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第3章 アレクを狙って

第647話 親子の垣根を超えた絆!

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「海でみんな仲良く遊んでたらイカの魔物が現れたのが始まりなんだよね。それから、大樹が急にイカの魔物に戦いを挑みに......」

「ちょ、ちょっと待つんじゃ!まだ魔物が現れたまではええわい。どうして、大樹が戦いを挑みに行っておるんじゃ!それに、止めておらんのはどういうことじゃ!?」

アレクは、最初から説明をしようとイカの出現から話始めるが、ヨゼフからするといきなり理由のわからない事態が起こっているので、話を遮って割って入ってくる。

「いや、それがさ。大樹が、飛行の魔法を使って飛んで行ったんだよ。全員が、一度に色々起こり過ぎて頭が追いつかなくて止める間すらなかったの!」

アレクは、あの時の情景を思い出しながらヨゼフに何があったのかを伝える。

「飛行の魔法じゃと!?はぁぁぁ......いやはやなんてことじゃ。やはり、アレクの子と言ったところじゃな。それで、どうなったのじゃ?」

ヨゼフは、赤ちゃんが飛行の魔法を使ったことに驚いてしまうが、ため息をついて少し我に返ると自分の息子であるアレクの子供ならば、このような行動をしても仕方ないかと思うのだ。

「え!?俺ってそんな無謀に見えてたの......えっと、結果的に大樹は防御結界も使えたんだよね。いとも簡単に攻撃を弾き返してた。その後は、俺とナハスでイカの魔物に痛い目を見てもらったよ」

「ワシも、カリーネも毎日がヒヤヒヤじゃった。アレクは、抜けてるとこがあるからのぅ。それに、強いと言ってもまだ10歳じゃったからな......」

当時のアレクの様子を思い出しながら、毎日のように何かに巻き込まれたり、強大な敵と戦う姿を心配していたことを思い出す。
このことから、カリーネが過保護になるのも仕方ないかとヨゼフは改めて思ってしまうのだ。

「それにじゃ、大樹が飛行に防御結界を使える辺りが、アレクの昔を思い出させるわい。あの時のワシらを見ているようじゃ。きっと苦労が絶えんぞい」

「いや~あの節はご迷惑をおかけしました。大樹といると身に沁みて感じるよ。改めて、お父さんとお母さんに育てられてよかったなって」

アレクは、大樹が産まれるまでは、危機が迫っても自ら解決をして何とかなっていると考えていたが、大樹が産まれて片鱗を見せ始めた今は、ヨゼフ達の気持ちが少しずつわかるようになり、改めていい親の下で育てられたのだと実感するのだ。

「まだまだ苦労はこれからじゃわい。じゃがな、苦労がある分、かけがえのない存在でもあるんじゃ。わかると思うが、可愛くて可愛くて仕方ないじゃろうて」

「うん。ヘルミーナと子育てに関しては試行錯誤の毎日だけど、大樹がいてくれるから毎日が楽しいし、お父さんの言ってるかけがえのない存在だよ」

父と子というのは変わりないが、初めて親として語り合う立場となったアレクとヨゼフは、お互いに新たなベクトルで話せる関係になったのである。

「坊主、繋がっておるか?魔道具の件じゃが、完成したぞい」

アレクとヨゼフが語り合っていると、おやっさんから通信の魔道具で連絡が入る。

「おやっさん!ナイスタイミングです。父上と話し終わったら取りに行きますね」

「ゆっくり話してくるとええわい。待っておるからのぅ」

おやっさんは、親子水入らずということで、気を使ったのか、長話はせずに伝えたいことだけ伝えて通信を切る。

「お父さん、今回の件に必要な魔道具が出来上がったみたいだから、早速用件を話しちゃうね」

アレクは、この後クラーケンの出現とイカの進化と漁師達の話をして、街の発展になる可能性のあるクラーケン料理や刺し身の話をした。

「大樹が、魔法を使った以上に驚きの連続じゃな。あの街に名物ができるのは、ええことじゃわい。ワシも、交渉に立ち会うのでな。詳しい話を聞かせてくれるかのぅ」

「うん。やっぱりお父さんは、話が早いよ。普通こんなすぐに了承してくれないもん。じゃあ、早速計画を話始めるね」

アレクは、ヨゼフの即断即決に驚きながらも、その行動力の早さに感動を覚える。
それから、アレクはヨゼフにクラーケン料理計画の全容を話すのだった。
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