チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

昨日更新予定分 第633話 生まれて初めてのお叱りと反省！

「僕と遊ぶでしゅ」

「なんだ！この小さい人間は！邪魔だ」

イカの化け物の足が、鞭のように大樹を襲う。その瞬間、飛び出した大樹に呆然としたアレクとナハスは、出遅れてしまう。ヘルミーナに至っては、大樹が襲われたことに大声を上げて叫んでしまう。
しかし、当たると思ったイカの足は、大樹に当たることはなく寸前で弾かれたのだ。

「何故当たらん！どうなっている」

イカの化け物は、何度もベシベシと足を大樹に向かってぶつけるが、全て弾き返される。
それを見たアレクとナハスは、胸を撫で下ろすと、二人は目配せをしてイカの化け物に向かって突撃をする。

「勘違いさせたこっちにも非があるから殺しはしないけど、大樹に対してやり過ぎた落とし前はつけてもらうよ」

「大樹様に向かってなんてことしやがるクズイカ野郎」

アレクはいつも通りだが、ナハスに至っては、本性丸出しの口調で暴言を吐き、アレクと一緒に、一瞬にしてイカの足を全て切り落として、胴体だけにしてしまうのだ。

「足が......俺の足がぁぁぁぁぁ」

イカは、足がなくなったことに発狂しながら、バランスを失い真後ろに倒れてしまう。

「大樹！なんであんなことをしたんだ！」

アレクは珍しく鬼の形相で大樹に向かって厳しい言葉を投げかける。
大樹は、怒られたことがなく一瞬ビクッと体を震わせるのだ。　

「僕は、強いでしゅから負けないでしゅ。だから、挑みに行ったでしゅ」

大樹は、アレクが何故ここまで怒っているのか、理解していないようで、子供らしく思ったことを口にしたのだ。

「大樹は、確かに強いだろうね！でも、ママの姿を見てみなさい！何故、あんな姿になってると思う？」

アレクに、そう言われた大樹は浜辺にいるヘルミーナを見る。
すると、ヘルミーナは膝から崩れ落ちて泣いているのだ。大樹は、何故かわからず飛びながらキョロキョロして、どうしたらいいかわからなくなる。

「なんであんな姿になってるか、それは大切な大樹を失うんじゃないかって考えたからだよ。大樹が、どれだけ強くても関係ないの！ましてや、赤ん坊が魔物に襲われたら誰でも、あ～なってしまうよ。それが、我が子なら余計にね」

アレクも、怒りと心配と色んな感情が入り混じってしまい、大樹に対してうまく伝えることができず、感情的かつ少し雑な言い回しになってしまうのだ。

「僕......うわぁぁぁぁん」

大樹は、こうなることを予想もしていなかったので、生まれて初めてパニックになって泣き叫んでしまう。

「大樹、泣いても解決しないよ。ママにごめんなさいしようか」

アレクは、泣きじゃくる大樹を抱きかかえてヘルミーナの下に向かう。
そして、アレクは心の中では、この旅行が終わったら、赤ん坊の大樹にはまだ早いだろうとは思うのだが、今後こんな無謀なことをしないように、アレク自身が大樹に挫折を味合わせようと考えるのである。

「よし、大樹。まずは、心配させてごめんなさいって言おうね」

アレクは、赤ちゃんである大樹に、いつまでも強い口調で言ってもトラウマにさせてしまうだけなのと、まだ理解できないだろうと考えて優しい口調で話しかける。

「ママ......心配させてごめんなさいでしゅ......もう二度としないでしゅ」

大樹は、泣きながらシュンとなって落ち込みながらヘルミーナに謝るのだ。

「大樹、本当に心配したのよ！もう心配させるようなことはしないでって約束して......お願い」

ヘルミーナは、アレクから大樹を受け取って、優しく抱きしめるのだ。

「わかったでしゅ。ごめんなさいでしゅ」

アレクからすると、大樹は本当に理解できてはいないと思うのだが、素直に謝れたことと、このような行動をすれば全員が悲しむ事実をわかっただけでもよかったなと思うのだった。