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第3章 アレクを狙って

第625話 偉大なる母の存在!

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「お母様、申し訳ございませんでした!落ち着きました」

ヘルミーナは、思う存分カリーネの胸で泣き腫らすと、顔を上げて笑顔を見せる。

「もう一度顔を洗ってきなさい!それから、ゆっくり話しましょう」

ヘルミーナは、頷いて顔を洗いに行く。そして、一人で泣いていた時よりも、カリーネの優しさに包まれながら泣き腫らした今の方がスッキリした表情をしている。

「よかったわ!少し晴れやかになったわね!座りましょうか」

「はい!お陰様で少し楽になりました」

ヘルミーナとカリーネは、先程と同じように並んでソファに座る。

「アレクちゃんが、生きている報告があったけど、1ヶ月近く音信不通で不安にならない方がおかしいの!だから、ヘルミーナちゃんの今回の発言や行動は自然なことなのよ!でもね、わかってほしいこともあるの!話ても大丈夫かしら?」

カリーネは、ヘルミーナとアレクの間に起こった事件について、まずヘルミーナ側が正しいと述べてヘルミーナの心を安心させる。

「はい!話してください!」

カリーネが、気遣って話してくれているなと気付いたヘルミーナは、笑顔で返事をする。

「その顔なら大丈夫そうね!じゃあ、話すわね!これは性別問わずなのだけれど、男性は女性を理解することが難しいの!そのまた反対で女性が男性を理解するのも難しいの!ましてや、同性でもわからないことはたくさんあるわ!何を言いたいかわかるかしら?」

ヘルミーナは、男女問わず平等な目線に立って話をし始める。

「えっと、お互いが歩み寄りながら会話をした方がいいということでしょうか?」

「それも大事だわね!でも、理解するのが難しいのに、初めから間違った寄り添い方をしたら、また喧嘩を起こすわ!それなら、単純に伝えたいことをお互い言ったあとに、相手の言っていることを理解して、話し合いのが大事よ」

歩み寄るのは相手の話を理解してから行うべきだとカリーネは答える。
まずは、何を考えているか知ることが大切だと述べるのだ。

「それを繰り返していると、自然と相手が何を考えているか、どんな人なのか、知らないうちにわかるようになってくるわ!これは、アレクちゃんとの夫婦間だけではなくて、人との付き合い方かしらね」

カリーネは、ヘルミーナやアレクを馬鹿にしたり、どちらか一方を責めるような発言ではなく、長い年月で培った人との付き合い方を話すのだ。

「確かに、そうですね!商業ギルドで働いている時は、信頼関係を築くのに相手を知ろうと頑張っていました!でも、夫婦になると、そんなことは忘れて感情が先走ってしまってました」

「恋は盲目とよく言うじゃない!そういうことよ!お互いまだ若いのだからゆっくり素を見せて行けばいいわ!もし、喧嘩になりそうなら私を間に挟んでもいいわ!じゃあ、そろそろアレクちゃんを呼ぶけどいいかしら?」

カリーネは、ヘルミーナからの返事を聞いて、もう大丈夫だと感じ、アレクを呼ぶことにした。

「は、はい!大丈夫です!」

「アレクちゃん、いいわよ!入ってきなさい」

カリーネは、ソファから立ち上がってドアを開けてアレクを呼ぶ。
アレクは、ドアの前を行ったりきたりして、何を話そうかとずっと思案していたのだ。

「アレクちゃん、ヘルミーナちゃん、私は、外で待っておくから、ゆっくり二人だけで話し合いなさい!もし、解決しないようなら呼んでちょうだいね」

ここからは、夫婦で解決し合う時間だと思うカリーネは、二人を残して部屋を出ようとするのだ。

「は、はい!お母様、色々とありがとうございました!アレクとゆっくり話し合います」

「お母さん、色々とありがとう!お母さんがいなかったらわからないままだったよ!ゆっくり話し合うね」

ヘルミーナとアレクは、出ていこうとするカリーネに頭を下げて感謝の言葉を述べる。
カリーネは、笑顔で「しっかり話し合うのよ」と言って部屋を出るのだ。

「若いって本当にいいわね!久々に、嫉妬してみたいものだわ!今日は、あの人と昔話でもしようかしら」

カリーネは、青春を謳歌する二人を見て、なんだか羨ましくなるのだった。
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