだ。

「フフッ、そうですね。アレクくんへの忠誠心も群を抜いておりますし、交渉できる人材は何人いても損はないでしょう。それに、人化した姿に魅了される男性は多いでしょうから適任かもしれません」

アレクは、オレールほど交渉役や外交を任せるまで育てるつもりはなく、アドバイスできるくらいにしようと考えていた。
だが、オレールの様子を見る限り本気の様子であり、パスクとは毛色の違った人材を育てようとしているように感じるのだ。

「オレール、そこまで本気じゃないからね。本人がやりたいならやらせるけど、魔物の街のモットーはやりたいことをするだからさ。じゃあ、師匠達も呼んで、出発の挨拶と留守中の役割りを伝えようかな」

オレールは、心得ておりますといった感じで口角を上げながら会釈をする。
それから、大きな広場に全員を集めてもらうことにした。


◆


アレクが壇上に上がると、大勢の魔物やドワーフが歓声を上げる。そして、いつの間にか人間も少なからず混じっており、アレクの知らないうちに移住してきたようだ。
そして、アレクの横には大樹を抱えたヘルミーナと護衛で師匠とナハスが並び立つのだ。

「みんな、忙しい中、わざわざ集まってくれてありがとう。それから、みんなのお陰で家族水入らずの時間を過ごせたよ。改めてありがとうね」

アレクは、壇上の上からお礼を言って頭を下げる。すると、広場にいる人達からワァァと歓声が上がったり、「よかった」という声が聞こえてくる。

「えっと、みんなに謝らないといけないことがあるんだ。戻ってきたばかりなのに、申し訳ないんだけど、新たに救援要請が来て行かなくちゃいけないんだよね。魔物の街のことを優先しないといけないのにごめん......」

本当であれば、人助けするよりも、優先すべきことがあるにも関わらず、疎かにしてしまっていることを謝る。
すると、広場からは、「気にする必要ないです」という声や「俺達がいますから頼ってください」など、アレクを支えたいという住人の声があちらこちらから聞こえてくるのだ。

「本当にありがとう。今回もみんなの優しさに甘えさせてもらうね。解決したら、魔物の街のことに注力するから、その時はまた力を貸してくれたら嬉しい。それから、いない間、留守を頼むね」

アレクが、お願いをすると、みんな任せてほしいという言葉や仕草をして、アレクを安心させようとするのだった。