上 下
450 / 756
第3章 アレクを狙って

第563話 復讐の密談!

しおりを挟む
アレクとオレールが、それぞれやるべきことをしている頃、動き出したやつらがいる。
裏路地にある寂れた酒場に、汚い灰色のローブを羽織った人物達が、数分おきに入っていく。そして、更に1時間くらいして4人の人物が酒場に入る。

「マスター、地下の通路を開けてくれ」

ローブを羽織った一人の男は、酒場のマスターに金貨を出して問いかける。

「どうぞ!」

マスターは、金貨を受け取るとテーブルの裏に隠されたレバーを引く。すると、入口付近の床が動いて地下に繋がる階段が現れたのだ。

「行きましょう!」

ローブを羽織った4人組は、地下に繋がる階段を下りる。そして、4人が階段を下りると、また床が動いて閉ざされるのだ。





階段を下りると、ロウソクの火が灯り薄暗い空間が広がっていた。中央に置かれた大きなテーブルといくつかの椅子があり、すでに3人座っている。

「持たせたな!よく来てくれた!」

発言した人物と横にいたもう一人が、ローブを脱ぐと、ルイス第一王子とカルロ第二王子であった。すでに座っていた3人は、立ち上がって膝を突く。そして、ルイス第一王子とカルロ第二王子の横にいた2人も膝を突く。

「皆の者、良くぞ集まってくれた!楽にしてくれ!」

ルイスの一言で、皆が立ち上がる。

「とりあえず、時間もあまりありませんので、早速話し合いましょうか」

カルロは、ローブを椅子にかけて座り、全員に席につくよう促す。そして、全員が椅子に座る。

「ユンベルン卿、アーレント卿、ピケ卿、今までどうしていたのだ?」

ユンベルン元辺境伯とアーレント元子爵とピケ元男爵は、ゼロと関わりがあり、領地がスタンピードの影響を受けないよう、ゼロに金銭や住む屋敷などを提供していた。しかし、ゼロの部下があの戦いで死んだことにより、繋がりを失いゼロから見放され、更には国を裏切っていたことが陛下にバレてしまい、家族とともに逃亡していたのだ。

「ルイス第一王子様、お会いできて光栄にございます!私が、その問いにお答えしてもよろしいでしょうか?」

70代の髪も真っ白なお爺さんであるユンベルンが、立ち上がる。

「ユンベルン卿、発言を許す」

「逃亡した私達は、第一騎士団団長に助けを求め、私達は家族とともに手配の行き届いていない田舎の領地へと逃げ込みました」

ユンベルンは、無駄なことは言わず、聞かれた内容だけを端的に伝える。

「カルロが、うまくやってくれたのだな」

「はい!カルロ第二王子様の手引きで、私達以外の逃亡した貴族や騎士達が、領地に集まっております!」

ルイスとカルロは、以前から計画を立てており、頭のいいカルロが主体となって逃亡した者達を集めていた。ルイスは、計画がバレるわけにはいかないと思い、王城内では一切カルロと計画の話はせず、カルロに全てを任せていたのだ。

「兄上、本当に疲れましたよ。見つからないよう協力者を集め、金銭の横流しから領地の隠蔽まで......まぁ、ドキドキしながら楽しんだのでいいですがね」

カルロは、ゲーム感覚で楽しめれば、それでいいと考えていた。本来であれば、領地を任されてもいい人物なのだが、陛下の前では優秀な自分を隠していたのだ。

「カルロ、本当によくやってくれたな!だが、まだ終わりではない!最後まで、その明晰な頭脳で俺を助けてくれ」

「フフッ、楽しませてくれるのであれば、最後までお付き合いしますよ」

カルロは内心、(いつまで、このおもちゃ達は、壊れずに遊べるのか楽しみだよ)と実の兄すらもおもちゃの認識であり、いつでも壊れていいと思っているのだった。
しおりを挟む
感想 2,129

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら 目の前に神様がいて、 剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに! 魔法のチート能力をもらったものの、 いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、 魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ! そんなピンチを救ってくれたのは イケメン冒険者3人組。 その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに! 日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。