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第3章 アレクを狙って

第544話 強いのか弱いのかわからないキメラ誕生と一時的な封印!

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扉がガンガンガンと内側から打ち付けられて揺れ動く。そして、バンッと扉が開き、中からボロボロのローブを身に纏った爺さんが現れる。しかし、後ろから腕が絡みついて爺さんをまた中へと引きずり込むのだ。

「おいおい!まだ生きてただって!?ラヴァーナ、あいつをどうにかできないか?」

デュアルは、ラヴァーナを見て言うが、ラヴァーナは滴り落ちるほどの汗をかいて苦しい表情をしている。

「ぐっ......ぐぁぁぁぁぁ!だ、め、だ!門に結界を......」

ラヴァーナは、最後まで言い終わる前に、気を失って倒れてしまう。

「隼人、結界だ!」

デュアルが、そう叫ぶと二人で門を包み込むように防御結界を張る。そして、結界を張った直後に門が大きな轟音と共に吹き飛ぶ。

「隼人、ラヴァーナとウズベル王を逃がせ!俺が、対処する」

デュアルは、普段とは違い、少しきつい言葉で隼人に命令をする。隼人は、その言葉を聞いて、すぐに動きラヴァーナと陛下を両脇に抱えて、その場を離れる。

「おいおい、マジかよ」

隼人が、二人を連れ出したあと、門に張った結界に変化が訪れる。隼人とデュアルが、最大出力で張った防御結界に亀裂がいくつ入って一瞬で破壊された。それを見ていたデュアルは、思わず驚いてしまう。

「あぁァァァあギギギあがぎぎぎ」

破壊して出てきたのは、キメラのような異物な存在であった。爺さんが、門番を吸収して自らの力として取り込もうとしたのだが、門番の力をうまく吸収しきれず、歪な存在と化してしまったようだ。

「これは、ヤバイよ。おっと、危ない」

爺さんと門番が合体した存在が、無差別に腕を振り回してデュアルを攻撃する。王城の部屋は、見るも無惨な姿になって、大きな音とともに、一部が倒壊して、王城で働く者達は悲鳴を上げて逃げる。

風砲ウインドキャノン場所を変えさせてもらうよ」

風を圧縮して撃ち出す風魔法をキメラにぶつけて遠くへ吹き飛ばす。デュアルは、空を飛んであとをついていくのだ。

「さて、あの怪物をどう倒そうか!」

デュアルは、飛行しながら倒す方法を考える。しかも、キメラが体勢を立て直そうとする度に、風砲ウインドキャノンを撃ち込んで吹き飛ばすのである。

「よし、ここなら平気だろう」

「ぐぎぎぎあぁァァァぐぁァァァあ」

デュアルは、キメラを王国から遠く離れた誰もいない氷山まで飛ばして、吹雪が吹き荒れる一面氷結の大地を決戦の場に選んだ。キメラは、いきなり周り全てを吹き飛ばす威力の爆発を繰り出す。

「これは、早々に決着をつけないといけないね!風魔の破砕ジンクラッシャー

デュアルは、一瞬で防御結界を張って大爆発を防ぐ。そして、風魔の破砕ジンクラッシャーを出して、キメラを覆うように竜巻が起こり、内部では無数の風の刃が高速回転しながらキメラをバラバラに切断していく。キメラは、見事にバラバラになって地面に落ちてくる。終わったかのように見えたが、デュアルは左手を前にかざしてキメラを睨みつけるのだ。

永久凍土ニブルヘイム

何故、バラバラになって死んだはずのキメラに、永久凍土ニブルヘイムを撃ち込んだかというと、バラバラになった肉片がかすかに動いたのを見逃さず再生すると予想したからである。

「俺は甘くないよ!去ってから密かに再生するつもりだったようだけどさ」

バラバラになったキメラをカチカチに凍らせたデュアルは、とりあえず一安心する。しかし、内心では完全に倒しきれていないので、いつか復活できないように始末しなくてはなと感じているのだった。
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