上 下
455 / 694
第3章 アレクを狙って

第529話 圧倒的なデュアルとアレクの弱さ!

しおりを挟む
「隼人、アレクを安全な場所に移動させて」

「任せろ!負けるなよ」

遅れてやってきた隼人に対して、デュアルがお願いをする。隼人は、すぐにアレクを抱えてその場を離れる。

「そんな簡単に逃がすわけないですよ!ブラッドチェーン」

ラキュースは、血で作った鎖でアレクを捕まえようとする。しかし、デュアルが鎖を掴んで、いとも簡単に引きちぎるのだ。

「おいおい!お前の相手は俺だよ!こっちだけ見てもらわなきゃ」

「フフフッ、貴方も魅力的ですね。体から溢れ出すオーラが逸脱していますよ。仕方ありませんね。貴方を我が物にして、アレクくんを迎えに行くとしましょう」

ラキュースは、またしても血の鎧を身に纏ってデュアルへと迫る。

「気持ちの悪いやつ!まぁ、少し遊んでやるか!零度剣ゼロブレイド

デュアルは、氷魔法で作った零度剣ゼロブレイドを構えて迎え討つ。ラキュースも、血で剣を作り出して攻撃をしかけてくる。

「へぇ~!再生するんだね。こりゃ、アレクが手こずるわけだ」

デュアルとラキュースは、剣と剣を交えて激しい戦いを見せる。そして、剣と剣が何度もぶつかり合って零度剣ゼロブレイドが刃こぼれを起こす中、ブラッドブレイドは、常に再生し続けるのである。

「私の速さに平然とついてくるとはやりますね。それと貴方、私の血を奪えば倒せると考えていませんか?」

フフッと笑って、デュアルの考えなどお見通しといった表情をする。

「ハハッ、何も分かってないのは、お前の方だよ。死の宣告デス・センテンス

デュアルは、もう少し遊んでから殺そうとしていたが、あまりにも調子に乗っているので、一気に決着をつけたのだ。

「ぐっ......なんです......これ」

ラキュースは、そのままこと切れて前のめりに倒れる。





「ん?ん?あれ?生きてる?」

アレクは、起き上がって自分の体を見るが、痛みも一切なく、あの場面で何故生きているのかと不思議に思う。

「おっ!起きたか!久しぶりだな!」

「料理長!なんでここにいるんですか?」

アレクは、魔ノ国にいるはずの料理長が王国にいることに驚いてしまう。

「王国からの救援要請で駆け付けた。魔王と四天王も来ているぞ!あの吸血鬼野郎とはデュアルが戦っている。さっき倒したみたいだがな」

「え!?わざわざ来て......それに、もう倒したのですか?」

アレクは、あれだけ手こずった相手をいとも簡単に倒したと聞かされて驚いてしまう。

「あのバカ、また遊んでいたがな!さっさと片付ければいいものを!それと、アレクお前弱すぎるぞ!あんなやつに負けるとはな!」

隼人もデュアルも、ずっと思っていたことなのだが、転生してきた800年前に比べて人も魔族も弱くなったなと感じていたのだ。

「そ、それは......」

アレクは、自惚れてはいなかったが、決して弱いとは思っていなかった。そのため、反論しようとするが、事実なので言い返すことができない。

「デュアルは、チート野郎だが、俺は採掘しかスキルを与えられずにやってきた。そんな俺よりアレクは弱いぞ!これが、終わったら俺と模擬戦だ!わかったな?」

「でも、この世界に危機が迫っているんです!そんな悠長に模擬戦......」

アレクは、この戦いが終わり次第、すぐにでも聖王国に乗り込もうとしていた。

「今のお前だと殺されるのがオチだろうな!聖王国に関しては、デュアルに任せろ!お前は、来る日に備えて俺と修行だ!いいな?」

どうやら、アレクの知らないところで色々話が進んでいたようだ。アレクは、隼人の威圧を受けて素直に「はい」と言うほかなかったのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

とじこめラビリンス

トキワオレンジ
児童書・童話
【東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞 優秀賞受賞】 太郎、麻衣子、章純、希未の仲良し4人組。 いつものように公園で遊んでいたら、飼い犬のロロが逃げてしまった。 ロロが迷い込んだのは、使われなくなった古い美術館の建物。ロロを追って、半開きの搬入口から侵入したら、シャッターが締まり閉じ込められてしまった。 ここから外に出るためには、ゲームをクリアしなければならない――

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されたやり直し令嬢は立派な魔女を目指します!

古森きり
ファンタジー
幼くして隣国に嫁いだ侯爵令嬢、ディーヴィア・ルージェー。 24時間片時も一人きりにならない隣国の王家文化に疲れ果て、その挙句に「王家の財産を私情で使い果たした」と濡れ衣を賭けられ処刑されてしまった。 しかし処刑の直後、ディーヴィアにやり直す機会を与えるという魔女の声。 目を開けると隣国に嫁ぐ五年前――7歳の頃の姿に若返っていた。 あんな生活二度と嫌! 私は立派な魔女になります! カクヨム、小説家になろう、アルファポリス、ベリカフェに掲載しています。

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。