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第3章 アレクを狙って

第539話 ゼロの帰還と息子のようなNO.3!

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黒いローブを身に纏ったゼロは、火傷を負った暗黒騎士を抱えながら、真っ暗な廊下を歩く。そして、ある扉の前で立ち止まり、ゆっくりと扉を開く。

「NO.9、今すぐに暗黒騎士の治療するのだ!死なせてはならぬぞ」

ゼロの右腕は、力を使った反動で、老人のような腕になっていた。NO.9は、暗黒騎士とゼロの状態を見て、慌ててかけよる。

「ゼロ様、これはいったいどうしたのですか?暗黒騎士も酷い状態ですが、ゼロ様の方が......」

「我は平気だ!それよりも、暗黒騎士の容態の方が大事である」

NO.9から見た感じだと、隠しているが相当ダメージを負っているように見えて、先にゼロの治療をしようとするが、止められる。更に、ゼロの命令である以上、従わないわけにはいけないので、暗黒騎士の治療を開始するのだ。

「まだポッドでの診断をしていないので、確かなことはわかりませんが、回復にかなりの時間を要すると思います」

ポッドとは、NO.9が開発した液体の入っている容器のことだ。これは、体の状態から治療までを行える物である。

「うむ。ならば診断と治療を早くするのだ」

「しかし、ポッドは一つしかなく、ゼロ様の治療が行えません!」

ゼロの体であるホムンクルスの開発の為に作ったポッドであり、数年の歳月を経てやっと完成に至った代物なのだ。

「我は、この力があるのでな!自力で回復できる!早く暗黒騎士の治療を始めよ」

ゼロは、左手から黒いモヤを少し放出する。しかし、いつもの力強さはなく、ゆらゆらと小刻みに揺れて今にも消えそうになる。

「ゼロ様......」

「何も言うでない!我もわかっておる!」

NO.9は、心配そうな表情をするが、ゼロの一言を聞いて、これ以上何も言わない方がいいと悟り口を閉ざす。

「暗黒騎士を頼んだぞ!」

ゼロは、ドアを開けて部屋から出ていく。NO.9は、ゼロの言葉を聞いて「ハッ」と返事をして、暗黒騎士の治療に取り掛かるのだ。





ゼロは、玉座の間の扉を開ける。すると、NO.3が待っていた。

「ゼロ様!待っていました!」

NO.3は、父親が帰ってきたかのような感じで、ゼロに抱き着く。

「我の帰りを待っておったのだな!」

ゼロは、NO.3の頭を撫でる。すると、NO.3は何かを感じたのか、ゼロから離れる。

「ゼロ様!そのお体はどうされたのですか!?」

NO.3は、抱きついた瞬間に、右腕もそうなのだが、いつもの力強いオーラを一切感じなかったので、思わず離れてしまった。

「我の油断と敵の戦力を見誤った結果であるな!爺も異空間に幽閉され、暗黒騎士も重症をおった。我の責任である」

絶対的支配者であるゼロにしては珍しく弱音を吐く。

「ゼロ様の責任ではございません!あいつらが、ゼロ様に迷惑をかけたのでしょ?あいつらも敵も俺が殺してやる」

NO.3の、ゼロに対する執着心は異常である。今にも、暴れ出しそうな勢いで黒いオーラを出し、怒りをあらわにするのだ。

「NO.3よ、怒りを抑えるのだ!我の為に、怒ってくれていること嬉しく思うぞ」

ゼロは、優しくNO.3を抱きしめる。すると、安心したのか、NO.3の怒りは鎮まるのだ。

「ゼロ様......申し訳ございません。また我を忘れて......」

数年経った今でも、精神的にどこか幼い部分が残っているNO.3は、感情をうまくコントロールできない時がある。

「良いのだ!それよりも聞きたいのだがNO.3、先に送ったあれはどうなっておる」

「あの部屋に閉じ込めています!」

ゼロは、黒い球体に閉じ込めたラキュースについて尋ねた。すると、NO.3はある部屋に幽閉したと答える。

「では、ラキュースを目覚めさせる!ラキュースとNO.3には任せたいことがあるのでな」

また何かを企んでいるようである。そしてゼロは、ラキュースを解放しに、部屋へと向かうのだった。
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