チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第3章 アレクを狙って

第549話 領主の使い、ゆでダコ隊長逃げ帰る!

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「村長、早く出てこい!領主様の命令できた」

オレールが、食糧庫から出ようと入口に向かった時に、外から声がする。オレールは、気にせず外へ出ようとするが、後ろからダイが走ってオレールより先に外へ出る。

「な、なんの御用でしょう?」

ダイが、外に出ると、口から少し血を流した村人が横たわっていた。どうやら、オレールと村長の居場所を隠したことに腹を立てた領主の使いがいたぶったようだ。

「こいつから、ここにいるって聞いてな!それより、食糧庫で何をしていたんだ?」

「掃除です。誰かのせいで奪われ続けるので、埃だけが溜まる一方でしてね」

ダイは、嘘をついて食料とオレール隠し通そうとする。更に、今までの鬱憤が溜まっているので、我慢出来ず言い返したのだ。

「おい!口は慎んだ方が身のためだぞ!お前達、こいつを死なない程度に痛め付けろ」

「ハッ」

武装した騎士の隊長らしき人物は、部下にダイを痛めつけるよう命令する。部下達は、ニヤニヤしながらダイに近付いて、その中の一人が拳を振り上げる。しかし、振り下ろされた拳は、ダイに当たることなく何かに阻まれて、更にはグギッと変な音が鳴り、曲がってはいけない方向に手首が折れる。

「ギャァァァ!」

「えっ!?」

一人の騎士は、手を押さえて転げ回る。ダイは、目を瞑って殴られる覚悟をしたが、いつまでも痛みを感じないので、恐る恐る目を開けると、転げ回る騎士がいたので驚いてしまう。

「お、おい!お前!何しやがった!これは、立派な反逆だ!こ、こいつを殺せぇぇぇ」

隊長らしき人は、何が起こったかわからず狼狽えるが、すぐに部下へダイを殺すように命令する。部下達は、鞘から剣を抜いてダイへと振りかざす。しかし、またしても何かに阻まれて騎士達は尻もちを突いてしまう。

「お前達、何をやっている!早くそいつを殺せぇぇ!」

隊長らしき人は、先程よりも息を荒くして大声で命令する。

「隊長、何かに阻まれて切れません!」

部下の一人が、無理だと隊長に伝える。しかし、隊長は顔を真っ赤にしてゆでダコ状態で地団駄を踏む。

「役立たず共が!俺が切ってやる......ぐわぁ」

隊長は、ダイに斬りかかるが見事に弾かれる。

「チクショー!どうなってやがるんだ!お前ら、一旦引くぞ!村長、いい気になるなよ!騎士団を連れて八つ裂きにしてやるからな!覚えてろよ」

騎士達は、捨て台詞を吐いて逃げ帰るのだ。村人は、その様子を見て歓声が上がり、村長の下へと駆け寄る。オレールは、騎士達が帰ったのを見計らって倒れている村人にポーションを飲ませる。

「オレール、お前がやったのか?」

ダイは、群がる村人達を押しのけてオレールに話しかける。

「なんのことでしょうか?それよりも、この件は私に任せてくれませんか?」

オレールは、しれっとした表情で関係ないアピールをした後、領主の件を任せてほしいと言う。

「ま、待ってくれ!これ以上、世話になるわけにはいかない!俺が領主邸に行って俺の命だけで許してもらうよう懇願するつもりだ」

ダイは、自らを犠牲にして村人達を守ろうと決めた。オレールは、その言葉を聞いて、無駄死にするだけだと思うのと、自らを犠牲にする精神に、ダイなら信用できるだろうと、ダイにだけ見えるように貴族証を見せる。

「オ、オレール!いや伯......」

ダイは、驚いた表情をして伯爵であることを口にしようとするが、オレールがダイの口を塞いで、オレールはシーっというポーズをする。ダイは、首を縦に振って理解したことを示してオレールは、塞いでいた手を離すのだ。

「村長は、村人と気にせず普段の生活を送ってください!私は、問題を解決してきますので」

オレールは、手を振って空へと飛び上がり、騎士が去って行った方向に向かって領主邸を目指す。

「伯爵様、ありがとうございます!」

ダイは、村人に聞こえない小さな声で呟いて、涙を流しながら頭を下げるのだった。
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