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第3章 アレクを狙って

第626話 アレクとヘルミーナの仲直り!

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カリーネがいなくなったあと、アレクとヘルミーナは二人っきりとなり、少し気まずい雰囲気が流れて沈黙が続いた。

「とりあえず、座りましょうか」

そして、沈黙を破ったのはヘルミーナであった。アレクは「うん......」と静かに答えてソファではなく、椅子に座る。
ヘルミーナも、対面に座るのだ。

「あの......」

「アレク......」

二人は、同時に話し始めて言葉が被ってしまう。そして、二人は「ごめんなさい」と話しを被せてしまったことを謝る。
その時、自然と二人に笑みが溢れるのだ。

「ヘルミーナ、俺はあとからでいいから、先に話してくれないかな?」

少し二人の雰囲気が和み、アレクからヘルミーナに優しく声をかける。

「うん!アレク、あの時は、意地悪なことを言ってごめんなさい!感情的になってごめんなさい!離れてる間、本当に心配で本当に帰ってくるか気が気じゃなかったの......だから......」

ヘルミーナは、カリーネと話して自分の悪かったところを謝ったあとに、断片的ではあるが何故感情的になったのかを話すのだ。

「俺こそ、ヘルミーナの気持ちを全然わかってあげれなくてごめんなさい!軽率な発言をしてごめんなさい!そうだよね......ヘルミーナや大樹に心配させてたんだもんね!本当にごめんなさい」

アレクは、椅子から立ち上がって床に膝をついて土下座をする。
初めから謝るつもりではいたのだが、ヘルミーナの話しを聞いて、自分がどれだけ最低なことをしたのかを再認識して誠心誠意込めて土下座をしたのだ。

「アレク、土下座なんてやめて!私だっていっぱい悪いこと言ったもん!仲直りしたい!」

ヘルミーナは、慌てて立ち上がって、アレクの前だけ見せる甘えたな口調で話す。

「ヘルミーナ......ありがとう!本当だったら許してもらえないような失態をしたのに、優しいね!愛してるよヘルミーナ」

「アレク......私も愛してるわ」

アレクは、立ち上がってヘルミーナを強く抱きしめるのだ。アレクもヘルミーナも頬を赤らめて幸せな表情をする。

「よかったわね!二人とも!無事に仲直りができたみたいね」

カリーネは、ドアに耳を当てて聞き耳を立てていた。
本来空気の読めるカリーネならば、部屋に入ったりはしないのだが、イタズラ心が芽生えたカリーネは侵入を試みたのだ。

「うわぁ!お母さん!」

「わぁ!お母様!」

案の定、アレクとヘルミーナは飛び上がる勢いで驚き、抱きついていた手を離すのだ。

「せっかくの仲直りの時間をごめんなさいね!年甲斐もなく、イタズラしたくなっちゃったのよ!ウブな若い二人を見たくなっちゃってね!フフフッ」

カリーネは、一切隠す様子はなく、イタズラだったことを二人にバラす。
アレクは、「もう、お母さん!」と頬を膨らませて怒った様子を示すが、カリーネの悪びれる様子のなさを見て、思わず笑ってしまう。そして、アレクの笑い声を聞いたヘルミーナとカリーネも、釣られて笑ってしまうのだ。

「お母様、この度は本当にありがとうございました!お母様がいなければ、仲直りできなかったと思います」

「いいのよ!大事な家族ですもの!これからも、私にできることなら何でも言ってちょうだいね!じゃあ、私はおいとまするわ!二人の邪魔をしちゃいけないものね」

カリーネは、口に手を当てながら「ほほほっ」と笑って部屋を出て行く。
その様子を見送ったアレクとヘルミーナは、顔を見合わせて笑うのだった。
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