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第3章 アレクを狙って

第611話 薬学神と同じでアレクも大概なのでは!?

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「取り乱してしまって申し訳ございません!もう大丈夫です」

聖女は、目を真っ赤にするくらい泣き崩れてしまっていたが、このままでは駄目だと自分の中で無理矢理納得をして顔を上げる。

「構わない!流石に私も同情はするしな!しかし、本当のことを知る必要があると思ったんだ!話を続けていいか?」

「はい!お願いします」

薬学神は、言葉では同情すると言っているが、ストレートに物事を伝える。

「聖女は、今以上に神力高める必要がある!だから、当分の間は、私の下にいろ!で、聖王国の国民は、王国に移住してもらおうと考えている!いいか?」

「え!?えっと......はい!大丈夫です」

聖女は、何故か言葉を詰まらせながら話を返す。

「ん?どうした?腑に落ちなさそうだが、何かあるのか?」

「えっと......父親や母親のことや聖王国のことを聞かせてもらえるのかなと思っていたので、意外な言葉に戸惑ってしまいまして」

薬学神の中では、簡潔に伝え終わったつもりだったのだが、聖女からするともっと詳細を聞きたいと思っていたので、戸惑ってしまったのだ。

「そうなのか?なら、ここにいる間に聞きたいことを言え!何でも答えてやる」

薬学神からすると、なんだそんなことかとあっさりした返事で返す。やはり、人間と神様とはどこか感覚が異なるのである。

「は、はい!よろしくお願いします」

「アレク、今すぐに国王に伝えに行くぞ!ついてこい!聖女は、あいつらと待っておけ」

アレクも、「あ、はい」と驚いた感じで答えてしまうほど、話が次々に進んで行く。聖女もアレクも、薬学神のスピードについていけずに、呆気に取られてしまうのだ。

「神様、待っている間、何かやっておくことはありますか?」

「う~ん?ない!それよりも、好きに過ごして休んでいればいい!」

聖女なりに何かしないといけないと思ったのだが、薬学神からは何もする必要がないと言われる。
薬学神的には、聖女ではあるが、聖王国の聖女という面倒な肩書きはもうないので、修行までは楽にしていればいいと伝えたかったのだ。

「はい......そうですか......」

だが、聖女からすると、うまく伝わっていなかったようで、少し落ち込んでしまう。

「聖女様、薬学神様は英気を養って、自由気ままに過ごせばいいと言っているのだと思いますよ!それに、色々あって聖女様も聖王国の人々も疲れていますからね」

アレクは、流石に見ていられないと感じて、薬学神が言いたいであろうことを代弁する。

「そうだ!今は休め」

「そう言うことでしたか!では、お言葉に甘えさせて頂きます」

アレクのフォローがうまくいったようで、聖女に薬学神の意図を伝えることができた。

「アレク、国王がいる場所に転移するぞ!ついてこい」

「は、はい!わかりました」

薬学神の気持ちは、すでに違うことに向いているようで、早く行くぞと促してくる。
アレクは、返事をしたあと、薬学神を追うように陛下の下に転移するのだ。





陛下は、アントンから回ってくる書類に目を通していた。そして、一息つこうと伸びをしたところに急に声をかけられる。

「陛下、お久しぶりです!只今戻りました」

「うわぁ!」

いきなり声をかけられた陛下は、驚いてしまって、椅子から転げ落ちてしまう。

「へ、陛下!大丈夫ですか?」

アレクは、転げ落ちた陛下を見て、慌てて駆け寄るのだ。

「痛タタタ!って、その声はアレクか!?本当に、生きておったのだな......」

アレクと目があった陛下は、アレクを見ると驚きと嬉しさで、言い表せないような表情になる。

「はい!無事戻ることができました!あと、今すぐに大事なお話をお伝えしたいのですが、聞いてもらえませんか?」

「よっこいしょ!やれやれ、アレクは、いつもいきなり現れて何かとんでもないことを運んできよるからな!心して聞こうではないか」

陛下は、立ち上がって椅子を直しながらアレクの話を聞こうとする。

「えっと、その前に神様を紹介します!目の前にいるこの方は、薬学神様です」

「......ま、待て!聞き間違いであろうか?今神様と聞こえたのだが......」

陛下は、脳の処理が追いつかず、アレクに聞き直す。
アレクは、平然とした顔で「はい!神様です」と言い直すのだ。

「うむ!わかった!暫し待て......色々追い付いておらん」

陛下は、一気に色々なことが押し寄せたことで、頭を抱えてしまうのであった。
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