上 下
428 / 732
第3章 アレクを狙って

第541話 パスクと聡明神とアレクの現状!

しおりを挟む
「パスク、貴方をお待ちしておりましたよ。アレクくんのことでしょうか?」

パスクが、神殿に行くと、すぐに神界に行くことが出来て、目を開けると聡明神が待っていた。

「聡明神様、お久しぶりです!はい!その通りでございます。やはり、アレク様は神界に来ていたのですね」

パスクは、やっと手がかりを見つけることができたと安堵する。

「いいえ、薬学神が連れて行きました。しかし、どこにいるかわからないのです」

聡明神は、少し顔を伏せて答える。パスクは、思いも寄らない答えだったので、どういうことなのかと詰め寄る。

「聡明神様、わからないとはどういうことなのですか?薬学神様の領域におられるのではないのですか?」

「落ち着いてください!全てお話致しますので、あちらに座ってお話しましょう」

聡明神が、振り向くと金持ちのテラスにあるような椅子とテーブルが現れる。パスクは、一度落ち着こうと深呼吸をして、聡明神の後ろをついていく。

「まずは、こちらを飲んでみてください!アレクくんの故郷の日本茶というものです。落ち着きますよ」

透き通った緑色のお茶の真ん中には、茶柱が立っていた。茶柱の意味を理解していないパスクは、気にせずお茶をすする。

「ふぅ~、これがアレク様の故郷のお茶なのですね。心が落ち着きますね。苦みが強いと感じたのですが、甘みもあるので不思議な飲み物です」

「フフッ、そうですね。これ以外にも色々種類があるのですが、それぞれの良さがあっておいしいですよ」

聡明神もパスクも、ゆっくりお茶を楽しんで、心を落ち着かせたようだ。

「聡明神様、そろそろアレク様のお話をお聞かせ願えませんか?」

お茶で落ち着いたパスクは、先程の慌てたような荒々しさはなく、丁寧に尋ねる。

「まずは、何があったのかを話しましょう」

聡明神は、ゼロの攻撃を受けた瞬間、アレクがどうなったかを話し出す。その内容は、薬学神が神の掟を破り下界に下り、間一髪のところでアレクを助けた。そして、罰を受ける前に薬学神が作った薬で、薬学神もアレクも探知されないようにして身を隠したのである。

「そうだったのですね。では、創造神様でも身を隠された場所の予測は難しいのでしょうか?」

見つけられないにしても、予測くらいは立てられるのではないかと考えたのだ。

「はい!全てを見通せる創造神様ですら無理な状況です。完全に消息を絶っているので、天罰すら与えられない状況のため、薬学神は神の力を失わないまま下界にいるのです」

「今すぐ見つけることはできませんが、一番安全な場所にいるということですね?」

パスクは、聡明神からの言葉を聞いて、危険な状態ではないと判断した。そして、危険を冒してまでアレクを助け、雲隠れしたのには、何かしらの理由があると考えたのだ。

「はい!一番安全でしょう。もし、ルシファーが殺そうとしても、薬学神が一瞬で消滅させると思います」

パスクは、半神であるアレクを追い込んだゼロを一瞬で倒すと聞いて驚いてしまう。

「一瞬ですか!?神の力とは恐ろしいと感じました!それと、私の考えと聡明神様の考えが同じならば、アレク様が帰ってくるまで待つのがいいでしょうか?」

「そうですね!薬学神も考えがあって、起こした行動でしょう。焦る気持ちはわかりますが、アレクくんを待ちながら、皆様は来る時に備えて力をつけてください!何かとは言えませんが、今のままでは皆様は死にます」

アレクの事ばかりに気を取られて、全く自分自身のことやゼロのことを考えていなかったパスクは、聡明神に言われて気付くのだ。

「確かに、そうですね!聡明神様、ありがとうございました。今すぐに戻って、全員に伝えます」

パスクは、こうしてはいられないと思って、戻ることを伝える。そして、全員でレベルアップをしてアレクの足を引っ張らないようにしなくてはと思うのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺若葉
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。