チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第622話 出来事を話していたらいつの間にか！？

赤ん坊の大樹が話し出すという珍事件があったが、驚くよりも家族の楽しい時間を過ごしたという形で幕を閉じた。

「大樹が話し出すという驚きの出来事はあったが、改めてアレク無事で何よりじゃ！生きててよかったわい」

アレクとヘルミーナは、ヨゼフの部屋に案内されて椅子に座る。
大樹は、ナハスが抱っこをして話し合いの間、相手をしてくれるようだ。

「父上、ご心配をおかけしました！またこうして家族全員に会うことが出来てよかったです」

「ほんとにのぅ！みんな心配しておったぞい！じゃが、神様とおると聞いて安心したわい！全部解決したのかのぅ？」

改めて家族の再会を喜び合うと、ヨゼフは解決したのかと尋ねてくる。

「聖王国に聖女様が囚われていて助けに行ったのが、一番の事件かな？あとは、薬学神様の下で修行したくらい！一応全て解決はしたよ」

アレクは、あらましを簡単に話す。

「ほぅ、また色々と巻き込まれておるのぅ！聖女様は、王国に連れてきたのかのぅ？」

「巻き込まれているのは確かだけど、創造神様いわく、運命が変わって本来なら命を犠牲にルシファーを倒す流れだったらしいから、今こうして話も出来てなかったって考えたら巻き込まれるのはマシな方だよ！聖女は、薬学神と別の場所にいるよ」

またしても、アレクから突拍子もない事実が話されて、ヨゼフもヘルミーナも驚いた表情をする。

「なんじゃと！？そんな未来が待っておったのか！アレクの人生は苦労ばかりじゃのぅ！そろそろ創造神様に働かせ過ぎじゃと文句の一言でも言ってやらんと駄目じゃな」

「そうよ！何故、アレクだけがこんなに頑張らないといけないのよ！もし、創造神様に会う機会があったら家族の時間を奪わないでって文句を言ってやるわよ」

ヨゼフもヘルミーナも、創造神にヘイトの矛先を向ける。いつかまた創造神が、下界に現れた時は大変なことになるのだろうなとアレクは思うのだ。

「抑えて抑えて！創造神様が運命を決めてるわけではないからね！それに、薬学神様が罰を背負う覚悟で降臨してくれたお陰で、運命が変わって、こうして再会できたからね！神様にも感謝だよ」

ヒートアップする二人を、珍しくアレクが宥める形になった。アレクは、新たな生を与えてくれた創造神にも助けてくれた薬学神にも、恩を感じているので、できるだけのことはしたいと本心で思っているのだ。

「うむ！アレクがそうまで言うのなら仕方ないわい！父として天罰を受けようとガツンと言ってやるつもりでおったわい」

ヨゼフのアレクに対する愛を感じて、本当に良い父親で愛されてるなとアレクは実感する。

「アレク、一つだけ気になったのだけど、聖女様は可愛かったかしら？」

ここで、ヘルミーナが不意に聖女のことを尋ねてくる。

「ん！？聖女様かぁ！かわいいんじゃないかな？肌も真っ白で同じ人間とはって聖女様は半神だから......ヘルミーナ？どうしたの？」

アレクが、聖女の容姿を褒めていると、ヘルミーナから何やら不吉なオーラが溢れ出す。

「そう......かわいい？って聞いただけなのに容姿までハッキリと言うのね！それだけ魅力的だったのかしら？」

ドス黒いオーラを放ちながら静かな声でアレクに問いかける。

「え？え？何を怒ってるの？聞いたから答えただけだよ！ちょ、ちょっと待って、ヘルミーナどこにいくの？」

アレクが話終わる前に、ヘルミーナは部屋を飛び出していく。アレクは、何が起こったのか全くわからず頭にハテナを浮かべるのだ。

「アレク、ワシも昔カリーネとよく痴話喧嘩をしたもんじゃが、いまだに女性が怒る理由はわからんわい！じゃが、一つだけアドバイスじゃ、すぐに追いかけるより同じ女性に話しを聞いてからヘルミーナのとこに行くんじゃぞい！」

ヨゼフは、実体験を踏まえたアドバイスをする。ヨゼフも長く生きているので、なんだかんだ過去にはカリーネとの夫婦の危機があったようだ。

「は、はい！すぐに母上に相談します！お父さんありがとうございます」

アレクは、部屋を急いで飛び出してカリーネの下に向かう。ヨゼフは、若いなと思いながら微笑ましく感じるのだった。