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第3章 アレクを狙って

第572話 いざ、ストレンの街へ向けて!

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アントンとバトラーが、地下通路を抜け出すと、王都から少し離れた街道に出た。

「もう少し先に、小屋があるので、そこまで歩いてください」

「はい!わかりました。それにしても、こうなることを予知していたくらい用意周到ですね」

アントンは、バトラーや陛下が、何かを予言していたのではと思うくらい準備がいいので驚いてしまう。

「アハハ、そんなわけではありませんよ!ただ、元々裏稼業をしていましたので、何かあった場合、逃げる手段をいくつかご用意していたまでです」

裏稼業をやっている以上、いつ何があってもいいように、手引きをしてくれる仲間を集めていたのだ。

「本当に、人生何があるかわかりませんね。改めて、人脈と仲間の大切さを知ることができましたよ」

アントンは、今回の騒ぎで、より信頼のできる人物を近くに置く必要があり、体制を強化しないといけないなと感じる。

「そんなところから、様子をうかがっていないで出てきてください!私ですよ」

アントンが、話していると、急にバトラーが立ち止まって、木を見つめながら誰かに向かって話す。

「アッハハハハ、バトラーだったか!申し訳ねぇ!ここにくるやつなんていねぇから警戒しちまったよ!ってなんだか穏やかじゃねぇな?どうした?」

木から下りてきたのは、スキンヘッドのイカツイ顔をした人物であった。

「すぐに、馬を2頭用立ててくれませんか?王都が、完全に第一王子の手に落ちまして、少々厄介なことになっています」

「とうとう第一王子が、我慢できなくなったのか!あの年で、王位も継げず、領地も持てないやつだし、いつかは何か起こすとは思っていたけどよ!おっと、馬だったな!こっちへ来てくれ」

バトラーの話を聞くと笑いながら、ついにやりやがったかと、予想していたような口振りで話す。

「はぁ......そのように......あなただけならよいですが、民も同じように思っているならば、王家への信頼や未来はないに等しいですね」

アントンは、この男の話を聞いて、悲しくなると同時に、もっと早く王子達への対処や教育をするべきだったと反省する。

「ん?あんたは、身なりからして相当偉いやつだな!まぁ、俺はここから出ることがねぇから、他のやつがどう思っているかなんて知らねぇが、みんな薄々気付いてるんじゃねぇか?」

男は、どうでもいいといった様子で、アントンに向かって言う。

「宰相様、問題が解決致しましたら、ゆっくり解決していきましょう!真摯に対応すれば、人々は理解してくれます!それに、陛下は善王だということは、周知の事実でありますから、ご安心ください」

バトラーは、王都で起こっている問題を解決することが優先だと考えて、違うことで悩んでいる暇はないという意味も込めて、安心させるような言葉を投げかける。

「本当に、あのバトラーかよ!昔とは、全然違う性格になったな!しっかりと、執事をしてんだな!あと、貸し出す馬は、こいつらだ!終わったら、絶対返しにこいよ!手塩にかけて育てたやつらだからな」

セバンとバトラーが、暴れていた頃を知る人物からすると、今のバトラーは温和で優しいと感じてしまう。

「わかっています!お礼もお持ち致しますので、ご期待ください!では、急いでいますので、失礼致します!宰相様、行きましょう」

アントンとバトラーは、すぐに馬へと跨って、ストレンの街を目指して馬を走らせるのであった。
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