チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第648話 ヨゼフとの打ち合わせとオレールからの通信！

アレクは、ガンダという漁師と知り合いの飲食店が手を組んでクラーケン料理を提供する予定であることを話した。

「ほぅ～、一度ワシも会ってどういう人物か確認する必要があるようじゃな」

「え？ここからは、お父さんに任せようと思っていましたよ。話を持ってきたのは、俺だから融資はするつもりだったけど、契約などは領主であるお父さんがすべきかと」

昔のアレクなら最後まで終わらせて結果だけを報告していたが、今のアレクは相手が父親でもしっかりと筋を通すようになったのだ。

「しっかりと成長しておるようじゃな。それと、融資の件はワシがやるから気にせんでええぞい。今日中に契約書類をまとめておこうかのぅ」

ヨゼフは、息子が貴族の常識を身に着けたことに喜ぶ。

「え！？融資の件いいの？それから、あまりに汚い店以外は、そのままがいいと思うんだよね。あの地域の街らしい趣おもむきを残したいなって」

「まだまだ息子に頼るほど落ちぶれちゃおらんわい！ワシに任せるんじゃ。そうじゃな、ワシも同意見じゃ。街道整備や老朽化しておる店は建て替えてもええが、趣おもむきは残す方向で考えておるわい」

アレクに、助けられることは嬉しくもあるが、まだまだ20代であるヨゼフからしたら情けない姿は見せられない。
そして、街の構想や在り方については、ヨゼフとアレクは同意見のようである。

「お父さんに全て任せるね。もし、人手とか必要なら連絡してね。でも、おいしい海鮮料理が食べれる場所ができたのは大きいよ」

「そうじゃ！アレクしかできん仕事があったわい。海鮮料理のレシピと醤油の買い付けの販路作りを頼めんか？これに関しては、ワシ達ではどうにもできんからのぅ」

今まで大和ノ国の食材や調味料は、アレクが買い付けてきた物を分けてもらっていたので、商業ギルドとの提携すら結んでいなかったのだ。

「あ！？確かに、一番大事なことだよね。海鮮料理のレシピはすぐ渡せるけど、買い付けに関しては商業ギルドを通した方がいいよね。大和ノ国でいつもお世話になってるお店の人と提携を結べないか聞いてみるね」

アレクは、目先の契約とクラーケンの料理だけを考えていたが、日本の時のような海鮮丼や凝った海鮮料理を出すお店があるはずもないにも関わらず、そこにまで考えが及ばず盲点だったようだ。

「レシピは重要じゃな......信用できる店の精査や誓約を必要とするかもしれんのぅ。レシピは、ワシに預けてくれんか？セバンと考える必要がありそうじゃ。大和ノ国に関しては、すまんが任せたぞい」

信用できる人物とそうでない人物を見分けないとレシピが流出してしまう恐れがあるため対策を講じる。

「うん。大和ノ国とストレンの街の商業ギルドと繋げるよ。ヘルミーナもいるから助けてもらえるしね」

「あとは、代官を置く必要性も出てくるわけじゃな。最近は、貴族のいざこざばかりじゃったから、久しぶりに胸が踊る仕事が舞い込んできたわい。ありがとのぅ」

海鮮により街が発展すれば、代官が必要になると考えたヨゼフは、色々頭で構成を立て始める。
そして、最近は裏切った貴族など嫌な話やそれ関連の仕事ばかりで嫌気が差していたので、楽しい仕事ができると喜ぶのだ。

「楽しいと思ってもらえるならよかった......ちょっと待ってね。オレールから連絡がきたみたい。オレールどうしたの？」

ヨゼフと会話をしていると、魔物の街にいるオレールから通信がきたようだ。

「アレクくん、元気そうで何よりです。少々厄介事が舞い込んできまして、詳しくは帰宅後話したいのですが、早急に魔物の街に戻ることはできますか？」

「オレールが厄介事って言うくらいだから相当なんだろうね。えっと、大和ノ国と商業ギルド関連を終わらせたら戻る予定だから、明日には帰れるよ。大丈夫かな？」

厄介事と聞いて、また時間を作ることが叶わない可能性があるので、早急に大和ノ国と商業ギルドの件を終わらせようと考える。

「わかりました。お待ちしてますね。明日できれば、早めにお帰り頂けると助かります」

「うん！わかったよ。じゃあ、引き続き魔物の街をお願いね」

オレールは、「わかりました」と言って通信を切る。

「お父さん、なんか魔物の街が大変そうだから明日には帰らないといけなくなったよ。ごめんなさい」

「それならば今すぐ帰るんじゃ！まだ契約もしておらんからのぅ。大和ノ国と商業ギルドに提案するのは、契約内容が決まってからでいいじゃろう。まずは、自分の領地を守ることが第一じゃ！わかったかのぅ？」

アレクは、ある程度済ませて帰ろうと考えたが、ヨゼフからすると、優先順位が違うと指摘するのだ。

「そうだね。お父さんの言う通りだよ。わかった。一度、魔物の街に帰って話を聞いてくるよ」

アレクは、ヘルミーナと大樹を少しの間だけヨゼフ達に任せて、魔物の街で何があったのか話だけ聞きに戻ろうと考えるのであった。