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第3章 アレクを狙って

第619話 脅威への再認識と変わらぬ仲間達!

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急な創造神の降臨はあったものの、伝えたいことを伝えた創造神は、あっさりと神界に帰ったのである。

「まさかの話に、いまだ戸惑いを隠せずにいます!本当ならば、私達の犠牲で世界が平和を取り戻せたなんて......」

パスクは、本来起こるはずだった運命に困惑してしまう。

「本当だね!みんなと、こうしてる今も本来なら死闘を繰り返していたんだろうしね!とりあえずは、運命が変わってよかったと思おうよ」

これからどのような運命が待ち受けているかはわからないが、現状の死を回避したことで、全員が生き残る可能性があるならば吉兆だと感じるのだ。

「そうですね!時間に猶予ができたことは大きいですよ!作戦を練る時間や強くなれる時間がありますから!それよりも、ルシファーが完全復活を遂げてしまった場合、神力を身に着けた全員が束になって、やっと互角か決死の覚悟で、やっと倒せる強さ......恐ろしいですね」

パスクは、冷静に創造神から言われたことを分析すると、ルシファーの想像を超える強さに恐怖を覚える。

「一ついいか?確かに脅威だが、アレクが薬学神に修行を受けていない世界線の話だろ?俺から見ても強くなったアレクなら話は変わってくるだろ?」

ノックスが珍しくまともなことを口にする。元々ノックスは、しっかりと状況把握と分析ができる人物ではある。しかし、最近は戦闘狂になり過ぎていて、みんなの認識がおかしくなっているだけなのだ。

「確かに!ですが、ルシファーだけが脅威なわけではありません!仲間も脅威です!ルシファーとの直接対決までに余力を残す必要があるので、前回の戦いから分析をして戦略を練りましょう」

アレクや初代魔王や現魔王が対峙したにも関わらず、ギリギリのところで退けた話を聞いて、アレクがどれだけ強くなろうと簡単な戦いにはならないだろうと思い、戦略をしっかり練る必要があると考えるのだ。

「有象無象は俺に任せろ!悔しいが、今の俺はアレクとノックスに劣るからな!だが、すぐに追いついてやるから覚悟しとけよ」

以前のデストロイなら考えられないようなことを口にする。
環境が変わってノックス達と過ごすうちに、少しずつ性格が変わってきたのだろう。しかし、闘争心は失われていないので、ただ丸くなったわけではないようだ。

「デストロイに認めてもらえるとか嬉しいよ!俺も、負けないように修行を続けるからね!それにしても、デストロイは性格もよくなったし、顔も優しくなったよね」

デストロイは、将軍時代凶悪な悪人顔をしていたが、魔物の街で過ごすようになってからは、男らしさはあるものの凶悪さは薄れつつあるのだ。

「優しいだ?あまり調子に乗ってると殺すぞ!チッ、こんなとこいてられっか!豪牙付き合え!殴り合うぞ」

デストロイは、恥ずかしくなり隠すように暴言を吐いて、豪牙を引っ張って出ていくのだ。

「フフッ、相変わらずデストロイさんは、褒められることが苦手なようですね!ですが、素直なデストロイさんはデストロイさんではなくなるので、あのままがいいのかもしれませんね」

オレールは、微笑みながらデストロイの出て行ったドアを見つめる。

「そうだね!牙の抜けたデストロイは見たくないよ!それに、あんな感じだけど魔物の街にいる住人には何だかんだ優しいからね」

「そうですね!あ、アレク様、そろそろヘルミーナ様と大樹様に会いに行かれてはどうですか?戦略を練るのは、お戻りになられてからで構いませんよ」

パスクは、ヘルミーナが落ち込んでいる姿を知っているので、早くアレクに会いに行ってもらいたいと思うのだ。

「パスクありがとう!じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ!なら、ちょっと行ってくるね......って、どこにいるんだっけ?」

最後の最後に締まらないアレクらしい感じに、全員がズッコケそうになる。

「ヘルミーナ様と大樹様は、ストレンの街におります」

「えへへ、ありがとう!じゃあ、行ってきま~す」

アレクは、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべながらストレンの街に転移するのだった。
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