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第3章 アレクを狙って

第546話 やはりどこか抜けてる初代魔王!だが、憎めない性格だ!

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「おっと、思った以上に大騒ぎになっているね」

デュアルは、戦闘を終えて王城へ戻ってくると王城内の人間が、城の外に避難しているのが見えた。デュアルは、そのまま下降して隼人と陛下がいる場所へと向かう。

「隼人、終わらせてきたよ。そっちは、問題なかった?」

デュアルが声をかけると、その場にいた全員が振り返る。王妃と王女は、魔族を間近で見たことがなかったので驚いてしまう。ちなみに、隼人は魔族ではあるがツノがないので一見人間に見えるのだ。

「おいおい!そんな怯えないでくれよ」

女性に怯えられると、どう対処していいかわからないデュアルは、素直に困ってしまう。

「すまんな!お主達は、王城へ戻ってくれんか?騎士団は、護衛を頼んだぞ」

デュアルと隼人と大事な話があるので、王妃達には護衛と共に王城へ戻るように言う。そして、陛下が王妃と王女と抱擁を交わして別れを告げるとデュアル達の方へとやってくる。

「待たせたな!此度もまた二人に救われる形となった!本当に感謝する」

陛下は、デュアルと隼人に頭を下げてお礼を言う。

「気にしないでくれ!今回は、こっちの落ち度だからね!それで、ラヴァーナはどうなの?」

ラヴァーナのスキルが破られてしまって、大惨事を招いてしまったことであり、魔ノ国の不手際だったとあっさり認める。普通であれば、賠償を迫られる恐れがあるので、こんな簡単に認めることはないのだ。

「陛下の計らいで、部屋を用意してもらって寝ている状況だ。アレクが作った薬もわけてもらえたしな」

王城は危険な可能性があるため、騎士団が使う寄宿舎の一室で寝させることにした。

「そうか!ウズベル王、感謝するよ」

デュアルは、陛下に頭を下げるが、陛下は「構わん構わん」と言ってデュアルの肩を叩く。

「デュアルよ、あれからどうなったのであるか?」

陛下は、怪物を見る前に隼人によって逃げたため、一切状況を把握しておらず、何が起きてどうなったのか尋ねる。

「怪物が出てきて倒してきた感じだね。だけど、あの黒いオーラと門番の力を吸収したことで無限復活するみたいだから、雪山に一時的に封印してきたよ」

「そうであったか!ならば、封印した場所に近づかないよう監視役を派遣する必要があるのだな?」

デュアルは、ただ氷魔法で凍結させただけなのだが、陛下は封印のスキルを使ったと思っているようで、意味を少し履き違えているようだ。

「最上級氷魔法で、ただ凍らせただけだけどね。監視役を送れるような場所じゃないよ!人間だったら踏み入れた瞬間に死んじゃうしね」

普通の人間が、あの氷山に入ったが最後、確実に凍死してしまうと語る。それを聞いた陛下は、本当にそれで大丈夫なのかと、引っかかったような表情を浮かべるが、すぐに表情を戻す。

「今は、どうしようもないということであるな!しかし、放置というわけにもいかんからな!対策を考えるのに知恵を貸してくれんか?」

陛下は、まだどの場所の氷山なのかを聞いていないため、王国内のどこかにある山だと思っている。

「それなら安心していいよ!聖王国に近い氷山に封印してきたから、もし復活してもこっちに被害は及ばないしね。題して、里へ帰して擦り付けちゃえ作戦だ!」

デュアルは、冗談を言うような言い方で話す。暴れたとしても聖王国に被害が及ぶだけなのと、最悪ゼロが止めたとしても時間稼ぎにはなるだろうと考えた。

「おいおい!ゼロが、手懐けたらどうする気なんだ?」

隼人は、完全に自我を取り戻した場合、怪物を止められるのかを呆れながら尋ねる。

「そうなったらそうなった時だし、知らない。その時は、何かしら対策すればいいんじゃない?」

「アホか!!」

デュアルは、やはりどこか抜けているようで、一切なにも考えていなかった。隼人から頭を思いっきり叩かれてうずくまり痛がる。陛下も頭に手をやって疲れた表情をするのだった。
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