チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第556話 ストレンの街の変貌と共存！

「見えてきましたね！あちらが、先程話したタカハシ辺境伯の生まれ故郷ですよ」

ロナンは、風魔法の天才でオレールが、少しコツを教えただけで空を飛べた。そして、どこへ向かっているのかということ、アレクについてはスキルなどの重要なことは話さず、人となりやある街の領主であるなどを、簡単に自己紹介した。

「海が近くにあって、綺麗な街ですね！あれ！？あの一部だけ新しいような気がするのですが、勘違いでしょうか？」

ロナンは、空の上から辺りを見渡す。すると、街の真ん中の一部分だけ、周りと比べて建物が新しい造りだったので聞いてきた。

「戦闘があり壊滅的な打撃を受けまして、つい最近再建されたばかりなのです」

「そんなことがあったのですね！その割には、人々が和気あいあいと過ごしていますね」

上空から見ていても、戦後のような悲壮感は一切なく、みんなが外に出て活気ある街並みなのだ。

「それは、皆様が努力したからこそでしょうね。私も、再建してから訪れたのですが、前に来た時よりも街の人々の団結力が上がった気がします。では、そろそろ行きましょう」

オレールとロナンは、門の近くに着地をして、門番がある場所に向かう。

「オレール伯爵様！ご無沙汰しております！」

門に着くと、見知った門番が話しかけてくる。

「お久しぶりです！ヴェルトロ伯爵に用事があり、参りました。入ってもよろしいですか？」

「はい！どうぞお入りください！」

オレールとロナンは、フリーパスのような感覚でストレンの街に入ることができた。そして、街に入るなりロナンが驚きをあらわにする。

「ま、魔物！？伯爵様、魔物と人が話していますよ！どういうことですか！？」

ロナンが驚いたのは、魔物が普通に街を闊歩して人間と笑い合いながら生活している姿を見たからだ。

「フフッ、そうですよね！普通は驚きますよね！タカハシ辺境伯が、領主をしている街は、魔物の街なのです！そして、再建に魔物を送り出したところ、ここに住んで技術を学びたい魔物が出てきましてね......」

それから、ストレンの住人が魔物を平然と受け入れて、魔物と暮らすようになって、共存する街が出来た過程を話す。

「す、凄いですね！襲うようなことはないのですか？」

「知性がある魔物なので、当然怒ることもありますが、理性があり、分別もできるので、理不尽なことがない限り暴力を振るうことはありません。人間と同じですよ」

ロナンは、今までの常識が一気に崩れ去って驚きながらも新たな世界にワクワクしてしまう自分がいる。

「今までの常識で考えてはいけませんね！それに、魔物が言葉を話すことに驚きました！痛っ......」

ロナンは、横を向いて話していたので、注意散漫となり誰かとぶつかって尻もちを突く。

「すまん！大丈夫か？」

「は、はい！大丈......ひぃぃぃ」

ロナンは、謝ってきた人物を見ようとして視線を上げると、凶悪な顔をしたオーガが手を差し伸べていた。ロナンは、オーガに対して恐怖のあまり悲鳴を上げてしまう。

「驚かせてすまん！人間と仲良くしたいから怯えないでほしい」

オーガは、悲しい顔をしながらも笑顔でロナンを驚かせないようにする。他領からやってきた人間からも怯えられることがあるので、オーガは慣れているのだろう。

「す、すみません！慣れていなくて驚きました！気を悪くしたなら謝ります」

ロナンは、オーガの気持ちを察して、申し訳なさそうに差し出された手を取って謝る。

「気にしていない！こうやってわかり合えばいつか共存できるから」

オーガは、ニヘラとした表情で気にしていないことをアピールする。

「ありがとう！俺も、仲良くなれたら嬉しい！また会ったら飲みに行こう」

ロナンも、オーガにつられて笑顔て返事をする。オレールは、ロナンの適応力と人となりの良さを改めて感じて、連れてきたことは間違っていなかったと気付くのだった。