上 下
578 / 694
第3章 アレクを狙って

第650話 引っかかりの解消と出陣決定!

しおりを挟む
ジアは、アレクとパスクに対して、オレールにも話したエルフの国にいる精霊から救難信号が来たことを伝える。

「う~ん?エルフの国で何か起こっているのは明白だよね。それか、外で生活してるエルフに対して連れ戻す何か?ん~、今のところは憶測の域を超えないか。オレールとパスクはどう思う?」

アレクは、ジアの話を聞いた限り、確定した情報がないため不明瞭なことが多すぎると感じる。

「私も、アレクくんと同じ意見ですよ。ですが、この機会がなければ、一生エルフの国に行くことはできないでしょうから、検討する余地はあると思っています」

オレールからすると、エルフの国には同族であるエルフしかたどり着くことは出来ず、エルフ自体も排他的な種族なため、わざわざ案内をかってでることはないので、こんな機会はないと考えているのだ。

「そうですね~、何かあるのは明白でしょう。それに、行くならばアレク様は必要不可欠だと考えています。よく言われていた感染症の類や呪いの類であれば、解決する術はアレク様しかおりません」

パスクは、同族であるエルフしか入ることを許されないことを考えると、他種族から攻め入られたとは考えづらく、病気による可能性が高いと思ったのだ。

「オレールは、恩を売って外交を持てるいい機会だと。パスクは、病気による可能性かぁ。いや、二人がいてよかったよ。出向くにしても、色んな可能性を考慮しておかないとだもんね」

オレールとパスクがいなければ、無闇矢鱈に出向いてエルフの国で大慌てする未来が見えたので、頭の良い二人がいることを心強く感じる。

「ねぇ!いつまで悩んでるの?ジア達を助けてくれる?くれない?どっち?同族が死ぬかもしれないの......早く決めて」

ジアは、ずっと待たされていることと、考察ばかりしているアレク達に苛立ちを覚えてしまって、少し強い口調が出てしまう。

「貴方の立ち......アレク様!?」

パスクは、すぐに反論しようとするが、アレクが腕をパスクの前に出して止める。

「パスク、ありがとう。ジアさんの言ってることもわかるよ。同族が死の淵にいるかもだもんね。でも、君も一度関わっただけの俺達のことも考えず助けを求めたよね?パーティーメンバーには危ないからって何も告げず出てきたのに」

アレクからすると、大事なパーティーメンバーには、危険を考慮して関わらせないようにしたにも関わらず、魔物の街に関して、一切の考慮はなく助けてくれの一点張りに対して、挨拶を交わした時からずっと引っかかっていたのだ。

「そ、それは......」

ジアは、思っていた返答と違っていたことと、正論をぶつけられたことで言いどもってしまう。

「切羽詰まった状況だったから、なりふりかまってられなかったんだろうけど、俺達も命は無限ではないからね。それから、誠意は見せてほしいかな。俺達は慈善事業ではないからね」

アレクは、「君たちを助ける義務もない」と言いかけるが、流石にその発言をするのは大人げないと感じて言わないようにした。

「ごめんなさい。自分達のことしか考えてなかった。お願いします。私達をエルフをどうか助けてください!お礼はなんでもするから......お願い」

ジアにとって人生で初めて他種族に頭を下げてお願いをした。これは、排他的でプライドの高いエルフでは異例のことなのだ。

「その言葉がほしかったんだよ。お礼はいらないよ。オレールは、6人分の荷物をまとめといて。パスクは、あらゆる状況を考慮して作戦を考えてくれるかな?」

アレクの中で、今回エルフの国に出向く5人のメンバーが決まる。

「はい。わかりました。準備してきますね」

「任せてください!アレク様。いかような状況でも対処できるよう立案して参ります」

オレールとパスクは、アレクからのGOサインが出ると、やる気に満ち溢れた表情をする。

「ありがとう......本当にありがとう」

ジアは、助けてもらえるとわかると涙を流しながらお礼を言う。

「気にしないで。俺達もエルフとは友好関係を築きたいからね。ジアさんは、出発まで部屋でゆっくりしてくれたらいいからね」

このあとアレクは、ファビロを呼んで出発までの間、ジアの身の回りの世話ができるメイドをつけるようにお願いするのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。